登山計画

縦走登山というジャンルと魅力

想いを寄せる登山はすでにはじまっている!

電車やバス、車を使っての国内旅行、航空機や船を利用した海外旅行など、出かける前のプランが何よりも楽しいものです。旅先の風景を想像したり、食べてみたいその土地のグルメを思い描いたりするだけでワクワクしてきます。                  登山にしても同じです。しかし、一般の旅行と違う点はすべて自分の足で歩くことです。その為には、自分の脚力と目指す山のルート、距離、標高差、時間などを考慮して計画を立てる必要があります。ここで一番のポイントが自分の脚力のレベルをしっかり把握していることなんですね。私も過去に何度も失敗しましたが、地図上の参考タイムを無視して短時間でがむしゃらに登った結果、息が上がってへたばってしまい、その後体力が戻らずヘトヘトになりながら下山したこともありました。                     余談ですが、NHKBSのグレートトラバース百名山一筆書きの田中さんのような真似はできません。あくまでも本格的なプロのアドベンチャーであって一般の登山とは異なります。

2015年の山計画は月別に立てていますが、具体的なスケジュールはこれから少しづつプランニングしていきます。このプランが何よりも楽しくすでに登山は始まっています。 今年の大きなポイントは「縦走登山」です。登山というとひとつの山を目指して頂上に立つ「ピークハント」が一般的ですが、この縦走登山は複数の頂上を尾根や稜線を結びながら次々とたどっていく登山形態です。

雪山登山、沢登り、岩壁登攀と、登山には多くの楽しみ方があるが、バリエーションとしての登山形態の基本はすべて縦走登山にある。山を全体から把握して、地図を読み、天候を見極め、そしてなによりも荷物を背負って歩いて頂上を極めるという、登山の基本ともいうべき縦走登山を楽しむことこそ、ほかのジャンルの登山形態を確実に行ううえでも大切なことだ。 「縦走登山」(山と渓谷社 山田哲哉著)

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縦走といえば数日間山に入ることになるので、働きながら休みを利用して出かけるのは難しいものです。私も現役時代、夏休みを利用して一度だけ最大5日間の縦走登山を経験しましたが、期間が長かったこともあり思い出深い山旅でした。            ヤマレコの投稿記録を見てみてもほとんどが2~3日の登山に集中しています。これは忙しい毎日の生活をやりくりしながら休日を利用しての登山だからだと思います。しかし、完全リタイアしたわけですから、自由な余裕のある時間をこうした縦走登山に費やすことができるようになりました。今までできなかったことが、こうして現実にできるようになると思うだけでも幸せなことだと感じます。

タイムスケジュールと情報

山行きにはいつも「山と高原地図」(昭文社)を持っていきます。5万分の1地図ではコースタイム、危険個所、コースを誤り易い所、展望の良い場所、避難小屋などの情報が一目でわかります。特にコースタイムにおいては、タイムスケジュールをプランニングする上で最も参考になります。私の場合は「早出早着」を念頭に入れ計画を立てますので、早朝5~5時半出発、山小屋には遅くても14時着くらいで計画します。歩行時間は1日7時間前後といったところでしょう。                             この「山と高原地図」のコースタイムは、私にとってほとんどピッタリの時間ですのでたいへん重宝してます。このタイムを守れば一定のペースでそれほど疲れることなく登山ができます。                                    コースタイムの設定について                               ①40~50歳の登山経験者 ②2~5名のパーティー ③山小屋利用を前提とした装備    ④夏山の晴天時。設定についてはアルプスと低山帯など山域により基準は異なる。    「山と高原地図」より                               アルプスと低山帯などの山域により基準は異なると書いてありましたが、実際に利用してまさにそのとおりだと思います。アルプスの高山では天候の急変や気温の差があり、又、急登・ガレ場などの難所などを考慮して、ある程度時間的に余裕を持った参考タイムになってます。それに比べ奥多摩や奥武蔵などの低山帯のタイムは、普通に歩いてほとんどジャストタイムでした。天候の変化があってもそれほど歩行に影響しないということですね。

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今年の夏は、北アルプス雲ノ平を中心に日本百名山5座を含む8峰縦走8日間、南アルプス光岳から北岳までの百名山7座を含む22峰縦走9日間のロングな山旅です。今回は1日の行程がそれぞれ距離、時間とも長いので全て山小屋と避難小屋泊の計画です。若者はテン泊でしょうが、シニアにとっては体力的にもゆっくりできる小屋泊の計画です。その分費用がかかりますが、退職後やりたいことに資金を使っていきたいと考えているので意味のある投資だと思っています。

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登山についての情報はたくさんあります。ガイドブックや山岳雑誌の情報を地図と照合していく作業、インターネットなどで実際に登山された方の山行記録など複数の情報を重ねながらプランを作っていきます。又、直近では天気や登山道の状況(崩壊、通行止めなど)確認など行いながら修正していきます。これらの計画も楽しいものです。この段階からすでに登山ははじまっています。

登山では天候により計画を変更しなければならない状況がたびたびあります。働いていた頃の山行では、仕事上のスケジュールなどがあり無理して強行したり、断念して途中で引き返す時もありました。しかし、退職後は余裕ある時間があります。天候が悪化すれば無理せず小屋泊をかさね、天気の回復を待つことができます。途中で体力が消耗してそれ以降の登山が厳しくなれば、手前の山小屋泊に切り替えることもできます。        時間に余裕があるということは気持ちの余裕につながります。ようやく得た自由な時間をしっかり使って有意義な山旅を続けていきたいと思ってます。