選挙への大切な一票

社会保障の拡充は消費税増税なの?

傍観者でいるとツケ

 

総選挙の公示日以降、各地域では連日宣伝カーが町を巡り、駅や公園前などでは候補者の演説姿が目に入ります。
足を止めて宣伝カーのマイクや演説者の話に耳を傾けると、ほとんどが「よろしくお願いします」「がんばります」という連呼です。

テレビをつければ、ニュース番組やワイドショーで新党のゆくえや議席数確保の予想、与野党対決構図ばかりが話題になっています。

この二つに共通することは、具体的な政策の訴えとその論議があまりされていないという点ではないでしょうか。
特にメディアの報道には目を覆いたくなるものが散見されます。
例えば、消費税増税(8%→10%)についても増税か、凍結か、延期か、中止かという論議だけの第三者的な報道ばかりです。
増税が及ぼす影響、増税をしなくても財政確保できる道など、より具体的な議論を深めず傍観者的、評論家的な報道に終始している点です。
公共性の高いメディアの報道はより中立的な立場での報道になることもありますが、どこに視点を置くかということでは多くの視聴者である庶民の立場に立った目線で判断する必要があるのではないかと思います。

と同時に、私たちがどういう候補者を支持(投票)するのか、どの政党に一票を入れるかということも単に傍観者的な感覚で判断することなく、具体的な政策において決めることが大切なことだと思います。

 

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10/9  朝日新聞 コラム

 

先日、会社時代の同僚、先輩に会う機会がありました。
我々60代ともなるとお互いの子どもは30代になっています。又、年上の先輩の家族ともなればその子どもは40代前後になっています。
そんな家族の話題になると、「まだ結婚しないで家にいるんだ」「まだ契約社員で働いているよ」「趣味の○○に没頭して稼ぎのほとんどをつぎ込んでいるよ(笑)」・・・。
結婚するしない、趣味云々などは個人の考えやそれぞれの価値観がありますが、ただこうした家庭が意外と多くなってきていることに気づきます。
シングルマザーが実家に戻り、親に子ども(孫)の世話を頼んで働くというケースはよく耳にしましたが、独身の子どもが親と同居し続ける家庭が増えてきていることもこうした身近な話題で実感できます。

結婚しない人が増えてきたことイコール少子化に拍車がかかってきています。
又、一方では、正社員であったり、手に職を持ち自立できる人であればいいのですが、これが非正規雇用であれば将来大きな問題を抱えるものになってくるのではないでしょうか。

パラサイト・シングル
「学卒後もなお親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者を言う」
ウィキペディア

パラサイト=寄生という意味のようで、あまりいい表現のようではない造語です。
前述したように、親と同居していても大人として完全に独立(主に収入など)しているのであればいいのですが、”基礎的生活条件を親に依存” というかたちではどうなのかなと思います。

35歳~44歳の親同居未婚者が年々増え、2015年には308万人という規模にまで達している。
いま、親の年金にパラサイトせざるを得ないような40歳前後の人たちが増えている。約1割が失業者、2~3割が非正規雇用です。さまざまな理由で親の年金に頼って暮らしている人が、中年パラサイト・シングルの3~4割に達しているのです。
山田昌弘著「底辺への競争」より

こうした社会状況の変化が今の日本に起きてきていることが分かります。
これも単に自己責任論で終わらせることができない深刻な状況ではないでしょうか。

 

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このことは、藤田孝典氏の「下流老人」の中でも強く指摘されていました。
「親世代と子ども世代が共倒れする」「子どもの経済的依存」という見出しの中で、
非正規雇用やブラック企業が増えたせいで若者の労働環境が劣化し、それが高齢者世代の貧困にもつながっているのは間違いない。
成人した子どもが経済的に親に寄りかかり、”共倒れ” する家庭が増えている。背景にあるのは、若者世代の「ワーキングプア」、そして「シングルマザーの貧困」だ。
「続・下流老人」より

 

こうしたパラサイト・シングルの社会的な背景ひとつ取ってみても、そこには非正規雇用やブラック企業、保育園問題だけでなく年金、医療費、介護保険などの社会保障制度まで深く関わっていることが分かります。
そして、非正規雇用の拡大(約4割)に伴い大企業の内部留保がこの4年間で400兆円に膨れ上がってきた状況は、現政権の政策(法人税の引き下げ、富裕層への優遇税制など)によるもので格差と貧困が加速してきました。

