NHKBSプレミアムアーカイブス 「定年・夫婦で走った40日~中米横断トレーラーの旅~」を観て
熟年夫婦だから考えたい定年後の生活
先日、長い付き合いのある友人からメールがありました。 「興味あるテレビ番組があるから観てみない」というメールで、4月7日午前9時からのNHKBSプレミアムの再放送番組でした。早速調べてみると、昨年9月に放映されたものでアメリカの熟年夫婦キャンピングカーの旅番組のようでした。 趣味にしているくるま旅ということで、これは面白そうだと思い友人にお礼の返信メールを出し、後でカミサンにも観てもらおうと録画しながら観てみました。
番組の内容は、アメリカのテキサス州マッカレイから中米6ケ国を訪ねながらパナマまでの5000kmをトレーラーキャンパーで旅するドキュメンタリー物語です。全米各地から24組47人の熟年夫婦が参加し、トレーラーを連ねながらの40日間のくるま旅です。 この旅のテーマは、定年退職を迎え新たな第二の人生をスタートしていくに当たり、これからの夫婦のあり方、生き方について考え語り合っていくことでした。
今まで過ごしてきた日々を振り返りながら、今後二人でどう生きていくのか。そして、お互いの人生をどう豊かにしていくのか。中高年の夫婦にとって真摯に受け止めなければならないテーマです。夫婦のあり方、夫婦の絆とは何か?改めて気づかせてくれます。 (番組解説:森田美由紀アナウンサー)
定年退職して第二の人生を走りはじめた夫婦、再婚して新しい人生を歩みはじめた夫婦、50代でお互い仕事を辞めトレーラー生活を楽しむ夫婦などさまざまです。51歳から78歳までの平均年齢67歳のご夫婦が参加したキャラバンでした。 アメリカでは自ら定年を決め退職する人は少なくないようです。
伴侶に先立たれた者同士の再婚夫婦:ハル、エレイン夫妻。 「残りの人生をひとりぽっちで生活するのはいやだった。僕はまた次の人生の目標を見つけたと思う。今まで試したことのない何かに挑戦したいんだよ」「あなた素晴らしいわ」
スティーブ、ジェーン夫妻。 「2年前お互い仕事を辞めてトレーラー生活を送ってるんだよ」 「私たちはいい親だったかどうかわからないけど、いつも子どもには尽くしてきたわ。子どもと接する時はいつも夫婦で事前に話し合って考えを確認し合ってきたのよ」 「このキャラバンが終わったら次はどこに行こうか、今度はカナダに行くよ」
ドン(68歳)とケイ(66歳)夫婦。結婚生活47年 「周りの人たちは、こんなことをするなんてどうかしてるんじゃないかって言うんだ。こんな冒険をするより無事に何事もなく過ごす方を選ぶからね。今までやったことがないことだからこそチャレンジしたいんだよ。今やらないときっと後悔するからね」 「僕は退職する時、何を人生の目標にするか考えたんだ。退職すると”夫という時は2倍になる”けど、収入は半減するんだ。どうやって充実した日々を送るか、行動しながら摸索しているんだよ」
マイクとペギー夫妻。「キャンピングカーのトレーラーハウス生活のくらしを夢みながら働いてきたんだ。月々の生活費は30万円だよ」
旅の途中、サンサルバドルで起きた地震の被災地カバラリア村を訪ね、アメリカから持ってきた衣類の寄付活動。
唯一単独参加のロルフ。2年前心臓病で妻を亡くしている。 「気持ちを切り替えていくしかないんだよ。妻の代わりはいないんだ。だから別の人と結婚する気になれないんだ。しかし、振り返ってばかりはいられない。残りの人生を精一杯生きないとね」 「この旅に妻がいないことがとても悲しい。美しい風景を見た時は、彼女がいればっていつも思っていた。でも現実を受け入れて今を楽しまなきゃと思った。僕がノースカロライナに返ったらこの旅を思い出すだろう。楽しかったことも辛かったことも決してわすれない」
ジムとバーバラ 共に69歳夫婦。 「お互いとても頑固なところがあるけど、結婚生活では常に相手のことを考えなきゃいけないこともあるよね。愛し合って結婚したんだから」 「僕たちは旅が好きなんだ。100ケ国訪れることが目標なんだけど85ケ国行ったかな。あと15ケ国だね。動けなくなるまでだね」 「今回の旅は、辛いことを乗り越えるたびに二人の間に確かに何か築かれてきていると思う。それが僕たち二人の次のステップへの力になるんだ」
ディブ58歳とリンダ57歳夫婦。 「楽しい旅でいろんなことを学んでいるね。お互いのこともね。僕ら発見したよね。たった8mの空間!暮らしていけるんだ」 ※8mの空間:トレーラーの長さ(キャンピングトレーラー生活のこと)
相手に対して興味を失なわない。無関心にならないこと。
ゲストの阿木耀子さんのコメント
