環境問題と原発 (2)

電源三法交付金制度って何?

原子力発電所の建設において、何らかの補助金がその市町村に交付されていることは、漠然とながら知っていましたが、具体的にどんなものなのでしょうか。

電源三法とは、電源立地地域における地域振興を図ることにより、電源立地を円滑に進めることを目的として昭和49年に制定された「電源開発促進税法」「電源開発促進対策特別会計法」「電源用施設周辺地域設備法」の三法をいいます。これらの法律に基づき「電源立地地域対策交付金」が地元市町村等に交付されます。                この交付金は公共施設整備事業、企業導入、産業近代化事業、福祉対策事業、電気料金割引事業、地域活性化事業などの自治体の実情やニーズに合わせた幅広い分野で使用することができます。 経済産業省 自然エネルギー庁

ではその交付金の実情は、                             2004年での電源三法交付金は約824億円に上るとされている。うち、福島第一・第二原発を抱える福島県では約130億円、柏崎刈羽原発を抱える新潟県では約121億円、敦賀、美浜、大飯、高浜原発を抱える福井県では約113億円、玄海を抱える佐賀県では約100億円となっている。(朝日新聞調べ)                                          原子力発電は放射能汚染の危険がある。発電所の建設により、建設される地域にとってはメリットはほとんどなくデメリットだけが存在するという状態におかれるため、発電所を建設される地域には当然反対運動が発生する。その反対運動に対してメリットを提示するのが、この電源三法に基づく交付金である。 ウィキペディア

最近の交付金予算は、2012年度が984.7億円、2013年度が968.2億円だそうです。2011年3月東日本大震災以降、全国の原発は停止しました。原発が稼働していなくてもこれら巨額の交付金が支給されています。これは「稼働していれば発電量実績があった」と見なされて、それに見合う交付金が支払われる”みなし規定”の適用だそうです。

こうした交付金は各自治体の財政となり、その地域で暮らす住民の生活を豊かにするものとして使われますが、一言でいえば原発建設の代わりに資金を出すから反対しないでくれといったようなものです。その交付金の使用用途は「地域振興」という名のもとに公共施設などのいわゆる「ハコモノ」が多く建設されました。こうした施設は維持費だけでも膨大な費用がかかり、現在では自治体の財政を圧迫しているようです。                               よくわかる原子力

今、全国の各自治体は、地域の活性化や財政対策として「まちおこし」など創意工夫して取り組んでいます。一方、原発を誘致した自治体においては与えられる交付金に頼るだけで「自立」という面において大きな課題を抱えるようになってきました。                       原発は、常に放射能汚染という危険性をはらみ、交付金による自治体の自主性や自立性を阻害し、安全で再生可能な自然エネルギーへの転換を遅らせるものとなっています。目の前の利益だけで判断するのではなく、将来的な展望に立った考え方であれば自ずとその方向性は開けてくるのではないかと思います。

 

1411浜岡原子力発電所

中部電力「浜岡原発」の実態と疑問

先日、実家に帰った時に近くの御前崎市にある浜岡原子力発電所に行ってきました。   浜岡原発は原子炉が5機あります。その内1,2号機は廃炉となり平成40年代後半までの約30年間にわたり解体工事の廃止措置をすすめているようです。又、4,5号機は2011年5月に停止したままの状態です。(中部電力HPより)                                      御前崎市は、昭和50年~平成19年度までに浜岡原子力発電所の1号機から5号機までの建設に伴い総額261億円の交付金が交付され、公共施設の整備がされてきました。交付金の使い道としては、道路や水道などのインフラ、スポーツレクレーション施設、教育文化施設など211件数にのぼります。御前崎市HP

1411市立図書館  1411プール  私立図書館                プール

浜岡原発の入口は厳重な警備体制の下、関係者の出入りが管理されていました。入口の脇には豪華な「原子力館」と「エネルギー館」があり自由に見学できます。この施設は原子力発電の優位性、必要性、安全性などの宣伝のためのものでした。館内の写真撮影はできますが、最上階の展望台からの撮影は禁止されていました(警備員常駐)

