歪んだ経済成長と政治 (2)

国会運営と参議院選挙

「嘲笑する政治」が続く?・・・

 

先日ブログアップした『書籍「新聞記者」』の中でお話したように、ここ最近の政治(第2次安倍政権)状況は違和感を感じるようになってきているように思います。
そう感じる人は少なくないと思います。

先日、馴染みの床屋さんに行って椅子に座ったとたん、店主がいきなり

「最近の政治ちょっとおかしくない?、あのモリカケ問題や文書改ざん問題なんかあやふやになったままだよね」
「あれだけの不祥事や疑惑を抱えながら誰も責任を取らないどころか、開き直っている感じだよね」
「それどころか、野党に対して(問責決議案の討論で)自民党議員が、愚か者の所業とのそしりは免れません?、恥を知りなさい?な~んていう発言にはビックリしたね。やっぱり異常だよ!、国会はどうなっちゃんてんの」

町の床屋さんというのは、ご近所の常連さんや立ち寄った一見さんも含め不特定多数のお客さんが来る所です。
そんな場所での政治の話というのはなかなか出来るものではないと思います。ここまで話すということはやっぱり今の国会が異常だと感じているためなのでしょうか。
ちょうど参議院選挙ということもあってか、支持政党ウンヌン関係なく常識の範囲の中でこうした国政の話題になったのかもしれません。

そんな選挙の話題が新聞・テレビ・ネットなどで賑わしている中、先日朝日新聞の「問う」という記事に目がとまりました。
この「問う」という記事は参院選に関連したシリーズのようです。

 

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朝日新聞「問う」              毎日新聞 参院選関連記事

 

その第1回目の記事の見出しは、”「嘲笑する政治」続けるのか” でした。

笑いは人間関係の潤滑油だ。ただし、他人を見下す笑いとなれば話は違う。
安倍晋三首相は2月の自民党大会以降、民主党政権を「悪夢」と言って会場の笑いを誘うあいさつを十八番(おはこ)にしてきた。5月には、自民党の二階、麻生、細田の主流各派パーティに顔を出し、「悪夢」発言を繰り返した。笑いや拍手は確かに起きた。それは、さげすみの笑いだった。
「政治の混乱と停滞に終止符を打つ」。2012年末、民主党に代わって政権に復帰したころ繰り返した首相の言葉だ。あれから6年半、今年6月、通常国会閉幕後の記者会見では「再びあの混迷の時代へと逆戻りするのか」を参院選の「最大の争点」とした。
民主党政権の失敗と比較して野党を揶揄、こき下ろす。身内で固まってあざ笑う・・・。自分が相手より上位にあり、見下し、排除する意識がにじむ。
首相も支える官邸スタッフも代わらず、国会では野党を圧倒する議席に支えられた強固な権力基盤の中で、「嘲笑する政治」が6年半、まかり通ってきたのではないか。
7/7朝日新聞「問う」より

この記事を読んで、私は3つのことを思い浮かべてみました。
一つは、相手をさげすみ、嘲笑する政治、二つ目は旧民主党政権時代の政治、三つ目は現自民党政権の政治についてです。

■まず国会というのは、選挙を通して当選された議員が集い国政の方向性を決めていく場です。
与党・野党に関わらず国民の票(支持)によって選出された方々です。

例えば、一昨年の衆議院選挙の比例代表結果を見てみると、野党5党の得票数は2949万票、与党(自民・公明)は2553万票でした。
この比例代表票は、各政党別への支持を最も反映する票です。
そしてこのことは、選出された議員の後ろにはそれだけの支持者がいるということです。
旧民主党政権時代から自民党政権時代になって6年半、直近の選挙結果(衆議院選挙)からみても明らかなように、自公に票を入れない数は過半数を超えています。

こうした中、朝日新聞の論評にあるように「民主党政権の失敗と比較して野党を揶揄、こき下ろす、身内で固まってあざ笑う」ということは、旧民主党議員をはじめとする野党議員に票を入れた有権者の人たちに言っていることと同じことではないでしょうか。

そして6月下旬に野党5党派から出された安倍首相問責決議案の討論の中で、自民党女性議員が、
「~安倍総理に感謝こそすれ、問責決議案を提出するなどまったくの常識はずれ、愚か者の所業とのそしりは免れません!野党の皆さん、もう一度、あらためて申し上げます。恥を知りなさい!」
との発言がありました。

又、参議院選公示前の動画配信サイトで中継された党首討論の安倍首相の発言に関する朝日新聞記事では、
「12年前の参議院選挙、私たちは大敗し、国会はねじれ『あの』民主党政権が誕生しました」と語ると、手元にあるスマートフォンの画面は即座に表示される視聴者のコメントであふれかえった。
「あのwww」「例のあの」「「あの!」「暗黒時代」・・・。
「あの」は首相が民主党政権を揶揄するお決まりの枕ことばだ。

 

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朝日新聞 参院選関連記事 「政治家の質」

これら一連の ”揶揄、こき下ろす、あざ笑う、愚か者、恥を知れ、あの・・・” という表現や発言は、少し大げさな言い方になるかもしれませんが、野党を支持した2900万人の有権者の人たちに対して言っていることなんです。
何か得体の知れない歪んだ政治が進行していると感じざるをえません。

現在、衆議院の選挙区選挙は ”小選挙区制” です。
この小選挙区制度は、大政党に有利な選挙制で議席に反映されない死票が多く出ます。又、参議院選挙では32の選挙区が1人区です。
死票=国政に届かない票であり、この死票の方が当選票よりも多いことに注目する必要があると思います。
政権を取ったからといって、すべての政策が国民から支持されているのではありません。
そのことを十分理解した上で、”聞く耳を持つ姿勢” ”多くの国民を声を代表している野党議員への謙虚な姿勢” ”反対意見も尊重し政策に取り入れる姿勢” を持つべきではないでしょうか。

