「田舎暮らし」といえば定年退職したシニア世代の言葉?
今、地方を目指す若者が増えている
先日NHKのニュース番組で若者が都会を離れ田舎に移り住む傾向が増えてきているという特集がありました。 都会の生活に疑問を感じたり、新たな自分の発見や自分(夫婦)がやりたいことにチャレンジする目的のために田舎暮らしを選択する若者が増えてきているようです。 こうした中で、地域活性化に取り組むNPOや起業家、学生などが中心となってまちの振興策を打ち出していることも後押ししているようです。 退職以降、くるま旅で地方を訪れる機会があります。振り返ってみれば意外とそうなのかもしれないと思うことがいくつかありました。 田舎というと高齢化が頭に思い浮かびます。そんな中、旅でふらりと立ち寄ったカフェや飲食店、雑貨店、工芸品店などで店主の若いご夫婦が顔を出すと新鮮な気分になり、ちょっとした驚きがあります。
※日経新聞の資料より 今の若者の全てではないですが、大都会の生活に疑問を持ち、自分たちの生き方を模索しているのではないでしょうか。
「田舎暮らし」といえばイコール定年退職したシニア世代の定番の言葉でした。 しかし、時代は変わってきているんですね。 先日、静岡の実家に帰省した時、街なかを散歩してみました。子どもの頃の街の風景とは全く違っていました。静かな駅前周辺をぶらぶら歩いていると一軒の小さなオープンカフェがありました。田舎といえば昔の喫茶店(昭和の喫茶)がイメージとしてあります。 そんな中、こんな田舎では珍しく都会風のちょっとオシャレなカフェでした。 ドリップ珈琲の香りが漂いオープンになっていたので立ち止まって覗いてみました。 店内から若い女性が笑顔でこちらを見ています。目であいさつをしていると、今度は熟年の女性がこちらをジット見続けています。ちょっと気まずくなったので通り過ぎようとしたら、その熟年の女性に声をかけられました。なんと高校時代の同級生でした。 お互い名前を忘れてしまっていましたが、面影があり覚えていました。なんと40年ぶりでした。 同級生は店の奥で婦人衣料のブティックを経営して、店先を利用して娘さんが最近カフェをはじめたと言っていました。娘さんは都会から田舎に戻り新しい生活をスタートされたようです。 この場合、全く見知らぬ土地での田舎暮らしとは違い、Iターンというかたちになりますが、これもまた若者が地方を目指すひとつの例だと思います。
都会の若者たちのコミュニティ
親というものは自分の子どもについて知っているようで意外に知らないものです。 一緒に暮らしている小さな頃はよくわかっているものですが、いざ成人して社会に出ると何を考えているのか、どんな生き方を追求しているのか、意外と知らないものです。
今年、娘は結婚しました。都内に住んで二人とも働いています。 先日娘から「お父さん、今度カフェをやるから」と突然連絡ありました。エッ!何考えてるの?と思うくらいビックリしました。 よく話を聞くと、都内○○区の「まちおこし」の一環として商店街の空き店舗や昼間だけ賃貸する店舗を利用してカフェを不定期でやるようです。大都会の都内であっても寂れていく商店街が数多くあるようです。そこで、行政が中心となってそうした空きスペースを活用して若者が集まりやすい環境をつくっているということです。 娘のダンナは、IT関連の会社に勤めていますが、個人的に「区のまちおこし」のプロジェクトに参加して、若者が集まるまちづくりを推進しているようです。 又、この店舗は、仲間たちと共同経営をしています。
今の時代はネット社会です。あらゆる情報が瞬時で日本や世界中を駆け巡ります。 「まちづくり」ひとつとっても、それに賛同する若者に情報が伝わり集まってきます。 数年前までは、こうした企画やイベントなど広告、チラシ、ポスターなどで告知したりしましたが、今ではスマホやPCがあれば確実にそれらの情報が伝わる時代です。 今回の娘夫婦の「カフェ企画」以外にも多くのイベントがあり、「まちづくり」に賛同する若者がチームをつくって活動しているようです。 利益は二の次で、あくまでも若者をまちに集めて、つながりを持っていこうということが主旨のようです。自分たちが社会に対して何ができるのか、自分が社会に必要とされているのか、というところに大きな意義があるようです。 娘夫婦のカフェは不定期ですが、ネット情報だけでお客さんが集まってくるようです。 何よりも若者たちが集まり楽しく過ごせることで充実していると言っていました。 これもまた都会で暮らす若者たちのコミュニティなのでしょう。
お金やモノをかけただけのまちの「豊かさ」には限界があるように思います。 この「豊かさ」は、いつもお客様の立場ではなく、自分たちが参加して何かをするというところにヒントがあるように思えます。 娘たち夫婦の生き方やそれに集う若者たちの行動をみて感じるものがありました。
まちの「豊かさ」に思うこと。次回は、「企業によるまちづくりとシニアの田舎暮らし」について考えていきたいと思います。