60歳からの現実(リアル) (20)

自由旅行の時間はすべて自分のもの

「おとなの青春旅行」?

 

退職して5年半になりました。
リタイア後の生活は働くことなく、今まで犠牲にしてきたものやできなかったことを取り戻す時間に当てています。
この間、親の介護(施設入居まで)、全国くるま旅、登山・トレッキング、各地・各店食べ歩き・・・。
こうしたことは、やはり ”自由な時間をつくった” ことで実現(取り戻す)できたと思っています。

自由な時間をつくる?
60歳定年退職後、継続雇用(公務員は再任用)で働き続け、更に65歳以降も働く時代になりつつあります。
その理由としては、生活維持のための経済的な側面、又、個人の生き甲斐や社会貢献など様々な考えがあるからでしょう。
働き続けることに対してウンヌンするつもりは毛頭ありませんが、”人生の時間” というものは待ってくれません。
そして、時間が経てば経つほど私たちの行動範囲は狭まってくるのではないでしょうか。
「健康寿命まで、後期高齢者年齢まであと何年ある」とは言っても、アッという間の時間なんです。
であるなら、”意図を持って時間をつくる” ことを真剣に考える時期なのかもしれません。

一般的な定年退職本や雑誌、関連サイトなどに書かれている言葉に、
若かりしころ、汗を流して一生懸命に働き、家族を養い、そしてようやくさまざまな責務と時間に追われる日々から解放されたなら、思いっきり羽を伸ばしても誰も責めはしない と。

 

先日書店で「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)という本を手にしました。
内容は、時間に余裕ができたシニアの海外旅行で、”自由旅行” を推奨する旅のしかたや考え方が書かれたアドバイス本です。
サブタイトルは、「団体旅行(ツアー)に疲れた人へ贈る、自由で冒険的な旅路」でした。
この本の詳細については省きますが、海外・国内旅行問わず旅での出会いや発見こそが良き思い出として残り、面白さが倍増するということに共感しました。

 

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「受け身」から「自ら仕掛ける」旅へ

 

一般的なツアー旅行(海外・国内)といえば、有名観光地や名所旧跡をめぐることが多いものです。
それはそれで行ってみる価値があり、感動するものです。
しかし、パッケージとして用意された観光地めぐりと食事、土産物店、そして時間の制約があり、”行って来ただけ” という感想が残るだけなのではないでしょうか。
これは全て「受け身」の旅行だからだと思います。

「ツアーは詰め込めば詰め込むほど、売れる」
ある大手旅行会社の幹部は、私にそう語った。ツアーは商品としての旅である以上、どうしても最大公約数的な内容を盛り込む必要がある・・・。
しかし、その慌ただしさの中では、土地の人々の営みに目を留める余裕は持ちづらいのではないか。早朝から夜まで観光名所をひたすら回って、ヘトヘトに疲れる毎日が続くツアーに参加した人も多いだろう。
それに、ツアーには、抜け落ちているものがたくさんあるように思う。
それは、「自分の足で、思うがままに、興味のままに歩くこと」
「おとなの青春旅行」の冒頭から

はっきりと「観光地・名所旧跡めぐりが目的!」「その土地の人々の営みは興味ない」という人にとってはいいのかもしれませんが、ただ、安いツアーだから、誘われたから、とりあえず有名だから・・・というような目的がはっきりしない旅では、”行って来ただけ” の旅になってしまうのではないでしょうか。

こうしたことから最近では、若者からシニア世代にかけて、「個人の旅」「自由旅行」が増えてきているようです。
ツアーといってもおもに航空券とホテルだけで、観光などはついていない旅行形態では、
15~29歳の女性の場合、53.8%がフリープラン・自由行動タイプ、男性は44.9%だ。
また、30代男性で34.4%、女性41.5%、40代男性53.3%、女性45.9%となる。
いまや多くの人が、個人で旅をしていることがわかる。

同書籍から抜粋

 

