アクティブシニア (2)

日本の消費活動の牽引者たち

 

団塊世代はご存じのとおり、1947年(昭和22年)~49年(同24年)に生まれた全国800万人の団塊の世代でした。

これまで、団塊世代は、高度経済成長の大量消費を経験し、様々なブームやヒットを生み出してきた。
1960年代のアイビールックや、70年代のアンノン族、80年代のニューファミリーを形成してきたのも、この世代である。
この世代がリタイアするのに伴い、従来の高齢者のイメージとは異なる高齢者社会が到来するとみられている。
団塊世代は、これまでの高齢者のイメージとは異なり、活動的な側面が強く、消費傾向に大きな変化を生み出している。
コトバンク「時代を牽引し続けるアクティブシニア」より

現在、この団塊世代の方々は67~69歳の年齢になり前期高齢者です。
この年齢層は、一般的に今までであれば隠居・引退という言葉のように、外出や周囲と交流する頻度は激減し、世間から姿を消すような存在であったイメージがありました。(私個人の感覚ですが)

しかし、現在の前期高齢者(65歳以上:団塊世代)は、完全リタイアしても社会のあらゆる場面に姿を現し、まだまだ「消費活動の牽引者」という存在を譲らない世代のように思えます。
このことは、「アクティブシニア(1)」の中でも記載しましたが、リタイア後、生産活動の一線から退いたものの、今度は消費経済の一線に躍り出てきました。
特に「余暇活動」においては、海外・国内観光旅行をはじめ、登山やくるま旅、地方へのロングステイなど見れば一目瞭然のように思えます。
又、私たちの普段の生活の周りをみてもその光景がたくさんあります。
フィットネスクラブ、スポーツジム、昼間のカフェ・レストラン、複合商業施設(ショッピングセンター、アウトレットモール)、百貨店、ブランドショップなど・・・。

 

ピラミッド2015人口  2016趣味・余暇

現在の人口ピラミッドと団塊世代の趣味・余暇活動
広範囲にわたる趣味・余暇活動が活発に行われ、消費経済の一翼を担っていると思います。
今後、人口減少もありますが、これからのシニア世代がどこまでこうした趣味・余暇活動に参加してくるか?

 

働いていた頃は、自宅と職場の往復を繰り返し、外出仕事や出張でこうした場所に出かけたとしても、あくまでも仕事ですからこのような光景を意識することはありませんでした。
しかし、退職後の旅行や登山、又、昼間の時間帯に町やこうした場所に出かけた時、ちょっと意識を持って観察すると、団塊世代の方々が圧倒しています。

昼間、無料の図書館や公園、地域コミュニティなどに出かける機会があり、団塊世代の方の姿もよく目にしますが、上記のような場所は全て「お金を使う所」です。
こうしたことからも、団塊世代の方々が今の日本の消費活動を牽引しているといっても過言ではないように思えます。
例えば、仮にこの世代の方々がいないとしたら、旅行会社はほとんど破綻しているのではと思われます。事業としては、その対象のお客様(団塊世代)がいないので成り立たなくなります。
健康を意識した世代が集まる昼間のフィットネスクラブ、スポーツジムは、まさにその典型ではないでしょうか。

 

団塊世代の背中を見てきた最後の世代

 