浜岡原発1  浜岡原発2

写真左:原子力館の玄関口。中央に高くそびえる展望台からは浜岡原発の全容が見れますが、写真撮影は禁止されていました。                                                   写真右:展示会場には地球温暖化による海面上昇の説明がありました。原子力は温暖化対策に貢献するということは、ほんとうにそうでしょうか?                             原子炉で発生する高温・高圧の蒸気がタービンを回した後で腹水させる冷却剤として大量の海水が使用される。発生した熱量の33%が電力として取り出されるが、残る3分の2のエネルギーは廃熱として海へ放出されている・・・。その際、1秒間に70tの海水を7℃近くも暖めて海に放出しているため、原子力は海の温暖化に「貢献」している。      その結果、日本周辺地域の上昇率が異常に高いことが報告されている。海水の温暖化は海水に溶け込んでいるCO2の大気中への排出を促し地上の温暖化を進め、海の生態系や漁業にも否定的な影響を与えている。(「原発・環境問題と企業責任」)

浜岡原発3  浜岡原発4

上記2枚の説明は、化石燃料の限りある埋蔵量への危機感や現状消費されているエネルギーについて表示されていますが、自然エネルギーへの対応については全く触れていません。現在、世界の最終エネルギー消費の割合は、化石燃料が78.2%、自然エネルギーが19%、原子力は2.8%です。(「自然エネルギー世界白書2013年」)                          日本の自然エネルギーの世界全体の発電シェアは3.8%を占めるに過ぎません。原子力発電に固執したエネルギー政策が自然エネルギーの開発と普及の足枷になったことはいうまでもありません。つまり偏った情報だけを流し、原子力の優位性・必要性だけを説明したものです。                                   

今回、私がこの原子力館に訪れた時、一般の団体客と自衛隊の方々が見学されていました。多分周辺の教育関係や学校の生徒さん達も来られているでしょう。原子力館だから原子力の必要性を説明するのは当然かもしれませんが、一方的な優位情報だけを掲示し、検討材料とする情報やマイナス情報は一切みられないことから、極端な言い方をすれば洗脳的な宣伝施設のように思われ恐ろしさを感じました。                 又、福島原発事故から特に安全性に力を入れている宣伝が目につきました。津波対策の一環として、防波壁のかさ上げや新規設備の設置などが実施され、担当者から見学者への説明も盛んに行われているのが印象的でした。

 

エネルギーの資源に乏しい我が国において、エネルギーセキュリティや価格の安定性、長期的な電力の安定供給を確保し、地球環境問題を解決していくためには、原子力発電は欠かすことのない電源と考えています。(中部電力HP「安全性のさらなる追求」より)

日本のすべての原発が停止して1年2ケ月経ちます。それでも電力不足はどこにも起きていません。節電と省エネへの対応により電力消費を大きく減らしてきています。      「原発ゼロ」に踏み出したドイツでは、再生可能エネルギーによる電力が今年上半期には28.5%まで急速に伸び、一番の主要電源になったと報道されています。また、政府の調査でも再生可能エネルギー発電は、日本の発電能力全体の10倍(発電量で4.5倍)の潜在能力を持っているといわれています。                         現在の原子力発電の稼働には多額の資金がかかり、廃炉においても継続して膨大な財源を投入し、更に、巨額な交付金も支給しなければなりません。それらは全て電気料金の値上げや税金で賄われるということです。                        中部電力の言う「原子力の安全性、価格の安定性、電力の安定供給、地球環境問題」は、すべてにおいて説得性に欠けます。現状を冷静にみれば、逆に原子力の必要性は全くないということになります

浜岡砂丘  牧の原

写真左:近くの浜岡砂丘からの浜岡原発。浜岡原発の周辺からはその全貌は見られませんが、浜岡砂丘から少し見えました。                         写真右:浜岡原発への行きかえりの途中に牧ノ原台地に茶畑が広がっています。全国の緑茶の生産量の約50%を生産する静岡県の中でも、いちばん広大な茶畑が広がっています。 茶園面積は約5千ヘクタールにおよび日本一の大茶園です。福島原発事故の時、関東周辺のお茶畑への放射能汚染が報道されました。この牧ノ原台地は、浜岡原発から目と鼻の先です。

 

「環境問題と原発」 つづく