南九州の山旅 (8) 鹿児島グルメ

期待を超える驚きの美味!

黒豚、さつま地鶏、そしてウナギも

 

全国くるま旅に出かけた時は、必ずその土地ならではの名物を楽しみにしていました。
今回の山旅でも同じように ”鹿児島グルメは絶対見逃さない!” という意気込みで下調べして向かいました。

鹿児島名物、名産品といえばいろいろありますが、私は「黒豚」「さつま地鶏」「ウナギ」に絞っていました。

そんな思いが強かったのかもしれませんが、鹿児島最大の繁華街「天文館通」を散策して気が付いたことがありました。
それは、鹿児島は周りを海に囲まれた地域にもかかわらず、お刺身、魚介類、海鮮などの海の幸に特化した広告、看板が少なく、お土産横丁や観光パンフレットに至ってもほとんど出品・掲載されていませんでした。
もちろん、居酒屋に行けば海産品は豊富にあるでしょうが、観光に関してはアピールされていない感じでした。

その代わり何が?といえば、前述した肉類やウナギが圧倒的に多かったです。

 

かごしま黒豚

 

関東のスーパーの精肉売場では、黒豚は定番として品揃えされています。
通常の国産豚、輸入豚肉に比べワンランク上のブランド豚として取り扱いされ価格も高いです。

■イギリスのバークシャー種が明治時代に導入され、全身が黒いことから日本においては「黒豚」と呼ばれるようになった。
■一般的には他に品種(白豚)よりも発育が遅く、産子数も少ない、肉は赤身が鮮やかで柔らかく、ロースが大きい。
■鹿児島ではイギリスのバークシャーをもとに改良を進め、サツマイモなどの特別な飼料を与えて育てた「かごしま黒豚」が有名。

全国の飼養頭数は全品種に対して6.4%程度、うち5割強が鹿児島で飼養されている。
黒豚は市場取引が少なく相対取引が多い。一般的に白豚に比べ100~200円/kg高い価格で取引されている。
資料:国産豚肉「食肉流通統計」より

ちなみに豚肉全品種の生産量都道府県ランキングは、鹿児島がダントツ一位なんですね。黒豚を含め豚肉大国のようです。

 

黒豚は流通量が少なく価格も高いことから普段私たちの食卓に上がることは少ないですよね。でも最近では前述したようにスーパーで気軽に買い求めることができるようになりました。

今回、本場鹿児島の黒豚を味わいたいということで黒豚専門店の料理屋さんに行ってみました。
鹿児島の中でも買い物客や観光客、居酒屋などの食に対する需要が高い「天文館」周辺には、こうした専門店がたくさんありました。
これもその土地ならではの光景で、他の地方都市に見られるものではありませんでした。

 

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「黒豚料理あぢもり」

天文館にあるホテルから徒歩2分の所に黒豚専門料理店「あぢもり」がありました。
当初、ランチで黒豚しゃぶしゃぶが食べたく訪れたところ、しゃぶしゃぶ料理は予約が必要とのことでした。後日改めて予約を入れて入店しました。
ちなみにランチは、ロースかつなどのとんかつ類、ハンバーグ、生姜焼きの黒豚料理で予約はいりません。夜はすべてコース料理が中心でした。

 

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黒しゃぶランチ 3300円

今回のしゃぶしゃぶ料理では大きな驚きがありました。
それは、つけダレが一切無いということです。関東では一般的にポン酢やごまだれをつけて食べますが、肉本来の味を楽しむということで、”特性のダシつゆ” にくぐらせて食べるようです。野菜やうどんも同じでした。

 

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ダシつゆはしっかり味がついていて肉の旨みを引き出す効果があるようです。これだけで十分食せるという感じでした。
その後、生卵で食べましたが、これもまたマイルドな味わいになり食が進みました。

 

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野菜やうどんもこの ”ダシつゆ” だけで十分美味しく、コクがあってあっさりした後味なのでしつこさが残りませんでした。

食べ終わった後、係の人に「このダシつゆ、持ち帰りしたいんですけれど販売してますか?」と聞いたところ、残念ながら販売していないとのこと。

今回の黒豚しゃぶしゃぶ、こんな食べ方は初めての体験でした。しゃぶしゃぶ=ポン酢、ごまだれの概念が吹っ飛びました!
本場鹿児島の力、恐るべし、侮るなかれでしたね。

 

さつま地鶏

 

日本三大地鶏は、秋田県の比内地鶏、愛知県の名古屋コーチン、そして、鹿児島県のさつま地鶏です。
こうしたブランド地鶏は普段私たちの食卓にのることはありません。というのも、生産量が限られていることから一般的に流通していません。同時に和牛並みの価格ということもあるでしょう。
そんなことから、地元での消費がほとんどのようで、東京あたりでは高級料亭や地鶏専門店でしか食べられなくなっています。

鹿児島に来たのだからさつま地鶏をぜひ食べてみようと思っていました。
前述した天文館通りには、このさつま地鶏を扱うお店がたくさんありました。黒豚と同じように専門店をはじめ居酒屋のメインメニューに挙げられていました。
まさに他地域にはない地元鹿児島ならでは光景です。