私の世代は、今年60歳定年を迎えます。(昭和31年生まれ)
今の団塊世代と比べ約10年近く遅く生まれた世代です。

私の亡兄(ガンのため63歳で死去)は、昭和22年生まれのまさに団塊世代の人でした。
今振り返れば、冒頭で記述した「時代を牽引し続けるアクティブシニア」の典型だったように思います。
サラリーマンとして社会に出てからも、特にメカに興味があったようで、休みの日は車やバイクを乗りまわし(今でいう暴走族ではありません)、余暇を楽しんでいました。
又、アイビールック、アンノン族の先駆けでもあり、ファッションや地方への旅行も雑誌片手(アンアン、ノンノン)によく出かけていました。
更に、大型のオーディオをフルセット購入して、ジャズやフォークソングをよく聴き、口すさんでいた姿を思い出します。
当時小学生だった私は、そんなカッコイイ兄に憬れ、影響を受けたことは言う間でもありません。
兄は、結婚後もそのライフスタイルを変えることはありませんでした。
働いている時も普段の休みや長期休暇を利用して、夫婦で全国くるま旅を楽しんでいたようです。
仕事から帰ってきてすぐ、「明日は休みだから出かけるぞ」と言って家にある食料などを車に積み込み、よく遊びに出かけたことを姉(義姉)が話していました。
又、機械関係にも強かったことから、普及しはじめたIT機器に興味を持ち、仕事や余暇活動に活用していたそうです。

 

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今夏、剱御前小舎で同宿した60代後半の登山&写真愛好家。
雨飾山の駐車場で一緒になった名古屋の68歳ご夫妻の車(改造の車中泊車)

 

今年の南アルプスの山旅で出会った64歳の単独男性は、20Kg以上もあるザックを背負いテント泊で17日間の南アルプス全山縦走にチャレンジしている登山者でした。

北アルプスの剱御前小舎で同宿した60代後半の方は、大きなカメラと三脚を持って山岳写真を趣味にした登山兼写真愛好家でした。

富山地方電鉄の電車の中で隣に居合わせた68歳の男性(ご夫婦)は、日本百名山と二百名山を登り尽し、今では夫婦でテント担いでバリエーションルート(危険で険しい登山道)ばかりを狙う登山者でした。

雨飾山の駐車場で一緒になった名古屋からのご夫婦(どちらも68歳)は、定年退職後に全国くるま旅に出かけ、ほとんどの都道府県を周ったと話していました。最近、普通のハイエースを購入して、キャンピングカー仕様に改造していると言って車内を見せてくれました。
これら団塊世代の方やその前後の世代の方との出会いの話はほんのごく一部です。書き出したらキリがありません。

こうした世代を一言でいえば、自由な生き方、こだわりを持った生き方、新しいものへのチャレンジ、好きなこと(モノ)への躊躇ない消費や投資など・・・。
ちょっと大げさな言い方ではありますが、私の目にはそういうふうに映りました。
多分、団塊世代の人は、自分たちがそういう生き方、考え方をもって過ごしてきたとは思っていないと思います。
このことは、兄のこと、登山やくるま旅で出会った団塊世代の方だけではなく、35年間会社勤めをしてきた中で、先輩たちや上司(団塊世代)の姿をみて納得できることだからです。
もちろん団塊世代の方々全てがこういうものだとは断言しませんが、傾向としてあると感じます。

では、10年後の社会はどうなっているのか考えてみました。
私たちの世代の青春期(高校~大学~社会人)は、70年以降の時代でした。
60年の激動の時代(安保、ベトナム戦争、高度経済成長など)を経験してきた団塊世代とは異なる時代だっと思います。
70年安保が下火になる頃、社会や学園の雰囲気は「組織・集団から個人へ」、、「激動から安定へ」という方向に切り替わっていったように感じられます。
このことを象徴する例として、当時大学生であった私たち世代は、マスコミに「三無主義」(無気力、無関心、無責任)と揶揄されました。更には「四無主義」として”しらけ世代”とも言われました。

”しらけ世代”
無気力で、何事にもしらけた態度をとる世代。学生運動が沈静化したところに大学生活を送った、昭和30年前後の生まれの人々を指した語。
コトバンク「しらけ世代」より

この点については、私のブログの「プロフィール」に記載しています。

 

2016ユーミン  2016限りなく透明
1970年前半頃からニューミュージックが台頭してきた時代でした。
75年、ユーミン(当時荒井由実)の「あの日にかえりたい」がヒット。
76年、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」が芥川賞を受賞。

 

