キャンピングカー(くるま旅)

新しい生活

自分たちに投資する

 

完全リタイア後は、自由な時間が得られます。
仕事一筋で走り続けてきて、やりたいことも出来なかったり、又、家庭の主婦も家事や育児に追われ夫婦でゆっくり語り合うこともあまりなかったという方も多いと思います。お互い自分自身を見つめ直す時もなく、ひたすら目の前にある仕事に向かってきたのではないでしょうか。
これからの人生をスタートしようとする時に何を考えますか?

藤正巌氏(医学博士)の著書の中から
日本のマスコミの論評はひどくお節介である。中高年のひとに「あれをやったらだめ、これをやったら危ない」と言うのは何故だろう。
それに乗せられた中高年の人達は、自分は歳をとってきたから、これからはなるたけ余計なことをせずに、孫の話にのめりこむか、仲間とつるんで物見遊山の団体旅行の自慢話にうつつを抜かすことにしようとなることが多い。
その結果せっかく一人や夫婦で過ごせる自由な時間と、この世代のもつ能力と資金は有効に消費されず、残された遺産を子供達が狙う話が多発するようになった。
せっかく得た自由な時間と自分たちの金だ。金は墓場までもってゆけない。
そんなことより、中高年のもつ長い時間と金を、新しい自分たちに投資したほうがよほどよい。

 

自分の人生に対する考えは、個人によってそれぞれだと思います。
孫が可愛いのは誰でもそうだと思います。それが生きる張り合いになっているのであればそれもその人の人生の価値ということでしょう。
又、仲間との旅行も楽しく充実しているのであれば、それもその人の生き方であるということだと思います。
藤正氏の言わんとしていることは、新しい自分たちに投資することで、そういう考えや生き方もあるんだという提唱だと思います。
私もそうした生活を送っていきたいと考えています。

 

キャンピングカー(くるま旅)との出会い

 

私は、車マニアではありません。
ごく普通に交通手段として利用する程度で、車に関する知識はほとんどありません。
国内旅行をする時、交通機関として電車、バス、自家用車、旅客機、船などがあります。私の場合、ほとんどが自家用車です。理由は、行き先での自由な時間調整ができることです。又、時刻表とにらめっこしないでロスタイムが少ないことば便利です。更に自宅から目的地まで荷物を持たずドアツードアで行動できることです。

私たち夫婦は、登山という趣味があり、又、全国を巡る旅をしてみたいという夢がありました。
登山の場合、装備を詰め込んだリュックを背負い、山中の登山口まで行かなくてはなりません。特に夏山は早朝5~6時スタートになります。前日、又は当日早朝に登山口やその周辺に到着していることがベストです。
今までは、前日近隣のホテルに素泊まりするか、深夜3時頃に車で向かうといった状況でした。
はじめからキャンピングカー(くるま旅)を購入して旅をしようという考えはありませんでしたが、こうした登山と観光旅行において、交通手段+宿泊を同時に満たしてくれるツールとして浮かび上がってきたということです。
前日に登山口やその周辺に車中泊しますから、身体的にも足が伸ばせるフラットなベットがあれば最高です。又、簡易的な食事やくつろげるスペースがあれば尚便利になります。運転のしやすさ、外観、内装デザイン、装備、快適性などの希望に合うキャンピングカー(くるま旅)を探しました。

 

キャンピングカー奥只見

 

キャンピングカー(くるま旅)で非日常生活を!

 

”日常生活から離れ、時間に束縛されず自由に好きな所に行こう”というのが、私たちの考えです。
ただ闇雲に走るということでなく、必ずどこに行くか、何を楽しむかという目的を持ちます。行く途中や行った先で新しい発見が見つかれば、より楽しい旅が続けられます。日本は狭いといっても実際に車を走らせれば広いものです。
好きな山々や高原からの眺望はもちろんですが、農村、漁村、城下町などの地域を巡る旅もしてみたいと思っています。その土地で生きる人たちとのふれあいがあれば、更に充実した思い出深い旅になると思います。
こうしたことは、日常生活の中で味わうことはできません。感動を共有したり、新しい発見こそが旅の良さだと思います。

 

能登軍艦島

 

キャンピングカー(くるま旅)の現状と取り巻く環境

保有者の92%が中高年

 

