南アルプス大縦走 (3)

ライチョウ親子との遭遇

南アルプスの宗家「赤石岳」へ

 

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聖岳~兎岳の稜線から望む赤石岳

 

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雲海に浮かぶ赤石岳。早朝6時、悪沢岳(荒川東岳)頂上より

 

日本アルプスという名称が流布してしまったが、わが国の言葉でいえば、北アルプスは飛騨山系、中央アルプスは木曽山系、南アルプスは赤石山系である。
その赤石山系の名の起こりの赤石岳である。
南アルプスの宗家としての風格を十分にそなえている。 

深田久弥著「日本百名山」より

 

山旅5日目、いよいよ南アルプスの核心部に足を踏み入れるところまで来ました。
昨夜は雨が降りましたが、今朝はすでに止んでいます。
朝からガスが立ち込める中、湿気を防ぐためレインウェアを着て出発。                        赤石岳までのコースタイムは3時間。

 

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ハイ松とガレ場が広がる百閒平を赤石岳に向けて進んで行きます。
そんな時、何かのなき声が聞こえました。なんとライチョウの親子がいました。
親鳥1羽とヒナが4羽です。なんとラッキーなことでしょう。
ガスが出て視界が悪くなった時に餌を求めて出てくると聞いていましたが、まさにそのような状況での遭遇でした。

 

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赤石岳3120m頂上(日本百名山)

 

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頂上ではガスがかかっていました。     頂上直下にある赤石岳避難小屋

 

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なんとライチョウの親子にまた遭遇しました! 1日に2回の出会いは幸運ですね。

 

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小赤石岳3081m。この峰も3千mを超えています。南アルプスってすごいですね。

 

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小赤石岳の肩3030m。ガスが切れると晴れ間が出てきました。
この標高は、北アルプスでいえば立山、乗鞍岳に匹敵する高さですね。

 

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登山道沿いに咲くハクサンチドリ

 

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イワツメグサ               ミヤマキンポウゲ

 

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荒川小屋。赤石岳と荒川岳の中間地点にあるため、登山者には人気の山小屋のようです。

 

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ちょうどお昼の時間帯だったので立ち寄ってラーメンをいただきました。
登山の時はラーメンやカレーが食べたくなるんです。多分私だけではないと思いますが。
メニューや価格はどの山小屋もこんな感じです。
特に価格は、下界と比較して高いと思うかもしれませんが、ほとんどがヘリで輸送されてくるのでこの位の値段になります。労力を考えればけっして高いとは思いませんね。

 

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今夜は中岳避難小屋で泊まります。
南アルプスの避難小屋は、夏季の登山シーズンの時だけ管理人さんが在中して、登山者のお世話をしてくれます。食事はないので全て自炊になります。素泊まり1泊6000円。
この日小屋に着いたのが14:30。小屋のご主人が話好きだったので、着いた早々ザックの荷をおろしただけのままでなんと2時間しゃべりっぱなしでした。
私も山の談義になれば夢中になるのでうまく気が合いましたね。
この後、寝るまでの19時頃まで話していました。これも登山の楽しみのひとつです。

 

いよいよ南アルプスの核心部「荒川三山」へ

 

荒川岳は別名荒川三山とも呼ばれる、いくつかのピークの集合体である。
「三山」と呼ぶ場合は、前岳3068m、中岳3084m、悪沢岳(東岳)3141mの3つを指す。
ウィキペディアより

 

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悪沢岳(荒川東岳)頂上(日本百名山) 北アルプスの槍ヶ岳に次ぐ日本第6位の高さ。

 

この山は国土地理院の地図には東岳となっているので、その呼称が普及しつつあるようだが、私たち古い登山者にとっては、どうあっても悪沢岳であらねばならぬ。
悪沢という名はそれほど深く私たちの頭に刻みつけられている。
読者にお願いしたいのは、どうかこれを東岳と呼ばず。悪沢岳という名で呼んでいただきたい。
一たい東岳という平凡な名はいつ付けられたのであろう。おそらく荒川岳の東方にある一峰と見なしたに違いない。
しかし、荒川岳の続きと見るにはあまりにこの山は立派すぎる。南アルプスでは屈指の存在である。                     深田久弥著「日本百名山」より

 

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荒川前岳                 荒川中岳

 

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早朝5:00、徐々に雲が切れてきて姿を現す悪沢岳。
ザックを中岳避難小屋にデポして、カメラ・三脚・水だけ持って悪沢岳へ。

 

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頂上から東方面には富士山         西方面は、雲海に浮かぶ中央アルプス

 

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南方面には赤石岳と聖岳          北方面は、これから向かう塩見岳、北岳

 

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更に北西には、なんと槍穂高連峰が!    八ヶ岳も!

