介護施設入居に伴う空き家化
高齢世帯の核家族化が進むにつれて空き家が増えてきているという報道をよく見聞きします。
総務省の調査によれば、空き家率は13.5%で過去最高に達しているようです。(平成25年)
7軒に1軒という割合ですから増えているんですね。
実は、私の家の前のお宅も空き家です。
町内の班が10世帯ある家の1軒ですから空き家率10%ということでしょうか。
やはりその理由は、高齢化により施設入居したからです。
月1回息子さんご夫妻(60代)が家の風通しとお掃除、草むしりに来ています。
そのご夫妻とは同世代でいつも親しくしていたので、来た時には声をかけ近況報告や世間話をしています。
「この家どうするんですか?」と時々聞いていますが、まだどうするかは決まっていないようです。
人が住んでいないと老朽化が進むという話をよく聞きますが、実際毎日目にしているのでよくわかります。
退職後、親の介護に関わってきた中で実母のグループホーム入居、義母の特別養護老人ホーム入居、そして義父のサービス付き高齢者住宅入居に携わってきました。
私の実家は、義姉が入居してくれたおかげで空き家になりませんでした。
しかし、カミサンの実家は、昨年春に義父が施設入居したことで空き家状態が続きました。
世間一般でよく言われているこうした社会現象(空き家の増加)は、ご近所のことや親の高齢化に伴い身近に感じられるようになりました。
義父にとっては、将来もう二度と戻ることのない家です。
借地だったため、最終的には家を取り壊し更地にして大家さんに返すということになります。
この間、家の中の整理のため電気、水道の契約はそのままにしてきましたがガスは止めていました。
そして、今年2月に家の取り壊しをして更地にしました。
先日、更地にした土地に義父、義弟、カミサンと一緒に行ってみました。
この土地で半世紀以上家族と共に暮らした思い出がよみがえってきたと思います。
義父の趣味は、短歌、書道、油絵です。
いまでも毎日短歌を詠みノートに書き続けています。
短歌 苦労して 二人で建てた家が消え 更地になって何ひとつなく
介護施設から望む富士山の油絵を描いたと言って見せてくれました。
短歌 描き上げた 富士に桜の油絵は 九十八才 久びさの作
今でも描き続けている油絵は介護施設の廊下に飾られ、「書」も含め画廊になっています。
入居者の人たちと一緒に短歌を詠み、書道を教えながら今では義父の生きる力になっているように思いました。
もうあの家はなくても今の施設が義父の家です。
今を生きる、これからも趣味を生きがいにして過ごしている義父を見て、”常に前向きな人だな”、と感じるものがありました。
私たちの世代とこれから・・・
今60代の私たちは、こうした親の介護に関わってくる中で、「まだ先のことだから」と言っても、これからの自分たちのことを考えるキッカケになっているのではないでしょうか。
最期まで子ども家族と共に暮らす家庭はまだまだあると思いますが、核家族が進む社会の中では夫婦二人暮らしの老々介護、独居老人が増えてきているのが現実です。
そして、自分たちは・・・。
自分たちのことを考えることの中には、こうした「家」のこともあるでしょう。
もしかしたら「空き家」状態になるかもしれません。
「大丈夫だよ、施設入居する時処分するから」
「子ども達になんとかしてもらうから」
「施設入居したら家を貸して家賃収入を得るから」・・・。
自分たちのこれからの高齢化に向けての思いは、百人百様の考えがあるでしょう。
そうした考えは今はできますが、歳を重ねるごとにその判断力は低下していくようにみえます。
それは、親の介護に関わってきた中で、身体能力・判断力の低下など「確かに言えることだ」ということが分かったからです。
今はできてもその時になったらはたしてどうなのか?・・・。
であるなら、その前に何らかの方法で対応していくことも考えておく必要があると親をみて思いました。
今晩は。興味深い話題です。
>そうした考えは今はできますが、歳を重ねるごとにその判断力は低下していくようにみえます。