今回、衆議院解散・総選挙において、消費税増税分の使い道変更を盛り込む働きが浮上しています。
消費税率は再来年秋に8%から10%に引き上げられる。見込まれる約5兆円の税収増のうち約4兆円は国の借金返済に、約1兆円は社会保障の拡充に充てることになっている。浮上しているのは増税分の一定部分を借金の返済ではなく、教育無償化の財源にあてられるよう使い道を見直す案だ・・・。消費税の扱いを選挙に利用しようとしているようだ。
毎日新聞社説

何か新しい政策を出したように見えますが、有権者からみれば何を今更という思いではないでしょうか。
消費税導入時の「社会保障との一体化」論からはじまり、今まで3%→5%→8%への増税が繰り返され社会保障に充てられた財源は微々たるものでした。
一方で法人税減税が同時に行われ続け、消費税増税分の財源が法人税減税分に匹敵する額になりました。結果、400兆円という内部留保が大企業に貯め込まれました。
極端な言い方かもしれませんが、言い換えれば大企業の内部留保を増やすために私たちの税金(消費税)が使われていることではないでしょうか。

 

私たち庶民に与えられた唯一国政に参加できる一票は大事なものだと思います。
その一票は傍観者的な立場の票ではなく、今私たちが抱えている身近な問題から導き出す大切な一票にしていかなくてはならないと思います。
仮にその一票が、結果的に直接政権票にならなかったとしても自分の意思表示は大切にしていきたいものです。

 

12 thoughts on “選挙への大切な一票

  1. 同感です。
    モリカケ問題だけではなく、生活レベルの問題が本当にたくさんあります。
    我慢とか努力とか、自己責任では解決できないと感じます。
    1票を有意義に使いましょう。

    1. 家犬さん

      コメントありがとうございます。
      家犬さんのブログいつも楽しく拝見していますよ。
      九州旅行もあいにくの天気のようでしたが、台風一過で良かったですね。
      来年九州くるま旅を計画しています。家犬さんのリアルな情報役に立ちます。

      今の社会、ほんとうにこれでいいのかと思います。
      大切な一票大切に使いましょう。

  2. 私の町では 自民党と希望の党の前職の2人だけが立候補しております。
    どちらかが当選し後の1人は落選します。
    しかし 両候補とも比例区で上位にランクされていますのでどちらにせよ二人共当選すると思いま
    す。
    このような状況で選挙に行く価値があるのかと思う方も多いと思われます。私はもちろん選挙に行
    きますが 小選挙区は現勢力のままで比例区だけが私の意思を示す選挙だと思います。

    1. 山鯨笹蟹さん

      コメントありがとうございます。
      そうなんですか~。そうした選挙区もあるんですね。
      小選挙区の場合、自分が求める政策と異なるようであれば、その選択の難しさがありますね。
      山鯨さんがおっしゃるとおり比例区の場合は、自分の意思をはっきり示すことができます。
      貴重な一票投じてください。

  3. こんにちは。 選挙ですねぇ~。
    アメリカに来て27年、海外居住者も選挙権があるのですが、つい領事館まで足を運ぶのが億劫
    で今まで投票してきませんでしたが、これからは同じ埼玉に住みますのでああだ、こうだ、と意
    見を言うだけではなく、少しでも自分の意思を選挙を通して反映させたいとは思っています。

    >具体的な政策において決めることが大切なことだと思います。

    おっしゃるとおりですね。ただ難しいのは、いつものことですが、個々の政策課題についてどれ
    もドンピシャリという候補者も政党もなく、あちらを立てればこちらが立たずというジレンマに
    はまります。 結局、課題リストの中で優先付けし、その上位課題で志向性が一致する人、とい
    う選択にならざるを得ないのかな、と思います。 
     ここでスーさんが書かれている課題ひとつにしてもさまざまな意見があると思いますが、何を
    その選択の中心にするのか、が個々の有権者に求められている「参加」の中身でしょう。
    それにしても上で山鯨笹蟹さんが書かれているような実態もあるんですね。比例ではますます
    「人」に投票することが出来ないので、その面でも難しさがありますん。私としては個々の政策
    と同時に、「人」「姿勢」「考え方」で選びたいと思うのですが、なかなか難しいものがありま
    すね。

    1. リンロン88さん

      コメントありがとうございます。

      >何をその選択の中心にするのか、「参加」の中身

      そのとおりですね。個人によってその考えはさまざまだと思います。
      例えば、今回のブログでは社会保障と消費税増税について述べましたが、その他にも憲法改正、原発稼働、安保法制、経済問題(格差と貧困)、核兵器禁止条例、もりかけ疑惑・・・。
      いくつか課題を列挙してみましたが、それぞれ異なる課題のようにみえますが、よくよく考えてみるとリンロンさんがおっしゃっている「姿勢」にあるように思います。

