山と山小屋 (9)

高谷池のほとりにたたずむ三角屋根

火打山を仰ぎ見る~高谷池ヒュッテ

 

登山口の笹ヶ峰キャンプ場から登ること3時間、ようやく稜線の富士見平に辿り着く。
そこからは、背の高い木がなくなり視界が広がってきます。しばらく歩くと広々とした山腹をもつ火打山が目の前にあらわれてきました。初めてこの山の大きさを知らされます。
そして、大きく広がった裾野の右方向に目指す高谷池ヒュッテの三角屋根が見えました。

 

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火打山と高谷池ヒュッテ

 

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特徴のある三角屋根

 

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高谷池とヒュッテとテラスから望む高谷池と火打山

 

山小屋では珍しい完全予約制

 

山小屋の宿泊は、一般的に団体以外は予約なしで泊まれますが、この高谷池ヒュッテは妙高市の市営のため完全予約制です。
当初、希望する日の予約を入れようと連絡したところ、平日にも関わらす団体客が入っているため断られてしまいました。登山日程を変更して予約することができました。
夏山シーズンから秋にかけての週末は予約でいっぱいです。平日でも紅葉の時期は混雑し人気の山小屋のひとつではないでしょうか。

 

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玄関に入ると広いスペースのラウンジ兼食堂

 

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私の寝床は二段ベットの上でした。

 

経験豊かな団塊世代の方々との語らい

 

今年も北アルプス、南アルプスなどの多くの山に登ってきました。そして、その登山頻度に比例してたくさんの方々との出会いもありました。
以前ブログで何度も紹介してきましたが、そこで出会った方々のほとんどは中高年齢層の登山者です。週末は家族連れや若者とそのグループが多いですが、平日は圧倒的に年齢が高くなります。
定年退職して時間があるというのが最大の理由だと思いますが、1990年代の第二次登山ブームの牽引になった団塊世代の方々が、リタイア後の趣味としていっきに増えてきたこともあるのではないでしょうか。
中高年層といってもかなり幅がありますが、特に65歳以上から70歳前半が圧倒的に多いですそして共通していることは、皆さん驚くほど元気だということです。

今回、高谷池ヒュッテに宿泊した時も65歳以上の登山者が8割ほど占めていました。
夕食時に同じテーブルで食事をした方は、共に68歳のご夫婦(長野県)、ご主人75歳と奥さん68歳のご夫婦(神奈川県)、単独男性72歳(茨城県)、単独女性67歳の方々でした。皆さん共通して登山歴は長く、経験も豊富な方々ばかりで、中には熟達者向きの登山コース(一般ルートに比べ難しいコース)ばかりを選んで登山される方もいて驚きました。

こうした方々との出会いと情報はたいへん勉強になり役に立つものです。
山の専門誌やネットなどの情報だけでは得られない「活きた経験談、体験談」が聞けるということで、自分の登山に取り入れたり、修正する部分に気づくことがあります。
そして、共通していることは「楽しもう」「自分に合った登山スタイル」を徹底していることです。
熟練になればなるほどそうした域に入っていくのかなと思ったりします。自分のペースを守り(自分の力量をはっきり把握していること)、いかに山を楽しもうか、ということを徹底していることが会話や行動でわかります。

 

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夕食はセルフでカレーとハヤシライス    夕食後の団らん。火打山のビデオ放映。

 

今回の高谷池ヒュッテは、広々とした湿原と熊笹の中に建ち、高谷池から仰ぎ見る火打山が望める素晴らしい山小屋でした。と同時に、そこで出会った方々との一期一会は、深く思い出に残るものでした。
山小屋は単に「泊まる」ということだけではなく、山を愛する人たちとの共通のコミュニケーションがとれる場として貴重な存在だと思います。

あと10年後の登山人口とその年齢層はどうなってくるだろうか?
団塊世代の人たちは、ほぼ完全に山から姿がなくなります。
ここ最近第三次登山ブームを迎え、山ガールなどのひとつのファッション化したスポーツとして、又、山岳トレイルランのような速さを競う競技として若者を中心に流行ってきています。それはそれで時代の流れであり、価値観も変わってくるものでいいと思います。  若者が山に親しむこと自体、スタイルはどうであれ「自然、健康」というキーワードからみれば、大きな登山人口比率を持つ団塊世代が抜けても、極端な減り方はしないと思います。

同じような価値観を持ち、山の素晴らしさや楽しみ方を教えてくれたり、山を賑わしてくれた大先輩である団塊世代の方々が、確実に山から去っていくことを考えると何か寂しい思いになります。

 

そんなことを思い巡らせながら高谷池ヒュッテがある火打山と妙高山を下山しました。

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