この数字は、それほど驚くものではないと思います。
考えてみれば20代~30代は、収入もまだ低く、子育てや住宅ローンに出費がかさみ経済的にも時間的にもゆとりがありません。
40代~50代の保有比率は50%を超えますが、2007年以降減少傾向になってきています。これは東日本大震災の影響もありますが、全体的には景気の低迷による賃金の頭打ち、更に減少に転じてきているということ。又、公的年金の受給年齢が上がり将来への蓄えに回り、余裕がなくなってきている状況もあります。
しかし、車を使った旅行が減っているといことではなく、むしろ高速道路の割引もあり、又、道の駅・SAなどの施設拡充による観光化でくるま旅がしやすい環境になってきています。

最近は車中泊ブームです。特にワンボックスタイプの乗用車が増えています。
後部座席を倒しフラットな状態にするだけで寝床に早変わりします。専用の敷きマットも販売されています。私たちが実際車中泊した場所で観察した時もエスティマ、VOXY、ステップワゴなどのワンボックスカーが圧倒的に多かったです。 キャンピングカー(くるま旅)の生産、販売台数は伸びています。40代~50代の保有者は減ってきていますが、60代以降の保有者が拡大しています。現在、4割を占めていますが、今後更に増えていくことは明らかです。

日本RV協会 キャンピングカー(くるま旅)総合情報サイト

2012年キャンピングカー(くるま旅)白書から(日本RV協会) キャンピングカー生産台数表

 

銚子

 

夫婦二人のキャンピングカー(くるま旅)が57%

 

この数字は、更に増えていくと思います。
60代の時間とお金にゆとりがある世代が、車以外の交通機関を利用しての国内・海外旅行を見てもおわかりのように圧倒的に中高年ご夫婦の旅が目につきます。
くるま旅も同様です。私たちも実際に経験してみましたが、60代以降のご夫妻がファミリーを圧倒しています。
過年度の推移を見ても明らかなように、年々その比率は増加傾向にあります。
又、時間やお金に余裕があるということ以外にも旅行費用の安さや車社会を取り巻く施設環境も整ってきた状況があるのではないでしょうか。
ユーザーの年齢構成と同行者

 

キャンピングカー(くるま旅)の
1日当たりの旅行費用2万円未満が70%

 

旅行費用の中で交通費や宿泊代の占める割合は大きいです。
この点、車中泊ですとガソリン代、高速料金はかかりますが、宿泊代はゼロです。
有料駐車場、オートキャンプ場などを利用してもその金額は少ないです。
もちろん、車に投資した費用は、ホテルや旅館の宿泊料金の何日分に相当するかという話になれば別ですが。
車中泊の場合、1万円未満が45%、2万円未満が7割を占めています。内訳は、一般の旅行と同じように飲食代や観光地の入場料、乗り物代、ショッピングです。宿泊料金がかかっていないため、この金額でまかなえるということです。
国土交通省官公庁の「観光白書」(平成21年度)によりますと、1人1泊当たりの観光消費額は、2万7593円であることから、1家族で1日当たり2万円未満がいかに安いかということがわかります。私たちの場合も実際この金額に相当しています。 旅行費用

 

道の駅とコンビニ

 

ここ数年、道の駅、高速SAの増加と施設の充実は、目を見張るものがあります。
軽食と休憩の場所から有名ブランドショップ、地元特産物や新鮮地場野菜、魚介類の販売又、温泉施設の併合、ドックラン、その他アトラクションの催し物など揃い、レジャーランド化しています。
現在、道の駅は全国で1014ケ所(平成25年10月)に拡大しています。
コンビニエアンスストアは、全国で49323店舗(平成25年12月)あり、日本のどの地域に行っても存在します。
特に私たちは、登山のため山間部まで車を乗り入れますが、どんな僻地においてもコンビニがあるので助かっています。
又、日本は温泉大国です。キャンピングカー(くるま旅)の場合、入浴が大きな課題となりますが、どのエリアに行っても必ず日帰り入浴施設がありますので便利になってきています。

 

キャンピングカー(くるま旅)の日本と欧米との違い

 

アメリカハイウェイ

 

当初、日本のキャンピングカー(くるま旅)は欧米からの輸入がほとんどでした。
又、国産車であっても車内の装備を真似た仕様の車が多く、このため車両価格は高くなり一部の富裕層のものという感がありました。
欧米のように土地の広さや文化の違いを考慮せず、かたちだけを取り入れたのでは、大衆からみても高嶺の花のような存在だったのではないでしょうか。

