海抜0mからの登山

海岸から山頂を目指す「特別な山」への想い

小さなロマンが芽生えた二つのキッカケ

 

普通のご家庭の奥さんであれば「あんた何考えてんの?頭おかしいんじゃないの!」 なんて、頭ごなしにオヤジさんの考えを否定するかもしれません。

2014年6月、モンベル主催の「冒険塾」に参加した時のことです。
「10人いれば10人の冒険がある」「他人と比べることのない自らの冒険を目指す」
今の自分のレベルより届きそうで届かない目標に挑戦したみたり、今までやったことのない方法でチャレンジしてみたりすることも冒険という範疇にとらえるとすれば、誰もが身近に感じる世界ではないでしょうか。                           こうした世界は、競争もなければ、他人と比較したりすることもなく自分のペースでやることができるという特徴があります。もちろん損得勘定なんてありません。自己満足の世界ですが、プランからはじまり達成させていく過程の充実感は、何物にも代えがたいのもなのではないでしょうか。
「冒険塾」

2014年春、NHKBSプレミアムで放映されはじめた「グレートトラバース~日本百名山一筆書き踏破」は、登山愛好者でなくても多くの方々がご存じだと思います。
田中陽希さんの超人的な体力と目標達成に向けた意志の強さには、単なる山登りでない一人の人間のロマンを感じさせてくれます。                      想像を絶するこの驚くべきドラマは、その時だけの感動を観る側に与えるものだけでなく夢をも抱かせてくれます。

登山をする方々には、好きな山・憧れの山・いつか登ってみたい山など特別な想いを寄せる山があるのではないかと思います。私も好きな山であれば何度となく登ったり、違うルートや季節を変えて挑戦してみたりもします。そんな「特別な山」だからこそ「特別な方法」で登ってみようかという考えが冒険塾での体験とグレートトラバースを観て沸々と湧いてきました

「特別な山」については、当初登山口からではなく麓から頂を目指そうと考えていましたが、それではあまり特別ではなく面白くないな~。なんて思っていたところ、グレートトラバースで田中さんが屋久島の宮之浦岳を海岸から登る様子を観て、なるほどこうした登り方もあるんだな~と思い返しました。

 

海抜0mからの富士山への登山道 ~「村山古道」

 

実は、日本最高峰である富士山にはまだ登っていません。
静岡県生まれの私は、子どもの頃から裏山に登って毎日のように仰ぎ見た富士山は、あまりにも身近な存在として今まで登山の対象にならなかったためです。あくまでも遠くから見て楽しむ山という存在で、この富士山も私にとっては「特別な山」です。       富士山も当初一合目から登ろうと思っていましたが、「特別な山」だからこそ海岸から頂を目指そうと考え始めました。                           海抜0mからの富士山登頂は、思いの他多くの登山者が挑戦しています。今ではネット検索でそうした関連ブログをみることで情報を瞬時に把握することができ便利ですね。

挑戦された多くのサイトの中でタイトル「一日の王」(管理人タクさん)のブログが目に留まりました。
このブログのタクさんは、1995年に日本列島3300kmを徒歩縦走され、以降多くの山岳地帯を歩く自称アルキニストという肩書の方です。
「一日の王」
このタクさんのブログを拝見させていただき感銘を抱きました。感じたことは、歩くという行為の中にいろいろな面白さを見出し、楽しむスタイルが確立していることです。そして登山の場合でも登頂だけが目的でなく、そこまでの過程(プランと実際の行程)を充実したものにしている点です。
ブログの「海抜0mから登る富士山」の中で書籍「富士山村山古道を歩く」(著者:畠堀操八)の紹介がありました。この村山古道とは、平安末期、1000年前に開かれた富士山最古の登山道だそうです。そして、ここ100年の間に廃道になったままであることから、著者と地元の方々がこの古道を復活させた内容とその歴史の本です。
駿河湾の田子の浦から始まる登山道は、吉原(宿)を抜けて村山浅間神社から新六合目まで至るルートが詳しく説明されています。                      ブログでは、海抜0mから登ることに加え、この歴史を辿りながらの村山古道を歩き登頂まで至る記録がアップされています。登山プラスアルファの面白さとロマンを感じる山旅に感銘しました。

 

富士山  村山古道

 

驚きの「ゼロ to ゼロ」

 

この村山古道を辿り海抜0mからの富士山登頂記録は他のブログでもありますが、ほとんどの方は、通常の登山口までの下山です。しかし、このタクさんはなんと海抜0mまで違うルートで下ったことに驚きました。ブログでは、                  「ZERO TO ZERO」という言葉もある。「海抜0メートルから海抜0メートルへ」
これも同時に富士山で達成させてみたい。本書を読んでいて夢はどんどん膨らんでいった

私にとっての「特別な山」は、地理的にできる可能性があるのであればぜひ海抜0mからチャレンジしてみたいと思うようになりました。更に、タクさんのように「ゼロtoゼロ」も面白いと考えています。                             小さな小さな冒険ですが、夢はどんどん膨らんでいくようです。
来年の夏、いよいよ「見る山」から「チャレンジする山」として、富士山のゼロtoゼロを目指す計画です。

登山にはいろいろなスタイルがあります。海抜0mからの登山は新たな発見です。それは頂までの標高差を登りつめるということだけではなく、その山の恩恵に潤う農村や漁村を訪ね歩き、又、市街地を通過したり、そこで暮らす地元の方々の様子を見聞することで更にその山の魅力を味わうことにつながるのではないかと思います。
富士山以外でも「特別な山」はたくさんあるので、これからプランを練るだけでもワクワクしてきちゃいます。

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