「夫婦の会話は話題がないと成立しない。映画を観たり本を読んだりした後に感想を言い合ったり、少しでもいいから同じ共通分母を持つことが大切。共通分母になる友人や知人を多く持って、知り合った人はすぐに紹介し合うのがいい」
「夫婦円満の秘訣は、相手に対して興味を失わないこと。無関心にならないことが大切。無関心は一番夫婦をダメにする」
「日本には阿吽の呼吸というものがあり、長年連れ添っているとそれで済ませてしまうことがある。ほんとうはちゃんと語り合わなければならないのに。言葉にちゃんとあらわした会話をすることが大切」
今回のこの番組は「熟年夫婦のリタイア後の生活のあり方や生き方」をテーマに、40日間のキャンピングカー生活を通して考える物語でした。24時間四六時中ずっと行動を共にするのですから、これからの長い人生を夫婦二人で歩んでいく上で、試される旅であったと言っている参加者もいました。 アメリカにしろ日本にしろその生活習慣の違いがありますが、リタイア後の夫婦のあり方生き方については共通する課題だと思いました。 この番組はドキュメンタリーです。台本も演出もありません。ありのままの夫婦の姿を映しています。特に印象的だったのは、女性の考え方が明確で夫に対してはっきり自分の意見を言う姿でした。 「あなたそうだたっわね」「私はこう思うけどあなたはどうなの」「いつも二人で話し合って決めてきたわよね。私たちはいつもチームだったわ」・・・。 日本の場合一概には言えませんが、夫は”俺についてこい”的な感覚で、”言わなくてもわかるだろう”的な自己解釈、そして”一方的な阿吽の呼吸”で自己満足して、特に問題はないだろうと勝手に思い込んでいたのではないでしょうか。 日本の女性の場合、はたしてそれで理解し了解していたのか? そんなことはありません。日本もアメリカの女性と全く同じで自分の意見・考えをはっきり持っています。 ただ違うのは、そうした意見や考えを受け入れる側の男性(夫)にあったのだと思います。阿木耀子さんが言うように「ちゃんと語り合わなければならない」という一言にあらわれています。 更に、この年代になれば「親の介護」問題もあります。これもまたしかりです。
夫婦間の共通分母
私たち夫婦の場合、結婚以来35年間夫婦共働きを続けてきました。一般的な家庭以上に夫婦のすれ違いはありました。しかし、夫婦間における共通分母があったことが今思えば良かったのではないかと思っています。数十年来付き合いのある共通した数組のご夫婦家族、登山やくるま旅の共通した趣味、映画や本の感想を言い合う習慣などです。 私の友人には二つのパターンがあります。前述した地元地域の友人夫妻たちと現役時代の職場の友人たちです。後者の友人たちとは年に数回会って懇親会を囲みます。この年代になって話題になるのは「孫の話・病気・親の介護そして夫婦間のこと」です。そして一番深刻な話題になるのが「夫婦間のこと」です。女性の場合は、今まで培ってきた地域や友人たちとのつながりが深く、そちらでの付き合いやコミュニケーションがあります。 男性の場合、仕事一筋できて定年退職を迎えた後・・・さて? ということになります。 この懇親会では、残念ながら「さて?」という話題になり皆さん苦労しているようです。 ”俺についてこい” ”言わなくてもわかるだろう” ”一方的な阿吽の呼吸” という種を撒き続けてきた結果が今の現状です。
ではどうしたらいいのか。深い溝を修復するには時間がかかると思いますが、阿木耀子さんのコメントにもあるように、まずは共通分母を探し、相手に対して興味と関心をもつ努力をすることだと思います。
今回の番組は、これからの熟年夫婦のあり方、生き方を再考するものでした。 この放送を観た方もいらっしゃると思いますが、どのような感想を持ちましたか? 全てではないですが、男女問わずいろいろな状況に応じて「自分を変えていく」ことも必要なことではないかと感じました。
面白いテーマでした。
現役のときは、お互い忙しくてなんとかなっても、定年後は夫婦向き合って、すり合わせしながら生活しなくてはなりません。
気づいたとき、埋められない溝どころか、大河の濁流になっていた…ということを知る人もいるでしょう。
夫婦で協力しないとできない、サバイバル旅行は、夫婦のあり方を試されます。
若くても、年老いても、その行動、判断力によって、夫婦仲の強さが決まります。
そういう経験を1年に1回でもしていれば、熟年離婚はないと思います。
家犬さん、コメントありがとうございます。
今、寝床から寝る前にスマホでブログを開けたら家犬さんのコメントが入っていたので返信しました。この番組を録画に撮って何度も観てましたが、南米旅行中の家犬さんとダブリました。ご主人と共に素晴らしい思い出に残る旅を続けてください。