早期退職を考える
限られた時間
60歳定年退職に3年を残し、早期退職することは人生における大きな決断でした。
私も当然ながら定年まで働き続けようと考えていました。 継続雇用や65歳定年という現実が社会の大きな流れになっている今、早期退職は逆行するもです。
世間でいうリストラや仕事上、家庭や健康上の問題を抱えて離職するものでなく、完全リタイアというかたちでの自己退職はあまりないと思います。
ではなぜ早期退職したかというとプロフィール欄でもお話したように、残された人生をできるだけ健康なうちにやりたいことを実現させようという想いからです。
はじめから「自分の人生設計だから」という計画を立てての退職ではありません。
「生き方を考えるキッカケ」がいくつも重なり、結果として早期につながりました。
健康寿命
私のカミサンは年上のいわゆる「姉さん女房」です。そして夫婦二人の趣味は登山や旅行で、どちらかというとアウトドア的な体力を使うものです。
自分たちが自分の力で自由に身体を動かせる時間はあとどのくらいか、と考えた時、10年と少しではないかと話し合いました。
健康で誰の手も借りずに自分の足で自由に動き回れる年齢は、70歳代前半くらいではないかということです。
「健康寿命」という言葉は、私が退職してから「定年退職後の生活」をテーマとしたブログで知りました
。※「定年後の過ごし方 生き方ライフ かまくら」
これは厚生労働省やWHOが使っている公的用語です。
この健康寿命の年齢は、男性で70歳、女性で73歳だそうです。
男性の場合、定年退職後10年、65歳継続雇用退職後5年という数字が浮かび上がります。まだ5年、まだ10年あるんじゃないか、あと5年、あと10年しかない、という考えは人それぞれです。私の場合は、後者を選びました。
人間誰しもいつまで健康でいられるか、いつまで生きられるかということは分かりません。男性の平均寿命は80歳、健康寿命は70歳ということを事実として受け止め、これからの人生設計のひとつの指標として考えていきたい思います。
63歳で逝った実兄
私が54歳の時、兄は膵臓ガンでこの世を去りました。
兄は60歳定年後、継続雇用で働き続けました、退職後は職場における責任や時間的な負担が軽減されたことにより、趣味であるくるま旅を義姉と共に楽しんでいました。
65歳まで働かず、そろそろ引退してセカンドライフを楽しもうという矢先のことでした。 ガン発覚後、余命半年と宣告されました。手術ができず少しでも延命処置のための抗がん剤による入院治療を受けるか、又は、治療せず残りの時間を有効に使い切るかという選択でした。 兄は後者を選びました。その間、自分の運転で東北・北海道旅行を楽しんできたようです。 自分の体力で身体を動かせるギリギリまでの寿命をまっとうしました。
この最期の生き方は、人それぞれです。
道半ばで人生を終わらせてしまう悔しい気持ちはあったと思いますが、その現実を受け止め自分で最期の判断をしたことに満足していると思います。
仮に自分自身がその立場にあったとしたら、兄と同じ判断をすると思います。
このことも、私の早期退職を考える大きなキッカケになりました。
早期退職の条件
2つのポイント
世の中の流れとしての60歳定年の時に継続雇用するかしないかの判断に悩む中、早期退職はイレギュラーなことだと思います。
親の遺産があるとか、宝くじに当たったなんていう夢物語の話なんてもちろんありません。
条件はいろいろあると思いますが、主に2点上げたいと思います。
■家族の理解と将来のビジョン
何といってもカミサンの理解と協力でしょう。子どもは成人後、独立して家から離れていきますが、カミサンとは一生涯共に生きていきます。自分だけの生きがいや娯楽だけでなく、二人の将来をどのようにしていくかというビジョンについて、しっかり話し合うことが必要だと思います。
それと定年まで働かず「なぜ早期退職するか」という理由を二人で話し合っておくことでしょう。 後になって定年まで勤めていればよかったのにということにならないように。
■生活資金
将来のプランはあっても先立つものがなければ絵空事になってしまいます。
現在手持ちの金融資産があるから大丈夫ということでなく、平均寿命まで生きる仮定での収支計算ができているということが必要だと思います。
この場合、できるだけ高額の金銭的負担がないという条件が前提になります。
例えば、住宅ローンの残債、子どもの教育費、家のリフォーム、両親の介護資金、その他借金がないということです。 もちろんそうした支出があっても対応できる資金があれば別ですが。
将来において不測の事態に備えておきたい資金を考えた場合、ある程度想定できることとプラスアルファについて考えておく必要はあると思いますが、それ以上のことは限りがありません。 早期退職に限らず60歳定年、65歳退職時も同じだと思います。
お金の使い方
退職後の金融資産は「右肩下がり」か?
