剱岳 ダイジェスト

”sea to summit Mt Turugi”

海抜0mから2999mの頂きへ

 

「いい歳してよくやるよ!なにもそこまでしてやることないんじゃないの?」                             「何の得もないのにおかしいんじゃないの?このオヤジ!」
な~んて言われちゃいそうですね。
そうなんでんですよ、何の意味も得もないんです。
そんな損得勘定抜きに、ただチャレンジしてみたいからやっているだけなんです。
60歳オヤジのロマンなんです。

ということで、一昨年の鳥海山ゼロtoゼロ、昨年の富士山ゼロtoに続き3度目のsea to sammitに挑戦してきました。
日本海の富山湾から「剱岳」を目指すコースです。             
海抜0mから頂上までの総距離約38Km、下山も含め3泊4日の日程でした。

今回のゼロtoの特徴は、大きくいって2点あります。
一つは、日本百名山の中で最も難易度の高い険しい山ということもありますが、何よりも海岸から登山口の馬場島(ばんばじま)まで約30Kmのロードを歩くことでした。
二つ目は、憬れであった北アルプス三大急登のひとつ「早月尾根」を登ることでした。

 

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8月6日ゼロto達成後、下山途中に振り返って仰ぎ見た剱岳。

 

北アルプスの南の重鎮を穂高とすれば、北の俊英は剱岳であろう。
層々たる岩に鎧(よろ)われて、その豪宕(ごうとう)、峻烈、高邁(こうまい)の風格は、この両巨峰に相通じるものがある。・・・。
まことに剱岳は、そんな昔から、それを仰ぐ人々の心を高揚する山である。
何より、その風采の豪毅にして颯爽たる点である。日本アルプスの高峰にはそれぞれの風格があるけれど、一つの尖端を頂点として胸の透くようなスッキリした金字塔を作っているのは、この剱岳と甲斐駒ケ岳ぐらいであろう。
深田久弥著「日本百名山」より

 

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海抜0mの起点になる富山県滑川市(なめりかわし)の全景写真。
スタート前日(8月3日)の下見で滑川駅に掲示されていた写真です。
ちょうど富山湾から剱岳の山並みが写し出されていました。
これを行くのか!と思うと溜息と共にワクワクしてきました。

海抜0mから剱岳を登るというルートもガイドブックもありません。
このため、海岸からスタートする場所や歩く道は自分で決めることになります

事前に地図(市内地図など)を入手することはできますが、はじめて歩く道ですから前日に行って下見をしました。
最近ではスマホのグーグルマップを片手に歩くことができるので便利になりました。
下見での確認では、海岸からほぼ一直線の道路を道なりに行けば登山口の馬場島まで行くことができることが分かったので、グーグルマップは必要ありませんでした。

 

海岸から登山口までのロード30Km

 

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滑川市の観光案内パンフレットの地図で今回の剱岳までのルートを確認。
8月4日当日、海岸から馬場島(登山口)まで約30Kmの一般道と林道歩きで9時間半かかりました。

 

北アルプス三大急登のひとつ「早月尾根」

 

2015三大急登
グラフでもお分かりのとおり、日本の急登の中でも屈指の長さと勾配があります
登山口から頂上までの距離は8.3Kmでルートタイム9時間です。(山と高原地図)
平地と比較すればたいした距離ではありませんが、急こう配と岩稜帯の登山道ですから、1時間で1Kmしか登ることができません。標高差2259m。
下山後、次の最短の山小屋までの時間を含めると11時間(休憩なしで)かかるので、早月尾根の途中にある早月小屋にもう1泊してから3日目に頂上を目指しました。

 

スタートから下山までのダイジェスト

 

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8月4日早朝5時、滑川市の海岸(富山湾)
この海岸沿いには、「ホタルいかミュージアム」と「道の駅ウェーブパーク滑川」があります。隣が滑川漁港でした。

 

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初日、登山口の馬場島に向かう途中の林道(海岸から約25Km地点)
先日、南アルプス大縦走をした時、連続10日間で83時間歩いてもびくともしなかった足裏が、なんとたった1日で悲鳴をあげることになりました。
原因はアスファルトの硬い道でした
どんな過酷な登山道でも土や岩の道は登山靴で十分対応できますが、アスファルトの道には負けてしまうようです。大きな誤算でした(トホホ・・・)

 

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8月5日、早月尾根途中にある早月小屋に宿泊。
小屋からの剱岳。前山があるため頂上を望むことはできませんが、剱岳岩稜帯の「小窓の頭」や「小窓の王」周辺が見えます。

 

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早月小屋からの夕日。6時50分頃。明日は晴天のようです。

 

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8月6日早朝。小屋を出発して早月尾根の途中から望む大日岳方面。
この日は、持参した登攀用ヘルメットを装着。剱岳ということもあり登山者の約9割がヘルメットを装着していました。

 

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早月尾根を登るにつれて勾配が厳しくなり、見上げるように登っていきます。

 

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頂上直下の核心部に入っていきます。このクサリの下は断崖絶壁です。
岩稜がしっかりしていて浮石がないため、それほどの恐怖感はありません。

 

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しし頭。後方が今まで登ってきた滑川市と富山湾方面。

 

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剱岳頂上2999m。目の前に立山と剱沢。
その後方には、薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳、槍穂高連峰などの北アルプスの名峰が眺望できました。

 

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剱岳の有名な「かにのよこばい」(下山路)
写真を撮っている余裕はありませんでしたが、通過してから後続の登山者をパチリ。

 

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「平蔵の頭」付近。下山する登山者。
この日は土曜日ということもあって多くの登山者が来ていました。
こうした危険な箇所では渋滞が続きますね。

 

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下山後、剱御前小舎からの剱岳と剱沢。3日目はこの御前小舎に宿泊しました。

 

ということで、3日かけて海抜0mから登頂できました。
この間、滑川市の住民の方々や山小屋に同宿した登山者たちとの出会いと語らい、そして熊との遭遇などいろいろありました。
こうした出会いと思い出の記録を次回ブログで2回に分けて詳しくアップしていこうと思います。

尚、今回の剱岳登山の後、帰る途中で「雨飾山」にも登ってきました。(予定どおり)
この登山のブログも引き続きアップしていきます。

 

次回「剱岳 (1)」につづく

 

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