60歳からの現実(リアル) (13)

退職後5年目を迎えて

 

早いもので退職してから4年の月日が経ちました。
完全リタイアしようという気持ちで早期退職を決断してからあっという間の歳月でした。

今年61歳になりますが、世間一般では継続雇用などで働き続ける人がほとんどです。
この歳で身体的な事情(病気など)や家庭の事情(介護離職など)以外で完全リタイアする人は多分数%でしょう。
自分の意志で早期退職、又、60歳定年退職後完全リタイアする人は意外と少ないということが分かった4年間でもありました。

定年退職後、継続雇用や転職、起業などで働き続けている方は、それなりの理由があると思います。
それは将来老後のための経済的な理由もあると思いますが、その他、生きがいや働きがい、体力維持なども含めいろいろな思いが重なり合っているのが現実だと思います。

この4年間に私の身の周りの友人知人、同僚以外で、60歳を超えて働き続けている人、完全リタイアした人との出会いが数多くありました。
それは、登山やくるま旅を中心にその他各種イベント、講座、集会など・・・。
そうした方々との出会いは、とても新鮮で学ぶことが多いように思いました
私も含め多くのサラリーマンは、今まで会社というひとつの組織の中で長年過ごしてきました。
そのことがいいとか悪いとかと言うことでなく、いろいろな価値観や物の見方、考え方が固定されたり、偏ってしまう傾向があったのではないでしょうか。
このこと(固定観念や偏ってしまう傾向)は、自分自身が意識しなければ分からないことですが、初対面の同世代の方との出会いの中で驚きに似た発見が多々あります。
例えば、海外に行って初めて異文化と接した時の驚きや困惑のような感じです。

今や情報社会といっても、自分たちが思っているより現実は狭い範囲(社会、生活圏)の中で過ごしてるんですね。
別にそれでも毎日の生活に支障はありませんが・・・。
しかし、せっかく60歳という人生の大きな節目まで生き続けてこられたわけですから、今までとは違った自分探しの道を模索してもいいんじゃないかと思います。
それは、働き続けることの中で、又、完全リタイアする中でも、自分の意識を変えることができるように思えます。

この4年間そうした方々との出会いは、これからの生き方、過ごし方を考える上で大きなプラスになりました。

 

与えられたものから次は自分が目指すもの

 

人生はよく山で例えられます。

働いている頃は、一つのピーク(与えられた数値目標・予算など)を目指してがらむしゃらに登るイメージがあります。
今、5合目まできたから次は7合目を目指せ、次は9合目だ!などとか・・・。
そしてそれが達成、あるいは一定の成果に達すれば、次のピーク(目標)が新たに課せられます。
個人が設定した目標というより、あくまでも組織(会社)から与えられた(課せられた)指標なんですね

退職後の人生では、そんなピークハントとはおさらばです。
登りたい山、標高の高い低い山の設定は個人の自由です。
今までは途中休憩はできませんでしたが、これからは自由に休憩して景色を楽しむことができます。
そして何よりもピークハント(会社・組織などの目標達成主義)ではなく、縦走登山に切り替わります。
縦走登山の魅力は、森林や高原の花、景色をゆっくりと鑑賞しながら登ることができ、一つのピークを超えたら次のいろいろな峰が現れてきます。(自分で見つけた新たな発見)
次はどこに登ろうかという期待と不安、そしてワクワク感があります。
与えられたもの(目標)から自分が次に目指すものが見えてきます。

 

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そんな「山の話(人生に例えて)」と関連して、私は登山が趣味です。
退職後自由な時間を使って多くの山に登る機会が増えました。
こうした中でピークハント登山(一つの峰を目指す)よりも縦走登山の面白さに気づきました。
ピークハント登山は、目指す頂上に立った時の達成感はありますが、その後は下山だけになります。
登山道は整備された一本道ですから迷うことはありません。

では縦走登山の場合は、どうでしょうか。
一つの峰(ピーク)を超えたら次の峰が見えてきます。そしてそのルートは複数あります。
どのルートで次の峰を目指すか自分で決めます。途中の宿泊地(山小屋)も決めなければなりません。
又、稜線歩きですから天候も考慮に入れて、当初予定したルートや山小屋の変更もあります。
更に、長時間の登山ですから自分の体力と相談しながら判断しなければなりません。
つまり、奥深き山の中で全てのことを自分自身が次の行動を決めなければならないという状況になります。

決まったルートを登って下りてくるピークハント登山もそれなりに達成感がありますが、縦走登山に比べその醍醐味がありません。
縦走登山にはその面白さ、ワクワク感などギッシリ詰まっています。
登山中のさまざまな判断など全て自分自身が決めて達成できれば、その充実感や喜びは何倍にもなります。
逆にうまくいかない、たどり着けない場合もあります。しかし、自分で決めて判断したことですから後悔はありません

定年退職後、継続して働き続けることも、完全リタイアすることも個人によってさまざまです。
どちらにしてもできることなら後悔のないものにしていきたいですね。

6 thoughts on “60歳からの現実(リアル) (13)

  1. 今晩は。我が家の近くでは桜の花が咲き始めました。
    アメリカ、ポトマック川からやってきた桜の木で一足早く咲き始めます。
    やはりこの時期は特別ですね。

    前置きが長くなりました。

    >自分で決めて判断したことですから後悔はありません。

    私もこういう考えがとても好きです。何でも人のせいにすることは簡単ですが、
    あまり楽しい生き方ではないように感じます。

    すーさんは今年で61歳ですか。
    私は昨年から公的年金と個人年金が満額出るようになりましたので、やはりとてもありがたいです。
    年金はとても大切ですね。しっかり働いておいてよかったです。

