65歳までの時間

セミリタイアへの傾向

現在、日本の60歳以上の人口は4167万人(平成25年10月)で全人口の32.7%を占めています。又、65歳以上は3190万人で25%。4人に1人は高齢者ということになります。     60歳~64歳までの就業者の割合は58.9%で10年前(50.7%)と比べて8.2ポイント上昇してきています。又、65歳~69歳までの就業率は38.7%です。 (総務省統計局)

高齢者の就業率1  高齢者の就業率2

60歳以上の就業率が高まってきた背景には、高齢者雇用安定法の改正が2006年に施行され、企業は定年延長か雇用継続(二者択一)が義務付けられたことが大きいです。特にこの年あたりから団塊世代の定年退職が始まったこともありました。            継続雇用で働き続ける方、一旦退職して再就職する方など個人によっていろいろです。    動機としては、経済的な理由や特にやることもないから、働き続けることが生きがいにつながるなど、これも個人によって異なっています。                              特に年金支給年齢の繰り上げは、今後更に60歳以降の就業率を高めることにつながってくるように思われます。経済的な理由はもちろん一番大きい要素だと思いますが、それ以外の理由としては、気持ちの上で「完全リタイアまでの準備期間」として位置づけている方が多いのではないかと思います。60歳定年までがむしゃらに働いてきた期間、リタイア後の生活について考える余裕やそうした場(セミナーなど)を与えてもらえなかったなどのことから、給料は減っても役職責任から解放された時間を有効に使おうという気持ちが大きいと思います。それは、実際に周りの先輩・知人を見て感じることです。

「働き続けながら、自分周辺の同世代の多様なリタイア・パスを横目で眺めつつ、自分のリタイア・パスをいろいろと考えることができる」                    村田裕之著「リタイア・モラトリアム」から。※このリタイア・モノトリアムは村田氏の造語。リタイア・パスも村田氏の造語で「キャリア・パスに対する著者の造語。離職までの順序・経歴」の意味だそうです。

リタイア・モトリアムは、年金満額受領までの辛く屈辱的な「忍耐の期間」では決してなく、むしろ「会社中心生活」から「個人中心生活」に心身ともに切り替えるための「有用な準備期間」として活用できるのである。年金満額受給までのこの期間を前向きに捉えているのである。                                  外出機会の増加や活動範囲の拡大により、会社中心のときよりも「知的刺激のある情報インプット」が確実に増えていく。重要なのは「自分のリタイア・パスをじっくり考える」過程で、こうした「知的刺激のある情報インプット」が増えることが、「現在の職場を離れて、何か新しいことをやりたい」という気持ちを強めることだ。するとこうした心理的な変化により、自分が何をしたくて、何が向いているのか、の「探索活動」により時間をかけるようになる。著書より

60歳以降の就業率が高まる中、意識的ではなくてもこうしたリタイア・パスを考える方が多いのではないかと思います。まさにセミリタイア的な感覚で生活しながら、これからの生き方を考えていく期間に位置付けているのではないでしょうか。

働き続けても60歳以降は自分や家族の時間

日本型雇用制度の60歳定年退職は、その後の第二の人生スタートとして一般的に言われてきていました。現在では、たしかに60歳定年制はありますが、継続雇用が通常化する中で65歳定年制が一般化する要素もあります。そして65歳から70歳までの期間を継続雇用になっていく可能性もあります。65歳定年制になっても企業の人件費対策として、60歳役職定年を設けて賃金を抑えていくかもしれません。どちらにしても「ひとつの区切り」として60歳を位置づけ、その後も延長されたレールが敷かれているかたちになります。そういう意味では、働く側としては65歳がターゲットとして大きな存在になってきます。更に将来的には70歳もその存在の中に入ってくるかもしれません。

ここで大事なことは、そうした準備期間をどのように活用していくかということだと思います。敷かれたレールの上を今までと同じように過ごしていたら・・・。        私は65歳という年齢にこだわることはないと思います。もちろん経済的な面を考慮すれば、いたしかたがないということもありますが。                   「自分のキャリア・パス」をじっくり考える期間として位置付ければ、前向きな行動がとれるのではないかと思います。そして、一定の考えが出ればその方向に向かっていければと思います。

会社に再雇用してもらっている、などと考える必要はないのだ。永年、勤めを果たしたのだから、今度は会社が、次の準備の場所と時間を提供してくれているのだ。と思えばいいのかもしれない。 著書より

その答えは個人によってさまざまです。今までは60歳までにこれからの生き方(老後)を考えなければなりませんでしたが、今では65歳に延長されたと思えばいいのではないかと思います。だからこそこの5年間は大事な時間だと思います。                私は早期退職ですが、多分かなり少数派だと思います。65歳までの時間は全て実行に移す期間として考えています。