原発再稼働への態度

柏崎刈羽原発の適格性の容認!?

 

携帯電話が普及してからは、家族・友人知人との連絡の取り合いはメールか携帯電話になってきました。
我が家にはまだ家電(いえでん)がありますが、ほとんど使われていません。
退職後家にいる時間が多くなると、この家電にかかってくる電話のほとんどが業者さんからの各種勧誘ということが分かりました。
まだ働いていた頃は外出しているため、こうした勧誘電話があることが分かりませんでしたが、これほど多いものかということが退職後よく分かりました(笑)

先日、そんな家電に東京電力のエコキュート設置勧誘の電話がありました。
話の内容は、川越エリアの住宅に対してエコキュート設置キャンペーンを展開しているということでした。
詳しい中身については省略しますが、従来の燃焼式給湯器(ガス)と比較して一時エネルギー消費量を削減する省エネタイプの給湯設備だそうです。
東京電力の新規事業の一環として展開しているようです。

地球温暖化対策と省エネによる家庭の経済的負担減という点ではメリットがあると思いますが、総合的な企業の姿勢や社会的責任という点では疑問がありました。
それは、福島第一原発事故の責任とその補償問題はまだ終わっていないということです
更には、原発再稼働に向けた取り組みを推進している姿勢です。
本家本元の電力事業を原発に頼り、そこから大きな収益を確保しようとしている企業が、一方で省エネを謳い新規事業を展開する構図には矛盾を感じざるを得ません。
これが企業として原発ゼロに向けた方向転換の方針であれば、今回のエコキュート事業も十分説得性のあるものだと思います。
ここにこそ「企業の理念」「企業の社会的責任」としての姿勢が本当にあるのかどうか? ということが明確に分かってくるのではないでしょうか。

 

2017原発1   2017原発2

 

10月4日原子力規制委員会が、柏崎刈羽原発6、7号機を動かす適格性を容認しました。

原子力規制委員会は、東電の安全対策について記した審査書案を定例会で議論した。新規制基準を満たすとする評価には異論は出ず適合を了承した。事故を起こした福島第一原発と同じ沸騰水型の原発が新基準に適合するのは初めて。
朝日新聞

今まで、「稼働原発ゼロ」期間中でも日本社会は原発なしでもやっていけることは証明されています。
仮に再稼働すれば、計算上わずか6年で、すべての原発の使用済み核燃料の貯蔵プールが満杯になると言われています。
処分の見通しもない「核のゴミ」を増やし、問題を深刻化させるだけではないでしょうか。
そして、こうした処理費に伴う財源も私たちの税金が投入されているわけですから・・・。

 

先日、福島第一原発で、水位計の設定ミスも資格が問われる新たな事態が浮上しました。
汚染水が建屋外に漏れ出す恐れのあることが明らかになり、原因は水位計の設定ミスでした。東電は半年余り気づかないままだったようです。
こうした状況にもかかわらず、東京電力HDの小早川社長は、
柏崎刈羽原発6、7号機については、一基で年1000億円の収益改善効果があり、収益性向上の頼みとしている。
毎日新聞(報道各社インタビュー)

福島第一原発事故の収束、賠償、廃炉の見通しが立たず、事故の責任を果たしていない東電にその資格があるのでしょうか。

 

原発問題~総選挙

 

今回の柏崎刈羽原発再稼働の適格性容認が、原子力規制委員会から示された時期と前後して衆議院選挙が公示されました。
こうした中での原発問題も選挙戦の争点のひとつになっています。

 

2017原発3  2017原発4

大震災を「あっち(東北)の方で良かった」と放言した復興相。3年前には、「最後は金目」と福島を見下す環境相がいた。閣僚の緊張感のなさに、「東日本大震災の復興は内閣の最優先課題」とは口先だけかと疑いたくなる。
震災の記憶は風化し、とりわけ原発事故の教訓は「劣化」している気がする。
なにせ事故を起こした東京電力にも、政権は原発の再稼働を容認する。この猛スピードを6年前、だれが予想しただろう。

事故の現実より復興を強調する政権。五輪招致の演説では、深刻な汚染水漏れを「コントロールされている」と首相は言い切った。
いま経済産業省は福島の負のイメージを消そうと、廃炉などの産業集積で復興できると国内外にアピールする。
今春には避難指示を大々的に解除してみせた。だが、原発の近くに住民は帰らない。これが現実だ。
復興そのものに反対する人はいない。問題は、福島から一歩外に出ると事故が忘れられ、国のエネルギー政策や事故処理費の国民負担が決まる構図だ。
10/8 朝日新聞