私たちの時代は、世界情勢を受けて社会的に大きく変化していった時代でした。
それは、石油の供給危機があった1973年のオイルショック、そして78年の第二次オイルショックでした。
スーパーなどで売られていたトイレットペーパーや洗剤が、店頭からなくなる状況を覚えている方もいらっしゃると思います。
まさに就活の真っただ中、この危機的な社会状況がありました。
当然、就活はより安定的な職業として公務員、大企業、銀行・金融関連に人気が集中したことは言う間でもありませんでした。
そして、こうした就活の傾向は、それ以降多少の変化はあっても「安定」という二文字が共通するものになったような気がします。

「安定」という言葉は、いろいろな意味での解釈があると思います。
団塊世代の方々は、一番多感期であった青春時代を60年代激動の時代を過ごし、そして高度経済成長の中で就職もそれなりにあり、突き進んできた感があります。
私たちの時代は、それまでのそうした傾向や雰囲気が途切れました。
より安定を求める意識が広がり、自己主張を抑え、「寄らば大樹の影」的な傾向になっていったような気がします。このことが、三無主義、しらけ世代と云われた所以なのかもしれません。

1973年、小坂明子がヤマハポプコンで「あなた」を歌唱しグランプリを獲得しました。昭和世代の方でしたらよくご存じだと思います。この歌はそれ以降数年ヒットしました。
この歌詞の内容はここでは述べませんが、まさにそうした「安定」を求める意識・傾向になっていったように思います。

団塊世代の背中を見て育った世代は、私たち昭和30年前後に生まれた世代が最後なんです。

 

これから10年後のシニアの姿は?

 

私たちの世代のほとんどは、60歳定年後も継続雇用として働き続けています。
昭和30年代後半に生まれた年代から年金満額支給は65歳以降になりました。
このことを受けて、継続雇用の法制化、又、65歳定年制も導入し始めているようです。

リーマンショック以降、更に日本経済は低成長時代に入りました。
そして最近では、非正規雇用が4割という時代に突入しました。
これではシニア世代になっても生活維持のためだけに働き続けるようになると思います。
そこには、余暇を楽しむ余裕や何かにチャレンジする気力さえ失われていってしまうような状況があるように思えます。
これら経済的な側面から考えてみても、今のようなシニア世代の大量消費は望めないのではないでしょうか。

アクティブシニアという存在は、経済的なゆとりもあると思いますが、それだけではないように思います。
経済的なものよりむしろ「こだわり」「チャレンジ」「好奇心」といった精神的なものが、その行動にあらわれているように感じます。
お金をかけてもかけなくても、根底には「自分スタイルを持って行動する」ように思います。
■重いザックを背負ってでも自炊とテント泊が好き!
■自分で改造した愛車でくるま旅がしたい!
■重いカメラと三脚を持ってでも山岳写真を撮りたい!
■通常の登山道ではなくバリエーションルートで!
■団体ツアー行動でなくネットとLCCを駆使した海外個人旅行を!
■バイクツーリングで全国周遊を!・・・
そんなオヤジさん、オバさんたち(団塊世代)には、ちょっと古い言い方ですが「何かポリシーを持った行動」「ロマン」が共通していると感じます。

 

2016シニアの財布    2016青春18キップ

 

経済的な面は抜きにして、そんな団塊世代と私たち世代(昭和30年生まれ前後)以降の人たちと比較した時、大きな違いがあると思います。
それは前述したような時代背景も影響して、自己主張を抑え(又は、あまりない)、他人の目を気にする、上を見た行動(上司、組織)、事なかれ主義、周りと歩調を合わせるなど・・・。
あまり良くない言い方、見方になりましたが、このような傾向になっていったような気がします。
もちろん個人的な見解ですから固定、断定はしませんが、私もこの世代のはしりでしたので、友人、同僚も含め自分自身もそうだったと思います。