 

客観的な事実を見据えて

 

■二つ目に旧民主党政治についてです。

先日、朝日新聞社が主催する座談会に参加しました。
朝日新聞のシリーズの一つ「論座」に連載されている著名人を招いての座談会でした。
題目は「野党はどう闘うべきか」というテーマでした。

 

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保坂展人氏(世田谷区長)と中島岳志氏(東京工業大学教授)の座談会

 

この中で旧民主党政権時代の政治についての話がありました。その内容は下記のようなものでした。

当時の選挙戦は、マニュフェスト(政党が公約を掲げる要目)が流行った時代だった。
民主党はこのマニュフェストに沿って全ての政策を100%迅速に実行していくことを至上命題とした。しかし、このことが逆に足かせになってしまったのではないか。
政策によっては、早急に実行すること、ある程度時間をかけて改善していくこと、更には長期的な展望に立って進めていくものなどを整理して実行していくことが必要だった。
しかし、マニュフェストに掲げているからといって全て早急に実行したことが、判断を誤らせ多くの歪を生む結果を招いた。
そのいい例が、「八ッ場ダム建設中止」政策だった(詳細は省きます)
又、国家予算の健全化と透明性を目指した「事業仕分け」は良かったのの、これもしっかり時間をかけて進めるべきだった。
しかし、3年半という短期間の中で、非正規労働者の雇用保険拡大や天下りの半減、奨学金制度の拡充、1300万人分の年金記録回復など・・・いいところもたくさんあった。
自民党政権から民主党政権に代わったことで国民の期待が大きかった分、その反動も大きかったのではないかと。
政治において大事なことは、与野党関係なくそうしたもろもろの政策でいいところは引き継ぎ、悪いところは改善・見直ししていくことではないか。

こうした話を聞いて、なるほどと感じるものがありました。
確かに当時の旧民主党政権の政治は反省すべき点が多くあったと思います。又、野田内閣では「社会保障と消費税の一体化改革」を掲げ消費税増税を進めたことで、結果として国民の気持ちが離れていったのではないでしょうか。

このような一連の旧民主党政権の政治に対し十把一絡げ(じっぱひとからげ)で、「暗黒時代」「悪夢」「混迷の時代」などと一国の首相が揶揄、中傷することはいかがなものかと思います。
当時メディアも一緒になって批判した記憶があります。そしてそうしたイメージを作り上げたのもメディアだったのではないでしょうか。

有権者である私たちは、こうした政治の成り行きをもっと冷静に見極めていくことが大事なことではないでしょうか。
単なる言葉からのイメージや感覚、第三者的・傍観者的な物の見方ではなく、何をしたのか、何が悪かったのか・良かったのかをしっかり見定めていくことも必要なことだと思います。

数年前、ある経済セミナーに参加した時の討論会でこんなことがありました。
60代後半と思われるシニアの方数人が、
「旧民主党政権時代はひどいもんだったね。やっぱりあんなんじゃダメだね!」
私はこの発言に対して、「具体的にどのようなことを指してダメなんですか?」と聞いたところ、2、3の例を挙げて指摘されていました。
なるほど確かにそうだなと私も思いました。更に、「その他にはどんなことがダメだったんでしょうか?」と聞いてみましたが、その後の返答はほとんどが愚痴のようなものでした。

けっして旧民主党政権時代の政治を擁護するつもりはありません。
結局のところ、前述したように感覚的なイメージを持って新聞やテレビなどのメディアが言っていることをそのまま口にしているのが意外と多いんです。
もちろんすべてではありませんが。

 

■三つ目に現在の自民党政権についてです。

この6年半のアベノミクスの評価は?
大企業や一部の富裕層にとっては、成果のある経済政策だったと手放しで高評価するでしょう。

しかし、国民生活の実態、具体的な数字や中身を見てみるとどうでしょうか?
この点については前回のブログにアップしているので省略しますが、たった6年半でこれだけの「格差と貧困」が大きく進んだ期間は今までなかったのではないでしょうか。

国会における法案や法令改正などの採決の多くは、与野党一致で可決・施行されていると聞きます。
野党は反対ばかりしているというイメージがあるようですが、実際はそうではないようです。

しかし、国の方向性や国民生活に直結する重要法案については、大きな議論が起こり与野党対立があります。
第2次安倍内閣発足以降、消費税8%増税、特定秘密保護法成立、集団的自衛権行使閣議決定、労働者派遣法改正(改悪)、安保法案成立、森友学園問題、加計学園問題、エネルギー基本計画閣議決定(原発推進)、「共謀罪」法成立、公文書改ざん問題、沖縄辺野古基地移転、改憲問題、年金問題、消費税10%増税、その他、法人税減税、大企業優遇税制、閣僚の問題発言など・・・。

ざっと挙げてみても、国の方向性や国民生活の安心安全に関わる法案可決や予算、問題が多数あります。
本当にこれでいいのだろうか?、このまま進んでいいのか?・・・。

今、参議院選挙が行われています。
個人個人の思いや考えは様々だと思います。

選挙戦では、「更なる経済成長・・・」「実行力・・・」などの言葉やイメージ発言がありますが、私たちは一つ一つの問題を客観的に見据えていくことが大事なことではないでしょうか。

 

「歪んだ経済成長と政治」 おわり

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