私の娘は、現在スリランカの旅のコーディネーターをしています(個人運営)
まさに「個人の旅」「自分だけの旅」向けの案内とサポートする仕事にたずさわっています。
娘から聞く話では、女性一人旅、友人と共に女子旅する旅行者が圧倒しているとのことでした。
こうした需要が高まること、更にメジャーではない外国への旅行が増えていることも物語っています。
知り合いが運営するサイト 「SRILANKA Navi」(スリランカナビ)

 

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スリランカの旅
知り合いと同じ世代の若い女性の目線に立っての旅提案。
グルメ、ファッション、宝石アクセサリー、カフェ、ホテルなどの紹介とアドバイスが、一人旅や女子旅を促進させているのかもしれません。
写真:スリランカナビから

 

では外国の旅行者はどうなんでしょうか。
多分、日本の数倍も個人旅行が圧倒していると思います。というよりも個人で自由に旅をするというスタイルが一般的になってきていると思います。
昨年と今年、北海道旅で多くの外国人観光者を目にする機会がありました。その中では団体旅行もありましたが、個人旅行が多いことにも気づきました。

 

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観光地では、団体バスで来ている外国人観光客は皆無でした。
その代わり、レンタカーを使っての個人旅行が主流で、中にはレンタルキャンピングカーも多かったです。

 

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娘とオヤジのアメリカ二人旅。レンタカーでロサンゼルスからラスベガスへ550Kmのくるま旅。
街中のカフェ&レストランのボリューム感ある食事に、ここはアメリカなんだという実感!

 

個人で旅をしていくとは、どんな毎日を送ることなんだろう。
朝、起きてからまず、今日はどこに行こう、なにをしよう、と思う。そういえば洗濯をしていなかったなあ、と考え、カーテンを開けて眩しい陽光に目を細めながら、「いっちょまとめて洗うか!」と決意するかもしれない。
あるいは、すっかりなじみになった近所の屋台で朝食を食べようと、ベットを出る人もいるだろう。
同書より

旅行に出かけて必ずしも観光地や名所旧跡を目まぐるしく回る旅よりも、もっと余裕を持って「なにもしない日」もあってもいいんじゃないかと思ったりします。
屋台で朝食したり、市場やショップを冷やかしたり、街カフェでゆっくり人の流れを見ているのも旅の面白さや発見があるのかもしれません。

観光地とは必ずしも限らない。人々の生活の場をじっくりたどっていくこと。それが本来の「旅」であるように思うのだ。
同書より

 

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タイバンコク。
電車、タクシーを乗り継ぎ、地元民が利用する屋台と居酒屋。観光客と思われる人たちはいませんでした。安くてうまい料理に感動です。

 

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セブ島。深夜怪しいレストランで(笑)   スリランカではゲストハウスでカレーづくり

 

こんな自由旅行ができるのは、なにもエネルギッシュな若者だけではないと思います。
若い世代というよりもむしろ ”自由な時間をつくる” ことができるシニア世代なんだと思います。

自由旅行こそ、シニア向けなのである。
自由旅行の時間はすべて自分のもの。自分のペースで、好きな場所に行けばいい。好きな時間に起きて、行きたい場所に行き(あるいはどこにも行かず)、見たいものを見て、ゆったり過ごす。
そうして一歩一歩を刻むように旅すれば、ひとつひとつのできごとが鮮明に記憶に残るだろう。
同書より

 

こうした旅は、海外・国内問わないと思います。
「受け身」の旅から「自ら仕掛ける旅」にした方がずっと面白いし、なによりも ”鮮明に記憶に残る旅” になるのではないかと思います。

今年の北海道旅で3ケ月以上のくるま旅を続けているご夫婦2組と偶然出会う機会がありました。
くるま旅している同士の会話は決まって、「どちらからですか?」「これからどちらに?」「いつ頃までのご予定で?」などの問いかけから始まります。
そして、決して話の中で出てこない問いかけは、「そんな長い期間何をされてるんですか?」です。
全くの愚問ですよね。
まさに旅を受け身としてしか捉えていないことから出てくる発言なんですね。
「観光地や名所旧跡は観て周った。だから旅はもう終わり」ではないんです。

 