霧島山登山を終えた帰り、ランチにこのさつま地鶏を食べようと考えていました。
というのも、霧島市にはリーズナブルに食べられる ”さつま地鶏専門店” が数多くあったからです。地鶏しか扱わない焼き肉店といった感じのお店です。

 

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地鶏料理「みやま本舗霧島店」

こうしたお店は一般的に市街地にあるように思いますが、ここ霧島では山間部にありました。生産地に近い場所のお店ということでこのような所に構える専門店が昔から当たり前のようにあったのでしょう。
繁華街や駅前にある洗練されたお店より、”本場地元に来た!” という実感がありました。

実は、このお店に来る前、別の専門店(山の中)に行ったところ予約なしでは入店できませんでした。急きょこのお店に連絡して、なんとか予約なしで受け入れてくれました。

 

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はじめてなのでランチセットを頼みました。タレ付き肉とご飯、みそ汁。

 

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焼肉セットは各種部位、その他、好きなレバーも注文しました。

一般的な鶏肉と比べ肉質がかためです。噛むとじんわりとした旨みが口の中に広がっていきました。レバーはやっぱり鮮度ですよね。全く臭みもなくレバー本来の味が楽しめました。

 

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別注文でタタキを食べてみました。こちらも新鮮な肉という感じで旨みががありました。
ランチセット+レバー+タタキで2600円。リーズナブルな価格で食すことができました。

 

 

かごしまのウナギ

 

鹿児島はウナギ養殖生産量が日本一です。そのシェアは40%ということですから驚きです。
ちなみに、第2位愛知県25%、3位宮崎県18%、4位静岡県9%  (2019年、食品データ館より)

私は静岡出身で実家近くの吉田町や浜名湖のウナギ養殖が盛んに行われていることは知っていました。又、今住んでいる埼玉川越も昔からウナギ店が多く、浦和周辺も専門店が多数あります。
関東エリアでは、特に利根川流域や霞ヶ浦周辺も昔からウナギがよく食された地域として知られています。

全国的に土用丑の日はウナギがよく食べられます。
この時期、スーパーの水産売場にはウナギ蒲焼が大量に陳列されます。関東地方の販売店の売場をよく見ると、ほとんどが鹿児島県産を主体に売り込みされています。中国産などの輸入品に比べ、美味しく安心して食べられる国産NO1ブランドとして定着していることがわかります。

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そんな鹿児島名物ウナギを天文館通りにある「末よし」に行ってみました。
鹿児島では有名店のようです。宿泊したホテルから5分でした。

開店(10時30分)に合わせて行ったところ、なんとすでに満席でした! 店頭に10人ほど待客いたほどです。
通常お昼時であったら理解できますが、まだ10時半なのに!?
やはり生産量全国NO1ということからウナギをよく食べる習慣がある土地柄なのでしょうか。

価格はリーズナブルでうな重(松)が2820円。関東では通常3000~4000円ですが、かなりお得感があります。

 

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重箱二段できました。通常ご飯の上に蒲焼がのっているのに、このお店は別容器のようです。
店員さんに聞いたところ、鹿児島ではこれが一般的とのこと。
ちょっと調べてみました。重箱というのは重ねるから「重箱」と言われるのだから、最低2個の「縁高(ふちだか)」と呼ばれる箱型の漆器が必要。
なるほど、うな重の「重」は重ねるという意味があるから、当然ご飯とウナギは別々の容器に入れて出すということなんですね。
ということは、鹿児島県のように別々が正当ということなんでしょう。

 

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代々受け継がれてきた秘伝のタレで備長炭で焼き上げるそうです。
やっぱりそんな蒲焼は実に美味しかったです。

ご飯とウナギが別ということで、ウナギの重箱にあったタレをご飯にかけて食べました。ご飯も美味しく食べるにはやはりこうした食べ方がいいですよね。

 

かごしまラーメン

 

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ラーメン好きオヤジにとっては「鹿児島ラーメン」が気になっていました。
全国くるま旅でも麺旅といっていいほど地方のラーメンを食べ歩きました。
鹿児島においては、地元で有名な人気ラーメン店が天文館通りにひしめいていました。そんなお店の共通点は「とんこつベース」です。九州全般はとんこつが主流ということで、ここ鹿児島も例外ではありませんでした。

関東人にとっては九州の醤油の甘さが気になりましたが、やはりとんこつを主体にしたスープは馴染めないものがありました。
もちろん美味しくいただきましたが、とんこつ+かつお節、煮干しをベースにした醤油系の味が恋しくなりました。
地方にはそれぞれの味があります。そんな味は地元民の圧倒的な支持があります。これもその土地の食文化だと思います。

 

ということで、鹿児島ならではの味を堪能しました。
旅の楽しみは、その土地ならではの逸品を食すことにあると思います。同じ素材であっても味付けや食べ方というものが違ってきます。又、その土地の気候や風土も目に見えないかたちのスパイスになるんじゃないかなと思います。

 

鹿児島での日本百名山三座登頂を終え、残り一座鳥取の「大山」だけになりました。今年中に達成したいと思っています。

 

「南九州の山旅」8回のシリーズ、おわり。

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