 

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眼下には、荒川前岳(奥)と中岳(手前)➡ 拡大写真

 

南アルプス最深部の静かな稜線歩き

 

今までは、南アルプス南部で最も人気の高い登山ルートをたどってきました。
それは一般登山ルートとして椹島を起点に日本百名山の聖岳、赤石岳、荒川岳を周る稜線コースでした。                                 この稜線ルートは、町でいえば大通り、銀座通りといったところでしょう。
そんな登山者で賑やかな通りから、今度は静かな路地裏を歩くコースに入って行きます。

 

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荒川岳~三伏峠までのコースタイムは8時間です。
そのまま早朝に小屋を出れば行けないことはありませんが、悪沢岳を往復してからとなるとプラス3時間になります。                                                    これではかなりハードな登山になってしまうので、変更して途中の小河内岳避難小屋まで行くことにしました。

 

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荒川前岳より先に行く登山者は一人もいません。

 

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西面が切れ落ちた断崖になっています。   振り返るとこんな感じです。

 

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今回の山旅の中で、荒川岳から先に進むこの稜線が最もスリルあふれる所でした。

 

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稜線からカールに下って行きます。このカールは谷からの標高差が600mもある大きなカールでした。

 

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途中の高山裏避難小屋(夏季登山シーズンは管理人さんが在中)                              ちょっと一休みしようかと小屋の中を覗いても真っ暗で何も見えません。
避難小屋の場合、電気(照明)がないため日中でも小屋の中は暗いです。
突然、暗闇から「おい!茶でも飲んでけ」という大きな声。
躊躇していると再度「いいから休んで茶でも飲んでけ!今入れるから」と。
「コップ持ってるか?」、「いいえ、コッヘルしかないんですが・・・」
「な~んだ、コップも持ってないのか。しょうがないな~、今用意するからな!」
入れてくれたお茶は、なんとワンカップ酒の空瓶にお茶が入っていました(笑)
そんな気のいい山小屋のオヤジさん(70歳代)と山の話をしながら休憩させてもらいました。

 

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前泊した所が避難小屋だったためお弁当はありません。
昼食は持参のヌードルでランチです。

 

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この稜線コースは誰一人いません。静かな静かな山歩きが続きました。

 

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ようやく今夜宿泊予定の小河内岳避難小屋が見えてきました。
今回の山旅で最長の10時間30分の行程でした。ヤレヤレ・・・。

ということで、6日目が終了。

 

「南アルプス大縦走(4)」につづく

次回は、三伏峠から塩見小屋、そして塩見岳登頂と熊ノ平小屋までのお話しです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4 thoughts on “南アルプス大縦走 (3)

  1. いよいよ後半ですね~
    余裕じゃないですか?

    荒川小屋がきれいで、びっくり!
    ラーメン1000円か…
    やはり、食糧運びたくなる貧乏症の家犬です(笑)

    荒川岳が晴れていてよかったですね。
    私たちのときは、ガスでまったく先も見えなかったです。
    夫は3回登っていますが、全部ガスで、くやしいので、また登りたいと言っています。

    1. 家犬さん

      南アルプスの山小屋は、ほとんどはじめての所ばかりですが、避難小屋も含めきれいな建物でした。                       特に管理人さんがいい人ばかりで、登山者をもてなす気持ちが小屋全体の雰囲気を変えているのだと思いました。                 宿泊や立ち寄った小屋の中で、なんと4軒もお茶やフルーツポンチを出してくれました。こうした心づかいが嬉しいですね。

      たまたま晴れの日に登頂できたことはラッキーだと思っています。
      山の天気は下界と違って変化しやすいですから。
      私の場合、できるだけ早朝にアタックするようにしています。その日天気が悪くても、早朝は比較的安定していますから。
      もちろん全てではありませんが。

      まだ続きますので楽しみにしてください。

  2. いつも見ています。
    同感することばかりです。

    私も近いうちに是非行ってみたいと少し力がみなぎってきました。
    私も10回ぐらい年に登るのですが最近は日帰りばかりです。
    いつも些細なことですが、ヨツバシオガマとあるのはハクサンチドリかも知れません。

    1. 槌ケ崎さん

      お久しぶりです。いつもご覧いただきありがとうございます。
      私のような大縦走はちょっと変わっていると思います。         2~3日、できれば4日ほどあれば縦走も含め楽しい登山ができると思います。ぜひ南アルプス登山を計画してください。おすすめします。

      ところで、いつもご指摘ありがとうございます。
      再度確認したところ、ヨツバシオガマではなくハクサンチドリでした。
      早々訂正させていただきました。
      これからもこうしたミスがありましたら、ぜひご指摘お願いします。
      助かります!

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