フリーランス

コロナ危機拡大で明らかに・・・

その実態と社会的問題?!

 

コロナウィルスの感染拡大で様々な社会問題が発生してきています。
新聞やテレビを通じて連日のようにその状況が報道・放映されています。

こうした中で、”フリーランス” という言葉やその職種について見聞きすることが多くなりました。
以前はそれほど耳にすることはありませんでしたが、政府が推進する「働き方改革」の一環として表現されてきた言葉のようです。

「働き方改革」
我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題・・・、この課題解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し・・・。
厚生労働省HPより

こうした改革の中で、企業や団体に雇用されずに独立して仕事を請け負うフリーランスという働き方が広まってきています。
広義では、自営業・自由業などの個人事業主ということになります。

 

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確かに社会の変化と多様化によって、自由に自分の意志や能力で収入を得る働き方や生き方があるでしょう。
雇われるより自分の力を試してみたいと思う気持ちも大事なことだと思いますが・・・。

収入は、本人の営業力と業務遂行能力によって決定され、同様の会社員よりも高収入を得る者がいる一方で全く仕事がないという状況もあり、収入が不安定・・・。
ウィキペディア

では、どのような職業があるのでしょうか。

企業や団体に雇用されない請負業ですから多岐にわたる職種があるようです。
一般的に分かりやすい職業としては、農・畜・水産業や文化関連(音楽、演劇、美術・デザイン他)、美容などがあります。
最近ではIT関連でエンジニア、ネットショップ、ユーチューバ、更にはゲストハウス、フードコーディネーターなどのサービス業が拡大してきているように思います。

今回のコロナ危機に直面して、特に文化関連の仕事に就いている人たちの厳しさが注目されていました。
三密要素が高いライブハウスや演劇、コンサートに関わる仕事が急減したことで、収入が一気になくなったことが報道されていました。

休業に際しての一部補償や協力金制度があるようですが、フリーランスとしてその申請は売上、納税実績など様々な書類作成があり受給までのハードルは高いようです。

 

 

ウーバーイーツ?

 

又、ここ最近では、ITを駆使したフードデリバリーサービスも盛んになってきたようです。
私はこのサービスのことについてはほとんど無知でした。

私は昨年からバイク(自転車)を趣味にして、各イベントやレースなどに参加するようになりました。
この関連から、”自転車を利用した仕事” のことを知りました。
地域の有名レストランや大手食品チェーンの依頼で顧客に配送するシステムだそうです。

その代表的な企業が、「ウーバーイーツ」(米国企業:ウーバー・テクノロジーズ)です。
大元はそれを運営する企業であっても配達員は個人契約(フリーランス)で成り立っているようです。

この仕事の詳細については省きますが、ネットを通じてお客様からの注文を受け、そのエリアで控えている配達人に連絡がいって宅配する仕事のようです。
こうした仕事も新たなフリーランスとしての職業なんでしょう。

どんな仕事にもメリット、デメリットがあります。
誰でもが自分で選んだ仕事ですから、それらを包括して働き続けていくことになります。

今回、フリーランスの仕事としてウーバーイーツのことを例に出しました。
調べてみると、配達する時間や場所を自分で自由に調整でき、上司がいるわけでもなく人間関係で悩むことがないようです。
又、週単位で報酬が得られ、好きなバイクで適度な運動ができることがメリットと書かれていました。

一方、デメリットは収入が不安定、労働環境が不整備(労災、長時間拘束労働)、雇用保険はじめ各種社会保険の適用外など・・・。
特に注目したいのは、その報酬ではないかと思います。
委託、請負ともなれば依頼主の ”言い値” に従い、最低賃金制の枠外に抑えられる懸念があります。

若い時はまだ体力がありいいかもしれませんが、年を重ねるにつれ将来の不安は大きなものになってくるように思えます。
このウーバーイーツに限らず、ほとんどのフリーランスの仕事に当てはまるものではないでしょうか。

但し、こうした個人のフリーランスが法人化(株式会社、合同会社)することで、様々な保険対応が整備されてくると思いますが。

 

働き方改革の中身
~全世代でフリーランス化?

