優秀作100句の中から~
時代背景と未来予想に1票!
第34回サラリーマン川柳の優秀作100句が決まったようです。
応募総数62542の中から選ばれた作品100句の内から一人一票投票する受付が始まりました。
毎年行われるこのサラ川は、皆さんもご存知だと思います。
やはり時代背景というものが大きく関わってくることから、今回は ”コロナ禍” が一つのキーワードになったようです。
優秀作品を見てもその様子がうかがえます。
「第34回サラリーマン川柳」サイト
川柳の面白さは、その一言で作者が訴えたい状況が手に取るようにわかることですね。
その状況をユーモアも交えて句にするだけでなく、その裏にあるモノやその句を通してその先に見えるモノを表現することが川柳の面白さではないかと思います。
そんな優秀作品に選ばれた川柳の中で目に留まった句が何句かありました。
この中で一句を選ぶとしたらどれにしようかな?と悩んだ結果、下記の句に一票投じました。
『自粛中 見えた夫の 定年後』
選ぶ側はそれぞれの思いや年齢的(世代的)なことなど様々な要素が絡んでくると思います。
私の場合、退職後リタイア生活を続ける中で ”定年後の過ごし方” というものに関心があるためか、今回この句に目が留まりました。
コロナ禍の「自粛」の様子だけに留まらず、その先に見える状況をこの自粛を通してわかってきた妻の心情がうかがえます。
”定年後の夫の姿” だけを想定するのであればごくありふれた句なんでしょうが、コロナ=「自粛」という状況に掛け合わせた点では深みがあるように感じました。
その他、これはいいな~と思った句は、
『「密です!」と 訴えたいのは 仕事量』
これも時代背景を的確にあらわした一句だと思いました。
コロナ禍で仕事量は減る一方という現実はありますが、逆にコロナ禍によって仕事が激増する職業もあります。
例えば、エッセンシャルワーカーと言われるロジスティクや医療・介護従事者などがそれに当たるのではないでしょうか。
この句の裏にあるのは、政府のコロナ対策に対する批判や職場の労働環境、賃金などへの不満、更には非正規雇用の実態、新自由主義に至るまで詠み手にとっては広い意味での解釈がされるのではないかと。
そいういう意味では、コロナを通して今の世の中の状況を炙り出した句ではないかなと思いました。
『脱ハンコ 進めるために 判が要る』
『はんこレス 上司の仕事 吹き飛んだ』
いや~これもお役所仕事を皮肉った面白い句ですね。
昨年は行政手続きの「押印廃止」が話題になりました。いわゆる「認め印」が廃止される見通しになったようです。
時代の流れによってこうした業務がなくなることはいいことだと思います。すでに民間企業おいては少なくなっているのが現状ではないでしょうか。
最近では、コロナ対策から宅配便の受け取り印(又はサイン)がなくなったこともありますね。
公的機関においては他にもあると思います。
例えば、すでに切り替わったものですが、書類サイズが長年B版だったこともあります。
又、書類年月日が依然として年号のため、年号が切り替わる際には変更経費として多額の税金が使われたりします。世界的に共通する西暦に代えた方が良いのではないかと思いますが。
まさにあまり意味のないかたちだけの業務を皮肉る庶民の一句ではないでしょうか。
『孫の顔 初めて見るのは スマホ越し』
いや~、これも「自粛」をキーワードに多くの人たちが経験した一句だと思います。
私たち夫婦には孫はいません。
しかし、甥っ子の赤ちゃんのことや友人の孫のことなど、自分たちに孫がいなくても人とのつながりから体験するものではないでしょうか。
甥っ子は、コロナ禍の中で生まれた赤ちゃんに半年以上も会えない状況だったようです。
自分の子ども、孫の顔が見れない異常な事態は、これもコロナ禍の中で起きた現実なんですね。
そんな時スマホが大いに役に立ったのは、今の時代をあらわしていると思います。
孫がいないカミサンでも、友人の孫の写真をラインのプロフィール画像にしているくらいですから(笑)
こうした孫の画像や動画は、コロナ禍の中でその人の気持ちを癒してくれる大きな役割を果たしているのではないでしょうか。
さて、皆さんもすでにご覧になったでしょうか。
こうした川柳というものは、人それぞれの思いや価値観によってその評価は異なります。
どの作品が選ばれるかわかりませんが、特に今回は自粛自粛で気が滅入っている中で楽しませてもらいました。