60歳からの現実(リアル) (15)

「半リタイア」という意識?

今、定年退職を迎える世代性格

 

今まで「60歳からの現実(リアル)」シリーズを通して、定年退職、リタイア、シニアライフ、第二の人生、生き方過ごし方・・・などをテーマに考え綴ってきました。
私は、社会一般に言われている、又、関連書籍などで書かれているようなネガティブな「退職後の人生」に疑問を持っていました。

低成長時代の中、今や継続雇用(再任用)が進み、働き続ける人が格段に増えてきている時代です。
特に一般企業の場合、60歳定年を迎えると管理職から離れ、一般社員としての雇用に切り替わり給与も激減します。
私の同僚、先輩を見てもほとんどがそうした会社生活を送り続けながら、気持ちの上では「半リタイア的」な生活をエンジョイし始めています。

団塊世代の人たちが定年退職を迎えてからほぼ10年経ちました。
この10年の間で今定年を迎える60代の人たちの人生観は大きく変わってきているように思います。
今まで定年を迎える男性の場合、アイデンティティの変化に悩み、仕事人間だった人ほど戸惑いを感じるという風に言われてきましたが、現実はそれほど深刻なものではないように感じます。
このことは世代間の意識の違いなのかもしれません。

”世代間の意識の違い” 
今までマスコミや世論などで大々的に言われてきた「定年退職後の人生(リタイア)」は、ほとんどが団塊世代という一つの大きな塊の世代に言われてきた言葉だったのではないでしょうか。
この団塊世代の定年はすでに終わり、次の世代(昭和30年生まれ前半)が定年を迎えています。
私たちの世代は、学生の頃(1970年中頃)マスコミから三無主義、四無主義などと揶揄されたり、ちょっとお堅い書籍では「感性的個人主義」(やさしいミーイズム)などとも呼ばれた世代です。
社会の諸問題より個人の生活を優先してきた世代といっても過言ではなかったかもしれません

この世代を一言で表した性格表現の文として、
これらの世代はフィーリングを重んじ、相互の個性・多様性を認め合って、他人を傷つけることや憎むことも好まない。何か。さらりとして、清潔で洗練されていて、やさしいのである。「競争」という言葉が好まれず、会話の中で頻繁に使われる言葉は「わりと・・・」「まあまあ」「ほどほど」といった物事を相対化する表現である。
寺島実郎著「シルバー・デモクラシー」より

私たちのこの世代が良いとか悪いとかということではなく、社会現象を反映した中で生まれてきた傾向なのかもしれません。
こうした世代が定年を迎える時代、社会の流れに逆らうことなく継続雇用を当たり前のように受け入れ、自分なりの生活をそれなりに過ごしていけばいいという感覚なのかもしれません。
そこには、「リタイア」という言葉は存在せず、責任ある立場から離れ「まあまあ」「ほどほど」といった感覚で仕事を継続し、自分の趣味や家庭を大事にしながら生活する風景が存在するように思います。

 

かつて、定年後に自分の居場所が見つけられず、家で妻に付きまとう男性は「ぬれ落ち葉」と呼ばれたりしたが、最近は定年男性も変わってきた。出かけようとする妻に「俺の昼めしはどうなっているんだ!」などと怒鳴る夫は、少数派になってきている。
また、家でゴロゴロしていたりすると妻に嫌われるから、「あなたが昼間に出かけて妻をフリーにしてあげましょう」などという不思議なアドバイスまで出てきている。
岸本裕紀子著「定年女子」より

まさに今定年を迎える世代の典型的な姿なのではないかと思います。

更に続けて
最近の定年退職した夫は、おしゃれして外出したり、畑を始めたり、週一回は料理を担当したり、スポーツクラブに入会して体力・体型維持に努めたり、地域活動やマンションの管理組合で会社員時代の能力を発揮したりと、以前に比べて格段にかっこよく、行動的になってきていると思う。
同著「定年女子」より