私たち世代のもうひとつの共通点は、「趣味がない」ことだと思います。
このことも全てではありませんが、意外と傾向としてあるのではないでしょうか。

私たち世代は、団塊世代の背中を見て追いかけてきた世代です。
ですから、団塊世代がそうした気質を持っているのも知っています。
一方、私たちより10年遅い世代が、団塊世代の人たちに対して「ガンコ」「融通がきかない」などの言い方を耳にしたりします。
このことは、逆に言い換えれば「ポリシーがある」「個性がある」「自己主張がある」という風な見方として捉えることもできるのではないでしょうか。

このようなことから、10年後のシニア世代は、団塊世代と比較して趣味を持たないことや好奇心やチャレンジ精神が少いことから、「アクティブシニア」ではなくなると思います。
又、消費活動において、世代人口や経済的な面を考慮しても、余暇や娯楽、趣味があまりないため、そうしたところへの支出は激減すると思います。
そして、なんとなく生活し、なんとなくこづかい稼ぎでアルバイトする姿が目に浮かぶような気がします。

これまでのことは、私の個人的な見方、考え方です。
「アクティブシニア」はまさに団塊世代とその前後の世代だけに共通する言葉であり、確実に死語になっていくと思います。

ロマンとポリシー溢れる「アクティブシニア」がなくなっていくのは大変悲しく寂しいことですが、経済的なゆとりがなくても「あのエネルギッシュな気質!」を受け継いでいきたいと思っています。

 

現在と10年後のシニア世代について考えてみました。

 

「アクティブシニア」 おわり

 

 

 

 

 

 

2 thoughts on “アクティブシニア (2)

  1. 初めてコメントさせていただきます。 リンロン88と申します。

    まずは自己紹介でしょうけれど、長くなるので、昭和29年生まれ、現在62歳、来年63歳でなんとか完全
    リタイヤする予定の者、とだけ申し上げておきます。 これだけでかなりの情報量があるとは思いますが
    (笑)

    このブログは、かねてより拝見している例の「定年後の過ごし方 鎌倉リタイヤライフ」よりまいりました。
    このブログへもその関連でいろいろな方がコメントを入れておられますね。 私自身は未だにそちらへは
    コメントしておりませんが・・。

    来年のリタイヤに向け、いろいろ考えている最中で、しかも埼玉県に「終の棲家」を購入してそちらへ移る
    予定にしておりますので、もしかしたらご近所かもしれませんね。 

    失礼とは思いましたが、過去の記事をかなり読ませていただきまして、本当に参考になることや、今後の
    生活のヒントになることが多く、感謝いたします。 この記事にコメントしたのは特に理由はないのです
    が、最近の記事で旅行記以外の記事に、と思った次第です。 私も車は好きで、できれば軽のキャンピン
    グカーなどで日本のあちこちを回りたい気持ちはありますが、妻が車に弱いので、どうも実現しそうにあ
    りません(笑)

     こちらのブログ、これからも楽しみにしております。

    1. リンロン88さん

      はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      リタイア後の生活については誰でも期待と不安があると思います。
      私もその一人でした。
      趣味の登山やくるま旅している時間より何もしていない時間の方がずっと長いです。
      最初はこれでいいのか?と不安な気持ちが襲ってくる日々でした。
      そんな不安も徐々に薄れ、今では毎日楽しい時間を過ごしています。

      埼玉に「終の棲家」を予定しているとのこと。
      たいへん住みやすい所ですよ。
      特徴としては、都心に近く自然や緑(山、丘陵、田畑など)が多いこと、交通が便利なこと(都心や地方へのアクセス)、又、自然災害がほとんどないことがあげられます。
      全くの田舎よりも何かと刺激があり、東京という大都会周辺の地方都市の方が住むにはいいと思います。

      登山やくるま旅に限らず、リタイア生活していく中でのいろいろな話題についてブログアップしていきたいと思っています。
      これからも引き続き訪問してください。
      又、コメントもお気軽に投稿してください。

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