      こうした課題が結果、”どういう方向に向かっていくのか” ということを見極めることが大切なことではないかと思います。
      貴重なご意見ありがとうございます。

  4. いつも興味深く拝見してます。

    企業の内部保留は、国が税金かけていいもんじゃないですよ。
    内部保留は、株主とそこで働く労働者のものです。
    投資して社会に、お金回さないといけません。
    大企業で巨額の経常利益を出してるにもかかわらず、納税してないのがダメ。
    買い物しないようにしてますが、公共の電波で名指しして欲しいです。

    消費税はダメです。
    お金が回れば回るほど、少なくなっていく。
    年収300万の人の食費が50万・・消費税。
    年収一億なら・・・そんなに食えないわ。
    不公平税だし、お金という血液がうまくまわるのを阻害してます。
    格差はあって当たり前。
    格差はあっても、水のように流れがあればいきわたる。
    溜め込むのがダメ、
    お金持ってる人や企業が、面白い事案や地味な研究に投資しないと。
    今、地味な研究職してる優秀や奴らが海外に出ていってる。
    どんなに優秀でも派遣、生活も出来ない、研究費も十分でない。
    毎年、秋にはノーベル賞騒いでるが、もう10年もしたら
    日本人で日本に住んでる研究者なんて、クズばっかになるから。

    少子化は、女性が経済力ついたら歯止めかからないと。
    昔は、貧乏でも子供沢山いました。
    損得考える知恵のついた女性が増えると、子供は少なくなりますよ。

    1. ヒロさん

      コメントありがとうございます。

      >内部留保は、株主とそこで働く労働者のもの。
      >社会にお金を回さないといけません。
      >大企業・・・納税していないのがダメ。

      全く同感です。
      適正な賃金の支払いで所得増、正社員化、個人消費の伸びで社会全体にお金が回ることで景気回復につながっていくと思います。
      又、法人企業の利益に対する実質負担率(税負担)は、中小企業19%前後なのに、大企業は12%しか負担していません。(2015年国税庁)
      大企業の税負担率が中小企業より低いという、この不公平・不公正を正すべきだと思います。

      >消費税はダメです・・・不公平税だし・・

      消費税についてもその通りですよね。
      食料品や水道光熱費など生活必需品は、所得の多少によってあまり違わないと思います。
      所得対比でみた消費税負担率が低所得者ほど重くなる「逆進性」になる、まさに不公平税だと思います。

      貴重なご意見ありがとうございます。

  5.  私の選挙区も自民(前職)と共産(新人)の二人だけ、前回は民主党の候補者が
    あったので、選ぶという意味が少しはあったと思いますが、今回は実質、選挙鉄板
    の前大臣(副総理)の無投票選挙のようなものです。それにしても昨日、期日前投票
    に行くと多くの人が投票に来ていました。押しかけるほど共産党新人に投票したとは
    思えません。問題発言を何べんしても何をしているかどうかさっぱりの昭和54年か
    ら衆議院議員をしている前大臣が引き続き儀礼のように選ばれるでしょう。地方の
    代表と言いますが。住まいは東京、こちらに来ることもめったにありません。衆議院
    選挙は比例のみにしてはどうでしょうか。

    1. mittyさん

      コメントありがとうございます。

      >問題発言を何べんしても何をしているかどうか・・・
      >引き続き儀礼のように選ばれる
      >地方の代表と言いますが、住まいは東京・・・

      全くその通りですよね。
      これからの自分たちや子供たちのことをもっと真剣に考えてもらいたいものです。
      こうした従来の考えが変わらなければならないと思います。

      小選挙区でも今の政治の方向を止める思いの一票であれば、それも意義のある一票なのではないでしょうか。
      比例も含めしっかり思いを込めた一票にしたいですね。

  6. いよいよ投票日は明後日になりましたね。

    今回はどうも消去法で投票しそうです。比例だけはしっかり自分の意志で選べそうでが。

    今の日本は国内外ともに問題山積みです。マスコミに惑わされないようにしなくては。

  7. Roseさん

    コメントありがとうございます。

    >消去法で投票しそうです。
    >自分の意思で選べそう。

    各党の政策はいろいろあります。その中で自分の考えに合う、合わない政策の取捨選択で決めることは大事なことですよね。
    表面的な印象や感覚的な判断ではなく、Roseさんのおっしゃるように「自分の意思」こそ大切にしたいものです。

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