ここで言われている定年退職した夫は、今の時代少数派だと思いますが、継続雇用で働き続けながらこうした生活を謳歌している男性が増えてきているのではないかと思います。
今や「ぬれ落ち葉」的な存在の男性は少数派になり、家庭を壊さずうまく夫婦間のコミュニケーションを円滑にしていく術を持ち合わせている男性が多数派を占めつつあるのではないでしょうか。

これらのことは、私自身がその世代であると同時に友人、同僚などを見てそう感じる実体験からです。

 

世の中の流れ(経済、政治状況の変化など)から、形の上での定年を迎えて「半リタイア」という生活に素早く切り替える術を持っている世代なのかもしれません。
これから60代を過ごしていく世代(団塊世代の次の世代)は、「塊としての傾向」から「個性的・多様性のある様々な行動」に移っていくのかもしれません。
今まで「定年退職」というキーワードでマスコミの好材料になっていた団塊世代は、今後、「超高齢化・介護・医療」をキーワードに再び大きな世代としての話題になってくるでしょう。
そして、「定年退職」という言葉は、ほぼ終焉を迎えたような気がします。
もちろんこの言葉自体は存在し続けると思いますが、あくまでも形の上で60歳を迎えた世代表現として使われるだけだと思います。
終身雇用、年功序列は過去のものとなり、能力・役職定年・転職・多様性・定年選択制などの社会変化の中では、60代は「半リタイア」という言葉が合っているような感じです。

私のような早期退職は、継続雇用、半リタイアいずれも当てはまりませんが、世代性格としての「個性的・多様性」的な一人なのかもしれませんね(笑)
それだけいろいろな形(生き方・人生設計など)で分散化している退職世代なのかもしれません。

 

先日、テレビドラマ化された岸本裕紀子さんの「定年女子」を読みました。
フルタイムの正社員として働き続け、定年退職を迎える女性がなんと10万人を超える時代になったようです。
時代は大きく変わってきました。何も男性だけが定年という言葉に当てはまらない時代なんですね。
そして、今定年を迎える女性の世代は、私たち男性と同じ世代ですから、その気質や性格など「かなり似たものを持っているな」という感じでこの本を読むことができました。
男性の退職と女性の退職の考え・意識は異なる点はありますが、「個性的・多様性」という部分では何ら変わらない世代なんだな~という感想を持ちました。

 

この「定年女子」については、次回のブログで綴っていきたいと思います。

3 thoughts on “60歳からの現実(リアル) (15)

  1. すーさん様

    初めてコメントを書かせていただきます。
    (ブログ風 鎌倉リタイアライフ)を読ませていただいていて、すーさんのコメントを偶然目にとめました。
    ブログにたどり着きたかったのですが(すーさん)で検索しても見つからず、3年経ちひょんなことで見つ
    けることが出来ました。
    ブログに寄らせてもらい、なんと主人のリタイア後に連れてこられた静岡県の街はスーさんの故郷である
    ことが判明いたしました。
    主人は退職と同時に主夫となり、私はまだ働いております。
    退職後は主人と軽自動車を改造してキャンピングカーとし出かけたいねと言っておりましたが、我が家に
    は主人の保護した猫2匹、長期の旅行は無理になってしまいました。
    今は二人してジム通い、主人は10kg減量してまた山に行きたいそうです。
    楽しくブログ拝見しております。
    どうぞよろしく。

    1. キジ&シロ母さん

      はじめまして。
      お立ち寄りいただきありがとうございます。
      そうでしたか~、3年前に私のことを鎌倉リタイアライフのサイトで知ったんですか。
      鎌倉ライフの管理人さんとも今でも懇意にしています。時々メール交換もしています。
      それにしても静岡県の私が生まれ育った町に行かれたんですか!
      何か奇遇ですね~。

      ご主人は退職されたとのこと、そして主夫ですか? 私も4年前早期退職してからずっと主夫してますよ。その頃、まだ家内も働いていたので毎日お昼のお弁当を作っていました(笑)
      今でも毎食私が作っていますよ。

      ご主人山をやられるんですか、ぜひ山の話したいですね~。
      これを機会にいつでも立ち寄ってコメントくださいね。
      これからもよろしくお願いしま~す。

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