    今の時代、60歳過ぎても働き続ける人の方が確かに多いですね。様々な理由があると思います。
    人それぞれだと思います。

    私も週に一日ボラバイトをしていますが、(我が家の猫神様のご飯代くらいになります。笑)
    今まで知らない世界を知ることになり、何でも学びだな~という思いです。
    若い時のように素早い行動は無理ですが、少しでも他の人のお役に立つことができたら
    やはり嬉しいな・・・という思いです。

    どんな人にも(すべて生物)必ず終わるときがあります。日々の生活を大切にしながら
    その時まで前向きに過ごしていこうと思います。

    1. Roseさん

      コメントありがとうございます。
      関東地方は来週あたり桜が満開になりそうですね。今から楽しみです。

      Roseさんは週に一日ボラバイトされてるんですか。週一回でも生活のリズムができますよね。
      退職すると行動範囲が狭まり、人とのコミュニケーションの頻度が落ちますよね。
      だからこそできるだけ外に出ていろいろな刺激を受けたほうがいいですよね。

      この歳になると、どんなに小さなことでも「誰かのために」という気持ちが強くなるように思えます。それは働いている時でも、完全リタイアしてからでも全く同じだと思います。
      こうしたことが生きがいにつながるんでしょう。

  2.  こんにちは。またまた興味深く読ませてもらいました。

    私は・・・あまり自分のことばかり書くと嫌がられるとは思いますが(笑)、50歳で訳あって
    一度早期退職し、それ以降53歳から62歳までまったく別の仕事をしていました。この後半は
    それまでのサラリーマン生活から一転して、どちらかと言うとすーさんが書かれているように
    「自分で決める」という生活でした。
     その経験からすると「自分で決めたことだから」後悔もし反省もする、という感じです。ただ
    し、自分だけのことを考えたら「後悔」はありません。あるとしたら、家族に心配や迷惑をかけ
    たな、という一点においてです。
     もし会社にしろ何にしろ「他者」に決められた道を選んでも、選ぶのはやはり自分、選ばない
    のも自分なので、どちらにしても同じかもしれません。つまりどちらに転んでも「他者をうら
    む」という方向には行かないかな、と、その点だけははっきりとしていますね。

     昨年末に仕事をクビになり現在63歳で名実ともに(?)リタイヤしていますが、それでもや
    はりこれからも「自分の道は自分で考え選択し決めていく」ということかと思います。あまり
    「自己責任」という言葉は好きではありませんが、少なくとも個人の幸福は自分で自分の生活を
    コントロールして初めて得られ、「他者」に非や責任を押し付けると、そのこと自体で自分の幸
    せに対するコントロールをも他者に明け渡してしまうことになると思うからです。

    1. リンロン88さん

      いろいろな経験や苦労されてきた方のお話しは、何か深い意味が込められているような気がして、たいへん参考になります。

      いつも自分のことだけをブログで書いていると、他の同世代の方の生き方や今まで過ごしてきた背景などすごく興味があるものなんです。
      他の人はどんなことを思っているのかな~とか、考えているのかな~など・・・。
      そういうことでは「嫌がられる」ということないと思いますよ(笑)

      私は35年間同じ会社勤めてきたわけで、いわゆる終身雇用のようなものでした。
      私の上司や先輩だった人の中には転職していった方が何人もいました。又、先日会社時代の友人たちとの飲み会で52歳で転職した人がいました。
      彼が言うには、「家族に心配かけているが自分の力を試してみたい」と目を輝かせていました。
      人それぞれいろいろな考えを持って生きているんだな~と思いました。
      自分で選んだ道だから後悔はないと思います。

      私たちは子どもの頃から「比較する、比較される」人生を歩んできました。
      そのことをバネにしてより一層飛躍、成長してきたこともあります。
      しかし、全てのことをそうした尺度で捉えてしまうことが、はたしていいのだろうかと思う時があります。
      若い頃は、そうしたこと(比較する、されること)を励みにしても、私たちの世代になればもういいんじゃないかな、と思います。
      他人はどうあれ、自分や家族のことを中心に自分自身の生き方をじっくり見つめ直す時だと思っています。

  3. 定年退職後、継続して働き続けることも、完全リタイアすることも個人によってさまざまです。
    どちらにしてもできることなら後悔のないものにしていきたいですね。→まったくその通りと思います。私は
    定年後も引続き同じ会社におりますが、人それぞれです。最終的には人生これでよかったと思えるように
    過ごすことと思います。若い頃少し山登りしていたので、徐々に再開しています。ブログ゙参考にさせていた
    だいています。

    1. ようちゃん

      はじめまして。コメントありがとうございます。
      定年というとイコールリタイアという言葉が浮かびますが、今の世の中ではイコール継続雇用(働き続ける)が当たり前になっていますね。
      100人いれば100の考え、想いがあって、その後の人生を自分で選んで歩んでいるんですよね。
      ようちゃんさんがおっしゃるように「人生これで良かったと思える過ごし方」であれば一番いいと思います。

      若い頃登山されていたんですか。
      登山に行った時、そうした方が大勢いましたよ。「若い頃はガツガツ登ったけど、今ではゆっくりマイペースで」と言う方がほとんでした(笑)
      私も同じです。これからの人生マイペースでいいんじゃないかと思ってます。

      これからもぜひ立ち寄ってコメントいただければと思います。

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