 

コロナ危機の真っただ中、3月31日「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年法)が成立しました。

この高年法はご存知のとおり、65歳までの雇用を企業に義務づけるための法律です。
具体的には、定年延長、再雇用、定年廃止の三つの中から企業は選択し実施しているものです。
中でも、再雇用(継続雇用や再任用制)が主流です。

今回の高年法の改定により、さらに70歳までの「就業」が努力目標として企業に課せられました。
働く側としては雇用の安定化につながり、収入は減っても働き続けることができますが・・・。

問題は、「就業」の意味・中身です。
就業という用語の含意は広く、「雇用による働き方」だけでなく、業務委託契約で企業と結ばれたフリーランスなど「雇用によらない働き方」も含まれていることです。

表向きは労働契約を業務委託契約に切り替え、実際は「雇用による働き方」以上の労働量や賃金圧縮も十分考えられます。
更に、フリーランス契約になるため、企業が負担する各種社会保険料や労働条件も軽減されることから、こうした「雇用によらない働き方」が拡大することが懸念されます。

 

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令和2年度税制改正の概要 (財務省資料)

 

戦後、団塊世代を長男として現在60代の私たちの世代は、バブル期を経験し、バブル崩壊後もそれなりに「雇用による働き方」が保障されてきました。
こうした中で、健康保険(社会保険)、国民年金、厚生年金、雇用保険、労働条件など少なくとも社会的保障制度によって支えられてきたものがありました。

社会の多様化や変化によって働き方も大きく変貌しつつあります。
若者が起業することもオープンイノベーションの一つとして政府がそれを支援する方向にあります。

それはそれとして有意義なことですが、「働き方改革」の一環として包括的にフリーランスを奨励するならば、それに見合った「働く環境の法整備」や「社会保障制度」などのセーフティーネットを整備する必要があるのではないでしょうか。
なぜなら、誰もが働くことで納税も含め社会に貢献しているわけですから、生活に関わる法令・制度で最低限保障することが国としての役割だと思うからです。

又、こうした現象(多様化や変化)は、一方で社会的に作られてきた面があります。
それは、企業の利益第一主義による人件費コスト削減から非正規雇用を促進してきた背景があります。
結果、正社員になれずフリーランスへの道を選ばざるを得ない状況になってきたこともあるでしょう。

働く場所や時間にとらわれず、自分の裁量で仕事をすることが美化され、又、自然発生的に働き方が多様化・変化してきていることを強調する「働き方改革」には大きな疑問と欠落があると思います。

 

今は若さで乗り越えられるものがあるかもしれませんが、将来にわたっての安定収入や健康面のことを考えると老婆心ながら心配になります。

今回のコロナ危機は、様々な社会問題を浮き彫りにしたように思います。
休業要請によるその補償、医療危機・崩壊、子どもや高齢者施設の負担増、更にはDVなど・・・、そして、フリーランスへの直撃。
これらに共通することは、「弱者へのしわ寄せ」です。

このことは結果論ではないと思います。
今の政治や経済活動(財界、大企業)によってそのベースが作られてきた背景があります。
このような「しわ寄せ」は、起こるべくして起こったものではないでしょうか。

コロナ危機で明らかになったことは、フリーランスなどの働き方は、企業にとっては労働需要に応じて仕事をさせ、需要がなくなれば契約を簡単に解除できるしくみがあり、ある意味「柔軟な働き方改革?」なのでしょう。

誰のための国家財政なのか?、誰のための法律なのか?

本来であれば、”国民の命と生活を守るため” 、”働く人の労働環境・条件を守るため” のものですが・・・。

未曾有の危機に直面している今、政治は良識ある優先順位を決めてその対策に当たってもらいたいと願うばかりです。

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