 

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」・・・。
けっして忘れてはならない、風化させてはならないことが、今また原発再稼働というかたちで浮上してきています。
一部企業の利益拡大の手段、一部企業の原発建設・メンテナンス事業などの利権、一部銀行の稼働に伴う融資と利息確保、そしてそれを後押しする経済産業省の原発推進と税負担・・・。
目先の利益と利権だけで将来の安全性を無にし、更に私たちの大事な税金を投入しようとしていることが、今まさに起きようとしています。

前回のブログ「選挙への大切な一票」の見出しに、”傍観者でいるとツケ” という言葉を使いました。
今回の原発再稼働についても全く同じことだと思います。

 

エコキュートの主旨について、電話勧誘の担当者のお話をよく聞きました。
「東電の新規事業のようですが、本来やるべきことは他にあるのではないでしょうか」という返答をして、やんわりとお断りしました。
地球温暖化対策と省エネに向けての取り組みは十分わかりますが、やはり ”東電の企業としての社会的責任” を果たしていない姿勢に大きな疑問を持つからです。

6 thoughts on “原発再稼働への態度

  1. お考えに賛成です。
    企業は基本的には儲けの事しか考えません、大きな利益を上げても従業員にすら還元しないで、次の
    の儲けの事には投資をします。安倍さんも企業が設ければその儲けが下に滴り落ちて従業員の賃金に
    に跳ね返ってくると国民を騙していますが、あの人の事ですから本当にそう思っているかもと情け
    なくなってきます。検挙の結果はそう大きく変わらないでしょうね、国民の多くは痛さもすぐ忘れ
    るようですね。悲しい。

    1. kamosikaさん

      コメントありがとうございます。
      アベノミクスのトリクルダウンはすでに失速していますね。
      今の社会の中では、この考え方は予測できたはずだと思います。※企業が利益を還元しないで貯め込むしくみ。
      こうした状況に歯止めをかけることができるのは、国民の意思を反映した政治によるコントロールだと思います。
      例えば、大企業が膨大な利益を安定して確保できる法律のひとつとして、現政権がすすめた労働者派遣法の改悪があると思います。正社員の派遣への置き換えを歯止めなくすすめることができ、いつまでも派遣で使い続けることができる法律です。
      その他にも大企業優遇税制や法人税減税などがあります。
      こうして一旦手にした利益は貯め込まれ、働く人への還元はしない。これが今の社会経済の現実だと思います。
      であるなら、政治によるコントロール(税制の見直し、法律の改正など)こそが必要だと思います。

      >選挙の結果はそう大きく変わらないでしょうね。

      直近のメディアの調査によれば、与党の獲得議席数は安定しているように報道されています。
      どのような結果が出るか分かりませんが、自分の意思を示した一票にしたいものですね。

  2.  いよいよ明日ですね(読まれる頃は当日になっているかもしれませんが)。

    前回のコメント以降、私自身もいろいろと各党の主張や公約や、候補者のプロフィールや意見を
    注意して見ていますが、はっきり言って本当に難しいですね。
    前回のコメントで書いたように、各課題に対しての意見を私としては持っていますが、それに近
    い候補者がいない、党がない、という現状に、言われている「傍観者でいるとツケ」とは分かっ
    ていながら、じゃあどう手を打てばいいのかという点でジレンマを感じます。

    これも書いたように、どの課題を最優先にするのか、という点で自分の立ち位置を定めて、でき
    るだけそれに近い党なり候補者に絞らざるを得ないのが現実ですが、なにか無力感があります。
    今回の選挙での争点は「安保法制の扱い」「憲法改正へのスタンス」「原発への考え方」「少子
    高齢化への取り組み姿勢」「消費税増税に対する主張」などなどたくさんありますが、現実の選
    挙戦は政策論争よりも組織対組織、政治力学的な比較や分析ばかりが目に付きため息が出てきま
    す。
     どの党も候補者も耳障りのいいことばかりを並べ、過去に公約がまったく実現できなかった
    「実績」など忘れたかのような主張ばかりです。今の日本の現状は、どうあがいても八方美人的
    な政策など実現性があろうはずもなく、どこかで痛みを伴わざるを得ませんが、その「痛み」を
    こそ明確に指摘しながら「それでもこうしなければ日本の将来に禍根を残す」という主張こそあ
    るべき姿だと思うのですが、誰もそんなことは言っていません。