以前、アメリカ旅行に行った時、ハイウェイを車で走らせる機会がありました。広大な土地に道路が一直線に地平線まで伸び、ハイウェイ沿いにはSAが一か所もなく、水・食糧トイレなどの生活必需品や施設は、次の町まで何百キロも走らせなくてはなりません。このため、走っているとオートキャンプ場が多く目につきます。それだけ需要があるということだと思います。キャンプ場では、キャンピングカー(くるま旅)に直接、水道・排水管・ガスをつなげるといった具合です。
つまり、キャンピングカー(くるま旅)を一つの住宅とみたて、宿泊地に設置するというものです。日本とアメリカの国土と車を取り巻く環境は、このように大きな違いがあります。キャンピングカー(くるま旅)に関する情報や装備をそのままアメリカから輸入、又は、それを真似ての国内生産は少なからず残っていることは否めません。
はじめてキャンピングカー(くるま旅)の内部を見た時、キッチン、トイレ、シャワールーム、ベットなどの装備に驚き、まさに動く住宅「自由の象徴」たる夢を抱きます。
はたして、フル装備のキッチン、トイレ、シャワー、電子レンジは必要でしょうか?
たしかにあれば便利です。しかし、その使用頻度と手間を考えた時、現実にはほとんど使わない物を延々と運び続けていることに疑問を感じます。当然、その設備費用は車体価格に反映され、走行燃費も格段に落ちます。日本全国の駐車場の1台当たりスペースは、ほとんどが普通自動車用の面積です。又、道路幅も狭いです。

奥様!旅先で三度三度の食事や掃除などの家事はしたくはありませんよね。ましてや、トイレの後始末や重たい水タンク運び、排水処理はどうしますか?タンクの水は飲料水としては不適切です。日が経つにつれて雑菌が繁殖します。飲料水は全国どこでもスーパーで2L100円前後で購入できます。
普段の生活から離れ「非日常生活を求め、ストレスのない旅がしたい」という想いがあるのではないでしょうか。

 

キャンピングカー(くるま旅)仕様の方向性

必要な車内設備

 

どんな旅行でも家財道具一式詰めたカバンや食料を持って旅をするスタイルは、ほとんどないと思います。
帰る家のない種田山頭火の「放浪の旅」ではありません。必ず帰る家があります。
今では、旅行先に行っても必要な物は、どんなものでも手に入れることができます。
極端な例ですが、海外旅行に行く時、着替えさえも持っていかない話を聞きます。なぜならそれらは現地で安価に調達できるからです。空気の入った軽いバックを持って出かけ、帰りはお土産でいっぱいにしてくるといった話です。 キャンピングカー(くるま旅)も同じことです。行き先は違っても必要最低限の荷物は変わりません。変わるものとしたら季節によっての衣類と寝具用品でしょう。
では、設備について考えてみると最低必要な装備はどんなものでしょうか。車を取り巻く環境を考慮すれば明らかになってきます。

キャンピングカー(くるま旅)装備

 

快適な固定ベットの必要性

 

キャンピングカー(くるま旅)の利点は、生活できる空間をどこにでも運んでいけることですが、最大の長所は備え付けベットにあると思います。
1日の生活時間の三分の一は、就寝にあてられます。旅行でホテルや旅館に宿泊した時も実際の利用時間の約半分は、多分寝ているのではないでしょうか。
だからこそ、足を伸ばしてゆっくり身体を休めることができる快適ベットが必要だと思います。
最近、キャンピングカー(くるま旅)の中でも備え付けベットがなく、後部座席を畳んでベット代わりするタイプの車が多く見られます。たいへん残念なことだと思います。これでは普通乗用車のワンボックスカーと変わりません。
ベットをつくる時、荷物を整理しなければなりません。掛け布団、枕も用意しなければなりません。更に、座席の上にマットを敷くのですか? ベットをつくるための手間をかけ朝起きたら片づけるといった具合です。
こうした後部座席を折り畳み式ベット仕様に製造した販売会社は、ほんとうにキャンピングカー(くるま旅)の利用目的や使い勝手について考えているのかという疑問を感じます。

 

乗車定員二人乗り仕様を考える

 

