富士山 (3)

海抜0mから28時間、ようやく3776mの頂へ

山岳展望のいちばんの楽しみは?

 

晴れ渡った青空の下、ベテラン登山家や山を親しむ登山愛好者が、北アルプスの名峰穂高岳に登った時、北アルプスのランドマーク槍ヶ岳の頂上に立った時、最も険しいとされる剱岳に登頂した時、又、関東で人気の高い丹沢や高尾山に家族でハイキングに行った時、開口一番「富士山が見える!」の一言です。
たいへんな体力と技術を駆使してようやく頂上に立った時、その達成感の喜びより「富士山が眺望できた感動」の方が上回ってしまうほど、富士山は特別なものであり、日本人にとっての象徴ではないかと思います。

一般的な富士登山の場合、五合目から登りはじめます。その五合目から見上げる景色は一面灰色のガレ場だけです。「あの優美な裾の広がった三角形(三角錐)の富士山はどこにあるの」ということに気づきます。ちょっと極端な言い方でしたが、日本人が持つ富士山のイメージは、あの美しい三角形のイメージなんです。当たり前のことですが、富士山に登ったら「山岳展望のいちばんの楽しみである富士山が見えないんです」。
日本一の高さを誇る富士山に登ることは夢でもあり、自分を試して登頂した時の達成感を味わう喜びもあるでしょう。しかし、見方をかえれば登山としての楽しみは半減してしまいます。

今回の山旅では、0mから3776mまで上り詰めることが最大の目的でした。そういう意味ではその目的を果たし達成感がありました。しかし、頂上からあの優美な富士山が見れなかったことだけが心残りです。

 

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7月11日 am9:10   富士山剣ヶ峰3776m

 

3日目、六合目からいざ頂上へ

 

am1:00 宝永山荘出発

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朝日に照らされる「影富士」と七合目付近からのご来光

 

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八合目、雲海に浮かぶ愛鷹山

 

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八合目テラスにて宿で作ってもらったお弁当パクリ

 

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九合目の山小屋から、頂上までまだまだありますね~。

 

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九合目、実際は3400mの高さです。

 

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ようやく鳥居が見えてきました。浅間大社奥宮

 

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剣ヶ峰まではまだありますね。パックリ口を開けた火口。

 

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日本最高峰 剣ヶ峰3776m

 

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剣ヶ峰から見下ろす火口。左後方:八ヶ岳 中央後方:奥秩父

 

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am10:20  御殿場口から下山開始。深夜山荘を出発してからすでに9時間経過。
3日間歩き通しによる疲れから登攀の遅れが目立ち、今日のタイムスケジュールから4時間の遅れ。御殿場口までの下山時間と体力を考えると、御殿場駅前まで歩く余裕が全くなく、海抜0mまで下りる計画をこの時点で断念。

 

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振り返って見る頂上方面と3500m付近からの雲海

 

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ブルドーザー専用道路           ここから大砂走り(下山道)

 

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一直線に伸びる大砂走りを駆け下りていきま~す。足が疲れてガタガタ状態なのに止まることもできないくらい足が前に出てしまいます。誰か止めてくれ~!なんて言いたいくらいどんどん下っていきます。この道がなんと1時間半続いちゃうんですから、とんでもない登山道でした!

 

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ようやく御殿場口に到着しました。やれやれ。ここからはバスで御殿場駅前まで行きます。当初計画で御殿場駅前のホテルを予約してあったので、今夜はホテルでゆっくり休みます。

 

富士山ゼロtoゼロは達成できませんでしたが、海抜0mから村山古道を歩いて登頂できた満足できる山旅でした。

 

富士山は山じゃない

 

「バ~カ!富士山は山に決まってんだろー、お前頭おかしいんじゃないの?」と言われてしまいますよね。                                  深田久弥氏の「日本百名山」の中には、もちろん富士山は入っています。
今回の富士山の旅を終えて思ったことは、「日本百一名山」(101)でもいいのかな?と考えました。富士山は、他の山と並べてしまうのはおかしいくらい「特別なもの」でした。
ちょっと大げさな言い方ですが、「山の王」「山の神」みたいな存在です。だから、他の山とは別格扱いにして、全ての山の上に君臨する存在・象徴であってほしいなと思いました。

「また富士山に登りますか?」と聞かれたら、「二度と登らない」と応えます。
なぜなら、「山岳展望のいちばんの楽しみは富士山を見ること」ですから。

 

”sea to summit Mt Fuji”

 

「富士山」 おわり

                

4 thoughts on “富士山 (3)

  1. サクッと登頂した感じですね~
    でも大変なはず…
    私も1度登りましたが、もう登りたくないです~
    修行は好きではないし。
    まだまだ、お元気ですね!
    ガンガン登って、アップしてください。
    お待ちしています。

    1. 家犬さん

      富士山ブログ3部作の連続コメントありがとうございました。
      まだまだガンガン登りますよ~。
      今週末からいよいよ北アルプス最深部の雲ノ平です。
      帰ってきたらまたアップします。
      応援ありがとうございました。

  2. すーさん、
    初めまして。
    カリフォルニアからおはようございます。グッドタイミングですーさんのブログにたどり着きました。8月に富士山初挑戦する者です。夫は登山の経験はありますが、私は全く初めての山登りなので安全第一と考えツアー登山することにしています。
    すーさんご夫婦の登山経験をこれから読ませていただきますね。来年は黒部のアルペンルートへ行く事も計画中なので、これらも参考にさせていただきます。
    モーチベーションの上がるブログですね。これからもどうぞよろしくお願いします。

    1. ジュリーさん

      コメントありがとうございます。
      先ほど10日ぶりに北アルプスの山旅から帰ってきたところです。
      返信が遅れまして申し訳ございませんでした。
      富士山は日本一の名峰ですから、ぜひ一度は登ってきてください。高山病なども考えられますのでツアーをおすすめします。
      又、黒部アルペンルートも高山の雰囲気を気軽に楽しめますのでこちらもおすすめします。室堂周辺は散策ルートがあり、お花畑を見ながら立山の名峰を望むことができ素晴らしい景色です。ぜひ楽しんでください。
      これからもよろしくお願いします。

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