     今日の記事にある原発にしても、原発をゆくゆく(期間はいろいろな意見がありますが)廃止
    する方向で持ってゆくことに私自身も賛成ですが、そのデメリットに対して税金の使い方、電気
    料金の設定(値上げは必至でしょう)などなども含めての議論があるべきだと思うのですが、そ
    れも見当たりません。 総論賛成であったとしても各論での論議が取り残されている印象です。

    すみません。書きながら意見がまとまりませんが(笑)、要は政治参加というのは言うは易し、
    行うは難し、だな、と今さらながら感じています。

    1. リンロン88さん

      前回のブログに引き続きコメントありがとうございます。

      リンロン88さんのコメントを読んだ時、真っ先に「ポスト真実」という言葉が頭をよぎりました。
      この「ポスト真実」については今年2月ブログにアップしましたが、
      ■世論を形成する際に、客観的な事実よりも、むしろ感情や個人的信条へのアピールの方がより影響力があるような状況。

      このことから事実はもはや重要ではなく、重要なのは個人がどう感じるか、どう思うかという「事実よりも感情」に時代が変化してきているように思えます。
      首都大学東京の堀江孝司教授は、
      ■今の日本は楽観的で「強い」ことを言う人が評価され、政策の不安視やリスクの列挙は歓迎されない。「好循環している」「もはやデフレではない」と言えば済む。勇ましい言葉が飛び交い、無謀な戦争に突き進んだ戦前に驚くほど似ている。

      こうした状況は今回の選挙戦でも安倍首相の発言に数多くみられました。
      例えば、北朝鮮問題にしても対話や外交政策ではなく力でねじ伏せようとする発言や姿勢。
      又、有効求人倍率が全都道府県で1倍を超えた、正規雇用の増加、3年連続賃上げしているという強い発言もそうです。しかし、現実は人口減で求職者が減っていることや医療、介護、保育の過酷で低賃金職業の求人が増加していること、非正規雇用が180万人も増加したこと、実質賃金は減少し、家計消費支出も減ってきていることには一言も触れてはいませんでした。
      まさに不安視やリスクよりも楽観的に「強い」ことを言う人が支持されやすい傾向にあるように思えます。

      最近のSNSの普及もそのことに拍車をかけているような気がします。
      グループサイトの情報、友人関係、フォロワーな関係になっている人たちのコミュニケーションでも、中身を見ないでタイトルや見出しだけで判断してしまうケースが増えていると思います。
      「いいね」とか「ひどいね」という一言で済ませてしまい、あまり深く考えることなく感情的に表現してしまうケースもそうではないでしょうか。

      こうした「ポスト真実」は今に始まったことではないように思いました。
      前回のブログ「選挙への大切な一票」のmittyさんからのコメントの中に、
      ■昭和54年から衆議院議員をしている前大臣が引き続き儀礼のように選ばれる。

      地方の保守的な地盤の選挙区ではよくあるものですが、政策の不安視やリスクの列挙、批判的な発言に対しては歓迎されない風潮があるように思えます。それがたとえ真実であったとしてもです。

      私たちが日ごろ直接情報を得る手段としてメディアがあります。
      リンロン88さんがおっしゃるように
      >政策論争よりも組織対組織、政治力学的な比較や分析ばかりが目に付く。
      こうしたメディアの責任も大きいと思います。

      感情にとらわれず、客観的な事実を基に大切な一票を投じたいものですね。
      貴重なコメントありがとうございました。

  3. 雨の中投票に行ってきました。
    どうなるんでしょうね。
    すーさんのパワフルな意見に溜飲が下がる思いです。
    ブログでも自分の意見を出すには、けっこうエネルギーが必要です。
    目先の損得を考えないで、この先の世代のための選挙であってほしいと
    思っています。

    1. 家犬さん

      雨の中の投票ご苦労様でした。
      今回は台風の影響で期日前投票が増えているようですね。

      毎日ブログをアップしている家犬さんほどではありませんが、確かにエネルギーはいりますよね(笑)
      ブログに訪れてくれる方がいて、更にこうしたコメントやご意見をいただくだけでもたいへん励みになります。これがエネルギーになっているかもしれません。

      今回の選挙、家犬さんがおっしゃるように「この先の世代のための選挙であってほしい」と思います。
      前回のブログに続きコメントありがとうございました。

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