一般的に普及率の高いキャブコン、バンコンタイプの乗車定員は5~8人くらいです。私のバンコンも定員5人です。前部座席2人、後部座席1列3人です。
バンコンの場合、後部座席2~3列タイプの車もあります。ファミリーですと便利ですが日帰りかせいぜい1泊2日旅行でしか機能しません。
日常生活の中で親や友人、知人を乗せて遊びに出かける時もありますが、その頻度はどのくらいでしょうか。現実には、そうした機会は、ほとんどないといってもいいでしょう。 ヘビーユーザーは、統計的にも60代の夫婦二人が圧倒しています。この傾向は更に伸びようとしています。

ある専門誌に
余裕をもって使うには夫婦と犬(ペット)程度、運転席も安全に過ごすには、最前列に座れる人数を定員と考えた方がよい。実際、ヨーロッパ製のキャンピングカー(くるま旅)では二人乗り用に設計してある車種が多い。
二人乗り仕様にした場合、無駄なスペースが排除できます。必要とする設備が充実できます。その一例が、複数の後部座席です。これを取り除けば、二人がゆったり座れるソファーと空間が確保できます。ここで強調したい点は、「座席ではなくソファー」であることです。
限られた車内スペースの中を、いかに快適に過ごせるようにするかということは、個人の使い勝手や価値観によってそれぞれだと思います。車を取り巻く環境の変化、最も伸びているユーザーの世代を考慮した車づくりを考えた時、販売会社は、目先の多機能にとらわれない明確でシンプルなコンセプトを持った提案が必要ではないかと思います。

 

私たちのキャンピングカー(くるま旅)

リビングとベットを重視

 

車選びは、通常の自家用車を購入する時とは全く異なる動機です。誰でもがそうだと思いますが、購入ポイントは、やはり快適性を重視したものになるでしょう。
今では、ネットや専門誌が充実していますし、キャンピングカーショーや近隣の販売店に足を運べば実際に実物を見て確認できます。
私たちの場合は、はじめからリビング・ベット・収納の充実さに重点を置きました。その他の機能は、道の駅、高速SA、コンビニなどで充分対応できるからです。
2013年2月、幕張で開催されたキャンピングカーショーで希望に合った車を見つけ購入しました。
販売会社は、キャンパー鹿児島です車種はバンコンで、ハイエースのワイド・ハイルーフのロングバンです
ネーミングは「rem」というように安眠です。名前のとおりベットルームが充実しています。セミダブルのため大人二人でも充分な広さです。マットも通常のベットと同じような素材のため寝心地がとてもいいです。又、ルームが隔離できるため寝室といったかたちです。
リビングは、家具調デザインに統一され落ち着きがあります。座席は、残念ながら従来の折り畳み座席でソファータイプではありません。
全てにおいて、自分たちが求める機能と仕様には、まだ至ってはいません。
しかし、私たちが望む車内設備では満足のいく車です。

いろいろな機能をもった車はたくさんあります。定年退職後、夫婦二人でこれからのセカンドライフをキャンピングカー(くるま旅)で楽しもうと考えている皆さんに少しでも参考になればと思います。
見た目の多機能にとらわれず、いかに手間をかけずに快適に過ごせるかという点に重点を置いてください。大きな車は、運転や駐車スペースに神経を使います。トイレ、シャワー水道設備などは使用頻度を想像してみてください。折り畳み座席、折り畳みベット、組み立てテーブルなども手間を考えてみてください。固定の収納スペースが少ない車内は、市販のBOXやバック、紙袋など散乱するのが目に見えています。
車内生活で最低必要な機能さえ充実していれば、あとは車外で充分対応できる時代です。

 

キャンピングカー(くるま旅)車内設備

 

座席は折り畳み式で、背もたれは常時運転席側に設置。他の人が乗らないので後部座席はほぼこの状態で固定しています。

 

車内 座席

ベットはセミダブルのためゆったりしています。マットの素材が良いため、安眠できます。運転に疲れた時、いつでも横になり昼寝ができます。又、仕切り戸があるので騒音や光もある程度遮断できます。

 

車内ベット

テーブルは取り外しができますが、設置のための手間がかかります。できれば折り畳み式のテーブルの方が便利です。

 

車内テーブル

給排水設備。実際多くのキャンピングカー(くるま旅)に設置されていますが、私たちは、ほとんど使用していません。理由は、タンクに水を入れて運ぶ作業や排水タンクを洗浄する手間がかかります。基本的に水を使う調理はしないので。

 

車内給排水