軽減税率に思うこと

消費税増税の本質を隠す軽減税率とその報道

軽減税率については、現政府の発表とマスコミなどの報道によって明らかになりました。      このことは、消費税10%への増税(17年4月から実施)を確実に実施するための施策として、食料品など一部の品目を8%に据え置くことを決定したものでした。            税負担を軽減するといっても、家計消費の多くの割合を占める食料品の8%負担は変わらず今までどおりです。「軽減」といってもピンとくるものではありません。

消費税の逆進性については、今まで消費税増税の時に何度も指摘されてきました。                食料品など一部の品目だけ税率を据え置いても、負担がもっとも減るのは消費する金額が多い高所得者で、負担率は低所得者ほど高くなります。                  一部の品目だけの税率据え置きだけでは、消費税の弊害は解消するものではないと思います。

こうした食料品の一部の税率について、ここ最近政府や新聞、TVなどのメディアで報道が繰り返しされてきました。                              「外食、どこで線引き 軽減税率、コンビニは?」「ハンバーガーや牛丼などの持ち帰りは?」「そばの出前、すし店の土産用の折り詰めは?」「コンビニのイートインでの食事は?」など・・・。                                 こうした議論は、8%から10%?、8%据え置きするの?など私たち消費者にとって日常生活に密着するものとしてたしかに関心があります。又、販売店側にしても営業に大きく影響するものとして関心が高まります。                         こうした一部の軽減税率の議論や報道、又、実際の施行において、多少軽減された感が生まれ、その他の10%への増税に対する不満や怒りが軽減された感もあるように思えます。  又、メディアの報道の中には「軽減税率、高齢世帯への恩恵大きいとの試算」(読売新聞)との内容の記事もありました。この記事は、日本総合研究所が、総務省の家計調査に基づいて、消費税の軽減税率が、酒類と外食を除く食品全般に適用されると、家計にはどれだけの影響があるかを調べた試算からでした。これは年収250万円の高齢夫婦世帯と年収500万円の勤労者世帯との比較で、結論は、前者の年間負担軽減額は1万2120円、後者が1万2000円だそうです。

こうした軽減税率について連日報道されると、税負担が軽くなったような錯覚になるのではないでしょうか。                                 実際には2%の増税分5.4兆円のうち、1兆円~1.3兆円を減税されても4兆円を超える大増税となり、一家族あたり年4万円以上の負担増になるのは明らかです。                消費税増税分が、社会保障(医療、年金、介護、子育てなど)にしっかり使われるのであれば、納得できるものがあります。しかし、前回消費税が5%から8%になった時、その増税分の一割しか社会保障にあてられなかった事実がありました。 

私たち庶民の情報源は、新聞、TV、雑誌、ラジオ、インターネットなどのメディアによるものが大多数です。そして私たちの生活に関わる政治、経済、社会情報を的確迅速に報道する機関として大きな影響力をもっていると思います。                報道のしかたひとつでその本質が隠され、違う方向に目を向けさせてしまう場合もあるのではないでしょうか。                                   今回の連日の「軽減税率」報道は、消費税そのものの税負担、逆進性問題、増税分の使われ方などその本質についてハッキリ指摘されず、「負担減の錯覚」を宣伝しているように思えました。本来の報道のあり方に疑問を感じるばかりです。

消費税増税と法人税減税

今まで当ブログの中で「税と暮らしを考える 法人税」についてコメントしてきました。  法人税については、現政府が法人実効税率を20%台まで引き下げることを打ち出しました。こちらも軽減税率と同じように連日各メディアから報道されています。        ほとんど大企業への恩恵にしかならない法人税減税は、これで3年連続です。        かつて消費税導入により私たちは税負担を強いられてきました。これが社会保障に役立つものであれば納得できますが、一方で法人税減税が続き、この消費税増税分が法人税減税に充てられている現実をみれば納得できるものではありません。

2015消費税    ※グラフ上の消費税10%は、15→17年に訂正

このグラフからも明らかなように何のための消費税なのか?疑問に思います。       現政府は、法人税減税によって企業の活力をつけて経済成長路線を打ち出してきました。  しかし、現実には、賃金の頭打ち、非正規雇用の拡大(40%)が続き国内消費は落ち込み、貧困問題が浮上してきています。一方では、企業の内部留保が増加の一途をたどり2014年にはなんと354兆円(財務省発表)に達しています。               はたしてこれでいいのでしょうか。国の財源が足りないといって国債を乱発し、消費税増税を行い、そして一方で法人税減税?

これから消費税増税(17年4月)が行われ、軽減税率については私たち庶民にとってたいへん関心のあるものです。                                          しかし、それよりも前にやることがあるのではないでしょうか。  

 

                       

 

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