これ、言えますね。私は2歳年上の姉と二人姉妹です。両親を相次いで亡くし、24年前に亡くなった
母親の3回忌を待たずに実家は処分しました。(父親は25年前に亡くなりました。)
空き家にしておいて、タイ人の不法滞在者に入り込まれたからです。警察がやってきて大変な騒ぎに
なってしまったのです。
お世話になった近所の方たちにご迷惑をおかけできないし、たまたま火災保険がもうすぐ切れてしまうと
いう時でした。
姉と私の価値観はほぼ同じでしたし、お互い実家を離れて自分の家がありましたので思い切って
処分して良かったと思っています。まだ40代初めでしたので、やはり決断、行動は早かったです。
少し長くなりますが、お許しください。
近所に80代のご夫婦が住んでいまして、妻の方は心臓の病気で、手術後、意識がほとんどないまま
入院中です。80代後半の夫の方は認知症のため施設に入っています。
お二人にお子さんはいません。故郷は九州で兄弟姉妹とは疎遠です。でも日本の法律では
やはり家族が生きている場合、どんなに親しくしている人でも他人は関わることはできないそうです。
後見人がやはり必要と言うことで、やっと決まったようです。
心臓の術後、気管支切開の許可も疎遠だった実弟に医師が電話したところ、「してください」ということで
すぐさま気管支切開が行われ、栄養は静脈注射で摂るようになり、後は睡眠薬で「植物人間」同様に
なってしまったそうです。
個人情報なのであまり詳しくは言えませんが、いずれは重篤な病の手術と認知症気味だった夫を抱えて
いて、なぜ、早めに後見人を決めなかったのかと不思議です。
人それぞれの考えがあると思いますが、生身の人間ですのでいつどうなるかは本当にわかりません。
お子さんがいても、老夫婦になったので、何かあった時のために後見人(任意ですが)を決められたとい
う話を聞きます。
また日頃から自分の死生観なども話し合っておくことも大切だと感じています。
この80代のご夫婦のことからいろいろ考えさせられました。
毎年、元日に私は自分なりに遺言状の様なものを見直します。
私たち夫婦にも子供がいないので、やはりきちんと意思表示をしておいた方が良いと
知り合いの弁護士さんから言われたからです。
兄弟姉妹とはある程度距離を保ちながらも仲良くしておいた方が良いとも感じます。
事務処理能力、フットワークの軽さなども期限があることを痛感している今日この頃です。
それにしましても
>今を生きる、これからも趣味を生きがいにして過ごしている義父を見て、”常に前向きな人だな”、と感じ
るものがありました。
すーさんの義父様、見習わないといけませんね。
長くなりごめんなさい。
Roseさん
コメントありがとうございます。
高齢化に伴い、身内のこと以外でもちょっと意識を持って周りを見ただけでもさまざまなことが起きていますね。
Roseさんのご実家の空き家のこと、ご近所の80代ご夫妻のことなどをお聞きしただけでも「ああ~、やっぱりそうなんだな~」と思うばかりです。
1966年に人口が1億人に達した頃、その時の65歳以上の人口比率は、7%(700万人)だったそうですが、現在は26%を超えているという発表がありました。
この数字を聞き、ご近所を見渡したら「なるほどな」と納得しました。
今、私たち60代の方々は、こうした「高齢化社会」という社会現象を目の当たりにしています。そして、親の介護に直面している方々が多いのが現実です。
こうした状況から、介護保険や医療負担なども大きな問題として捉えることが必要だと思います。
親の代(80~90代)の方々は、もうすでに介護状態(身体的能力、判断力の低下など)の人が多いわけですから、私たち60代の方々の意識が変わらなければいけないと思います。
「なんとかなるさ」「子どもに世話してもらうから」というように、今までと同じような流れの中で考えていたら、結果として子どもや周りに負担をかけることになるのではないかと思います。
>日頃から自分の死生観なども話し合っておいた方が良いと感じています。