戦後先頭世代の「団塊世代」はすでに70歳になりました。
あのアクティブな団塊世代はシルバー世代へと移り変わっていきます。
そして、「ポスト団塊世代」といわれる私たちの世代は、今まさにシニアのど真ん中にいます。
私たちの世代は、趣味・嗜好の個人化、差別化の世代といわれていますが、団塊世代のような強烈な「個性」はないと思います。
変化を求めず、現状維持に甘んじ、チャレンジすることに躊躇しているように思えてなりません。

私たちは今シニアとして ”時間がつくれる” 世代なんです。
もっとやりたいことをやってもいいのではないか!と思います。

カミサンはすでに来年の北海道道南の旅と四国周遊の旅のプランニングに着手しています。
多分数か月に及ぶ旅になるようです。
私たち夫婦にとって「おとなの青春旅行」なのかもしれません。

限られた時間は動き始めています。

4 thoughts on “60歳からの現実(リアル) (20)

  1. おとなの青春旅行
    私達夫婦はパック旅行と個人旅行の両方行ってます。

    個人旅行は6月には台湾の墾丁
    航空券、ホテル、現地観光、食事 全て自分で段取りしてます。
    現地では日本人には誰ひとりとも会わず、臨機応変に自由旅を楽しんでいます。

    パック旅行は祇園祭に7月に行って来ました。
    目的は 祇園宵山と山鉾巡行の見学であったためパック旅の方が便利で安く上がりました。
    大勢の観光客の中 移動も楽で添乗員さんにもお世話になりました。

    どちらも いい所や悪い所はありますが、自由な時間を作りやすいシニア世代ですから
    時間、場所、お金を考えながら選んで旅行を選んでます。

    それから 来年は四国周遊の旅を計画されているようですが
    もし時間とれるようでしたら 自作の石窯で焼いたピザをごちそうしますので
    連絡してください。

  2. 山鯨笹蟹さん

    コメントありがとうございます。

    台湾への自由旅ですか~、いいですね!
    目的がはっきりしていればパック旅行もいいものですよね。

    >時間、場所、お金を考えながら選んで旅行を楽しむ
    まさにそうですよね。本当に自由な時間をつくりやすいシニアですからね。

    来年4~5月にかけて四国周遊の旅を計画しています。
    山鯨さんの石窯で焼いたピザ! ぜひごちそうさせてください。
    出かける頃になりましたらブログにアップしますので、日時場所ご連絡ください。
    必ず行きますよ! 今から楽しみにしています。

  3. すーさん
    いつもお世話になっております。
    私はお盆休みにクロアチアに行ってきました。途中で食中毒になったりしてさんざんな目にあいま
    したが、振り返ってみれば楽しい思いで深い旅行でした。
    明日の行き先はどこにしようかな? と、妻と一緒に考えるような出たとこ勝負の個人旅行は私の
    いい加減な性格にとてもあっていると思います。
    これからは、松茸、紅葉、信州、木曽路を楽しんでから、年末はマルタ島とイタリアに行くつもり
    です。ブログ楽しみにしていますので、これからもよろしくお願いします。
    パンダ 

    1. パンダさん

      お久しぶりです。

      クロアチアに行ってきたんですか!
      >振り返ってみたら楽しい思いで深い旅行
      海外・国内問わず旅にはアクシデントはつきものですよね。想定外のことも起きることが度々ありますが、却ってそのことが楽しく良き思い出として残るものなんですよね。
      義理の姉も今年クロアチアの旅に行ってきて、旅の報告を聞かせてもらいました。
      日本にはない素晴らしい絶景を楽しんできたようです。

      >妻と一緒に考えるような旅

      夫婦二人で出かける旅では、プランや旅先でいろいろと意見の違いがあったりして、時には言い合いやケンカになることもありますが、”楽しい旅をしたい” ということが共通しているのでお互いのいい所を取り合いながらうまくまとまったりします。
      一方的な提案や行動ではなく、二人で考える旅の方が面白さが倍増したりしますよね。

      これからの紅葉の旅や年末のイタリア旅行、ぜひご夫婦で楽しんできてください。

      コメントありがとうございました。

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