南アルプス大縦走 (5)

残り2日、いよいよ縦走の旅最終章

山旅の締めくくりは間ノ岳と北岳へ

 

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北岳3193m 日本百名山 標高日本第2位

 

日本で一番高い山は富士山であることは誰でも知っているが、第二の高峰はと訊くと、知らない人が多い。北岳だよと教えても、そんな山はどこにあるのかといった顔つきである一つにはこの山が謙虚だからである。                        どうだおれは、といったような、抜きん出て人の眼を惹こうとするところがない。
奇矯な形態で、その存在を誇ろうとするところもない。それでいて高い気品をそなえている。いつも前山のうしろに、つつましく、しかし凜とした気概をもって立っている。
奥ゆかしい山である。

深田久弥著「日本百名山」より

 

山旅9日目、前夜は熊ノ平小屋に泊まり、この日は北岳肩ノ小屋まで行く計画です。
ルートタイムでは6時間20分ですから、かなり余裕の稜線歩きが期待できます。
1日で間ノ岳と北岳の2山を登頂して、最終日は下山だけというスケジュールでした。
「でした?」、そうなんですよ。山は何が起きるかわかりません。

 

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早朝5時30分、熊ノ平小屋を出発する時、雨は降っていないものの空はどんよりと雲に覆われていました。                                しばらく進むと井川越があります。ここは大井川の源流に当たる場所ということを小屋で同宿した登山者に聞きました。                          子どもの頃に郷里でよく川遊びをした大井川の源流がここにあるのかと思い、しばらく立ち止まって昔を思い出していました。

 

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岩稜帯が続きます。ストックは危ないので不要です。三点確保で登って行きます。

 

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三峰岳(みぶだけ)2999m。
標高2999mといえば、北アルプスの剱岳と同じ高さです。あまり知られていない山ですが、ここにも南アルプスの懐の深さがあるように思えます。

 

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間ノ岳3190m頂上。日本百名山、標高日本第3位の高峰です!
この時すでに雨が降り出し、風も強くなってきていました。頂上には誰もいません。
三脚で写真を撮ることもできないくらいの風雨でした。

 

この間ノ岳から中白根山(3055m)までの稜線が、日本一長い3千m稜線です。
この区間は、時間にして約1時間。昨年、白峰三山縦走をしていた経験から、このルートは知っていました。                                早々に間ノ岳を後にして、途中にある北岳山荘を目指しました。
かなり強い風雨の中で1時間にもおよぶ3千m稜線の山歩きははじめてです。
視界20m位で吹き飛ばされそうになりながらすすみました。昨年歩いた経験があったことが少し余裕を持たせてくれました。

 

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10時30分、北岳山荘に駆け込みました。熊ノ平を出て5時間。
この後、北岳を超えて肩の小屋まで行くかどうか一瞬迷いましたが、ためらわずこの山荘に泊まることを決めました。

                        

登山の場合、特に天候によって行程の変更を迫られることが多々あります。
”9日間も連続して縦走してきたから、この辺で少し休んだら”というような天の声を聞いたような気がしました。                              昨日、熊ノ平で同宿した40代の男性も同じようにこの山荘に泊まりました。
部屋も同じだったこともあり、尽きることのない山の話で過ごしました。

 

縦走路最後の高峰を超えて下山

 

いよいよ最後の10日目です。
天気は曇りですが雨は降っていません。雲の切れ目から青空も見えました。

 

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5時30分山荘を出て、北岳の中腹から振り返った見た間ノ岳。

 

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前方にはそそり立つ北岳

 

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八本歯のコルに下る分岐。直進して北岳を目指します。

 

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北岳直下の朝露に濡れる高原植物たち

 

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縦走最後の高峰「北岳」登頂!
この10日間の山旅で2500mを超える高峰26座(内7座が百名山)を踏破しました。

 

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今まで歩いてきた南アルプスの山並み

 

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頂上から下って振り返って見た北岳

 

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鳳凰三山(日本百名山)も見えました。   北岳肩ノ小屋で休憩

 

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草スベリルートのお花畑

 

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白根御池                 白根御池小屋 10日間縦走のごほうび?

 

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広河原山荘でカツ丼を食べました。     野呂川にかかる吊り橋

 

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広河原のゲートにゴール!

 

10日間という長い南アルプス縦走の山旅を終えました。
緑深く山の懐の大きさを強く感じた旅でもありました。
ピークハントだけでは得られることのない縦走の面白さを再認識した旅でもありました。

これからもただ登って下りる登山ではなく、何かテーマをもった登山をしていこうと改めて思いました。                                 こうした素晴らしい経験は何ものにも代え難いものだと感じます。

これからも気力、体力、好奇心が続く限りチャレンジしてみたいと思っています。
60歳オヤジの小さなロマン旅でした!

 

「南アルプス大縦走」 おわり

 

今回の山旅ブログでは、主に登山をすすめる経緯を中心にまとめました。
旅の中では、同宿やすれ違った登山者、山小屋のご主人との出会いも数多くありました。
そうした人との出会いを中心にエピソードとして「編集後記」にアップしようと思います。

次回「南アルプス大縦走・編集後記」につづく

 

 

       

                                

 

 

 

4 thoughts on “南アルプス大縦走 (5)

  1. お疲れ様でした。
    あらためて、すばらしい!

    まだまだお元気、さらなる頂きに向かってください。
    大いなるロマンです。

    1. 家犬さん

      早々のコメント、又、毎回のコメントありがとうございました。
      家犬さんのブログも毎回見ていますよ。再開したんですね。
      山から戻ってきてブログアップの作業やらその他いろいろな用事もあり、家犬さんのブログにコメントできなくてすみません。
      でもちゃんと見て楽しませてもらってます。

      また明日から一週間ほど山旅に行ってきます。
      その間、ブログアップも家犬さんのブログも拝見できません。

      今回の山旅もさらなる頂きになると思います。
      オヤジの小さな小さなロマンですよ。

  2. この百名山は3回で登りました。
    ①荒川岳(東岳)→赤石岳→聖岳
    ②光岳(日帰り)
    ③塩見→間の岳→北岳
    10日間の連続は大変だったのではありませんか?
    ネパールのトレッキングを思い出します。
    これだけ歩けたら絶対カラパタール(エベレストベースキャンプ)にエベレストを見に行くべきですよ。

    今年60になるので「のんびり歩く」を実践し始めました。
    ・あまり長い経路を計画しない。
    ・荷物を軽くする。(テントはやめて小屋泊)
    ・晴れの日を狙っていい写真を撮る(雨の予報の時は避ける)
    など
    7月の鳳凰山の1泊2日で少し実践できたかなと思います。
    同じ60前後の人ががんばっているのを見ると励みになります。

    1. northsnow20さん

      以前、私が返信したコメントが、こちらの手違いにより消去されてしまったことがわかりました。誠に申し訳ございませんでした。
      改めて返信を出させていただきます。

      同じ年代の方からコメントをいただき大変嬉しく思っています。
      「のんびり歩く」の考え方は全く同感です。
      先を急ぐのではなく、ゆっくりのんびり山を楽しみたいという考え、まさにそのとおりだと思います。
      そのことを実践するのは、おっしゃるように三つのことですね。

      これからも登山のお話しを聞かせてください。
      楽しみにしています。

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