現行の公的年金制度では、60歳前半から年金を受給している世代もありますが、昭和36年生まれの年代からは、65歳からの受給が決定しています。
60歳定年で完全リタイヤする場合は無収入となり、当然ながら金融資産の取り崩しで生活をしていくことになります。又、65歳まで継続雇用で働いても収入減となり生活にゆとりがなくなります。 どちらにしても手持ちの金融資産は目減りしていくことになります。このようなお話は退職後の生活資金についてネット検索すれば多くのサイトに掲載されています。
このような金融資産の「右肩下がり」は、将来のことを考えると精神的にネガティブな気持ちになります。
私は金融関係の仕事をしていたわけでもなく、リスクを伴う投資など全く考えていません。資産を「個人年金化」するように考えてみたらどうでしょうか。
毎年受け取る金額と期間を決めた確定年金です。公的年金以外の収入になります。
個人年金+公的年金>支出総額になれば、翌年への繰り越し残高となり右肩上がりになりす。 もちろん個人年金だけでは、金額的にも不足しますので、確定拠出年金(企業年金)と厚生年金基金を一括受取にしないで年金化する方法です。 単純に総資産は変わりません。最初に総資産を手持ちとしているか、資産を将来受け取る個人年金として分割するかどうかの話です。普通預金、定期預金として預けておくより受け取り期間をずらした複数の個人年金にすることで、将来の安定した収入計算ができます。できれば若い時からやっておけば配当も多くつきます。
退職後の場合は、いざという時の資金だけ残して配当付保険にするという方法です。
30歳代~50歳代
現在手持ちの定期預金や財形を確定年金に切り替える。受取り年齢を変えて複数の個人年金にする。保険料は、積立預金をしていると思えばよい。
個人年金は、例えば3年以内に解約した場合、元本割れするといったリスクはありますが、どうせ定期預金などにしているのであれば特に問題はないと思います。
あくまでも「右肩下がりか、右肩上がりか」の考え方ですのでご参考にしていただければと思います。
健康寿命期=自分たちに投資する
「せっかく貯めたお金だから将来の老後のために残そう」という考えは、公的年金受給の繰り上げや受取年金の減額などが現実になっている今、当然のことだと思います。
毎日の生活資金は必要ですが、その他は夫婦の介護費用や医療費などの備えということでしょう。その金額がいくらになるか分かりませんし、人それぞれだと思います。
支援、介護認定を受ける身体になった時、その資金は有効に使われるでしょう。
しかし、その時のためだけに確保しておくものだったら、あまりにも人生寂しいと思いませんか。 想定される老後の資金は必要ですが、それ以上の資産を漠然と預金してあったり、子や孫に残すという考えもあるかもしれません。
私たちの場合、資産は有効に消費していこうという考えです。健康な身体で自由に動き回れる健康寿命期にこそしっかり使って悔いのない人生を送っていくことです。
家計簿
「え~家計簿!」なんてサラリーマンだったご主人、バカにしないでくださいね。
サラリーマン時代、管理職の立場にあった方はお解りと思いますが、会社全体、又は、支店などの経営のための予算管理をさんざんやられてきたのではないでしょうか。
収入と支出バランスから最終利益(経常利益)をいかに捻出していくかは、仕事の中でも大きなウェイトを持っていたはずです。
家計においても全く同じです。ただ、人件費の予算管理に頭を悩ませなくなったという点ではだいぶ楽ですね。
退職後の家計の場合、収入は極端に落ち、支出は大きく変わらないため、どうしても収支バランスは崩れていきます。 したがって、いかに支出を抑えていくかといことに専念してしまいますが、今までの生活水準はなかなか変えられるものではありません。又、あまり節約などと言ってみじめな生活もしたくはありません。 通常、家計の支出は、毎月消費される支出(食費、光熱費、通信費など)と年間、半期などにまとまって支出(税金など)されるものと大きく二つに分かれます。
一般的に夫婦二人の生活費は、月額平均27万円前後かかります。但し、この金額は日常の必要生活費だけです。その他、税金や保険料、車があれば車検やメンテナンス費用、冠婚葬祭などの経費がプラスされます。例えば、その他経費を年間100万円とした場合、年間予算は約420万円前後です。健康寿命期まででしたら、更に、娯楽や旅行などの費用も加わり、年間500万円近くになるでしょう。
家計簿は、かかった経費を記録するだけでなく、各経費項目ごとに予算化することで全体をコントロールしていくことが目的です。
日常の生活費は、ほぼ予測でき極端に変わるものでもありません。健康寿命期に必要生活費以外の趣味や娯楽のための予算を組むかということが、大きなポイントになります。
予算を組まないと単に浪費しているという感じになり、やりたいこともできないという感覚につながっていきます。 予算化することで、これだけ使えると思えばポジティブに気持ち良く消費することができると思います。