全く同感です。
母(現在91歳)がまだ80代前半の頃、あれだけ元気でハッキリしていた人が、認知症の進行によっていっきに認識力と判断力が低下した現実を見て強く感じるものがありました。
こんにちは。 空き家問題ですね。 私たち夫婦も、これから日本に帰るというので購入する
か、賃貸にするか、という問題についてはかなり悩みました。その悩みの一つがこれからは空き
家が増える、という中で一戸建てなど購入していいものか、ということでした。加えて、子供た
ちはアメリカに永住することになるでしょうから、それを相続する人間も居ないわけで・・・。
ただ、こうした統計数字はその根拠を明確にする必要が常にあります。空き室率が13.5%と言っ
ても、これは一番母数の多い賃貸用アパートや空家が多い別荘なども入っている数字だからで
す。アパートの空き室率は2016年3月時点で、東京23区でも33%超、神奈川35%超、
千葉でも34%超など、首都圏でも30%を越えているので、これが大きく影響しています。同
じ2015年度で見ると一般の一戸建てでは全国平均で5%ちょっと、埼玉県は少しましで3%台
半ば、という感じです。 ただどこでもそうですが、同じ県内でも地域性というか利便性によっ
てかなり変わってくるので、平均で見るのもあまり意味がないかもしれません。
それはともかく、この空き家問題を始め、老後の身の処し方、あるいはその先の墓地をどうす
るかなどまで考えることがたくさんありますよね。
Roseさんも書かれているように、今はやりの終活ではないですが、生前遺書の準備やある程度判
断力があるうちに後見人を指定しておく、などの準備が、残された人に迷惑をかけないためにも
必要になってくるんでしょう。
リンロン88さん
空き家率13.5%と言っても、たしかに言われてみれば賃貸用アパートなどの空き家が多いわけですから、全てが高齢化によるものではありませんよね(笑)
貴重なアドバイスありがとうございます。
とは言っても高齢化社会が進む中では、増えてくるのは間違いないと思います。
リンロン88さんも日本に戻って、これからの生活をしていく上での「家」のこともありますね。
先日、娘に「お父さんたちが施設に入居すようになったら、この家どうする?」と聞いたところ「いらな~い」の一言でした(笑)
子どもってこんなもんですね。
もうすでに自分たちの世界(生き方、過ごし方など)があるわけですから。
であるなら、リンロン88さんやRoseさんがおっしゃるように、今からそのための準備をしておくことが必要なことなんですね。
すーさん、皆様のお話、参考になりました。
私も実家を売買した経験もあり、次は自分の家の処分をどうするか考えています。
私の父は75歳までは、体力も知能も一般レベルでしたが、その後が下降線でした。
だから、DNA的に似ている自分の判断は、75歳までを目安に考えています。
えてして、自分の家が高く売れるだろう、とか、自分は高齢化しても自活できるだろ
う、とか楽観的に考えがちで、自分の老化や、面倒なことを考えたくないという人もい
ます。
うちは子供がいないし、譲る人もいないので、早めに売却して、老人ホーム入りする
つもりです。
日本の各地に旅しているのも、終の老人ホーム先候補を探しているからです(笑)
家犬さん
お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
「老人ホーム」と言い方ですと、ちょっとネガティブなイメージが先行してしまいますよね(笑い) 一般的に総称して使われていますが、実態はいろいろな種類の施設があることを知りました。ごく一般の健康的な方も入居している住宅もあるんですね。
私たち夫婦もまだ先のことですが、将来は自分たちの身体状況に合った施設に入ろうと考えています。
>日本の各地を旅しているのも、終の老人ホーム先候補を探しているから
え~そうなんですか!?
でも、どんなかたちであれ自分たちが望む過ごし方ができれば一番いいですよね。